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ガールズ・ゲーム  作者: 草鳥
六章
102/139

102.心が滅ぶとき


 きっと最初から間違えていた。

 願いを胸に抱いたあの時、全ては決定づけられていたのだ。

 あの戦いも、あの戦いも、あの戦いも、あの戦いも、あの戦いも。

 死に物狂いで足掻いてもがいてつかみ取った勝利は、平坦な一本道をただ歩くことと何も変わらなかった。

 

 こんなこと、一度だって望んだものか。

 カガミさんが帰ってきたら、みどりが笑顔で祝福してくれていて、アカネが少し遠くから、でも温かいまなざしを向けていて、北条さんは少し怒った風だけど、でも優しく抱きしめてくれて。

 そして陽菜もそこにいる。よかったね、と嬉しそうに笑っている。


 そのはずだったのに。


 この願いが間違いだったのだろうか。

 友達を戦いに巻き込んだことの罰がこれか。誰かを犠牲にしてまで願いを叶えようとは思わない――そんな矛盾した心が罪だったのか。都合よく誤魔化し続けた結果がこれか。

 でも、だけど、こんなのは耐えきれない。


 大切な幼馴染を手にかけるなんて、そんなことをするくらいなら躊躇いなくわたしが死ぬ。

 なのにそれすらできない。見上げれば園田とアカネがいる。わたしが死ねばあの二人も助からない。彼女たちを道連れにすることはできない。


 心が悲鳴を上げている。

 今にも引き裂かれてしまいそうだ。

 

 どうしようもないのか。

 他に道はないのか。

 三人とも助ける道はないのか。

 考えるたび時間は過ぎる。園田とアカネが死に近づく。

 

 陽菜。

 いまあなたは何を考えてる?


 顔は笑ってる。

 この戦いを楽しんでいるように見える。

 でも、こんなことを楽しめるような子だっただろうか。

 陽菜は誰より優しくて、虫も殺せないくらいで。


 だから一年前のあの時、わたしに声をかけてくれたんじゃないの?


 ……それも違うのか。


 全部、この時のためか。

 わたしの心を支えて、ここまで連れてくるためでしかなかったのか。


 ――――ちがう!


 全ての思い出は虚構。

 わたしを騙して、優しく寄り添って、陰から監視していた。


 ――――そんなわけない! 陽菜はそんなことするような子じゃない! 


 なら、もう諦めてしまってもいいか。

 陽菜なんて、もう。


 ――――だめだよ! そんなの逃避だ、楽な方に逃げてるだけ――――


 だったらこの状況はなんだ。

 肩から血を流すアカネはどうしたらいい。

 陽菜が指を少し動かすだけでもっと血が流れる。その事実は変わらない。


 ――――わたしは…………


 もう黙っててよ。

 そんな良心は邪魔になる。

 

 ――――……………………


 殺す。

 光空(プラウ)を殺す。

 もうそれしかない。

 園田とアカネを助けるため。そしてカガミさんに再会するため。

 そうだ、思い出せ。どうして自分がここにいるのかを。


 ただひとつの願いを叶えるためだったはずだ。

 そのためならどんな戦いでも乗り越える。あの時、あのゴーレムを倒した時からそう心に決めていたはずだ。

 だから今ここで、改めて決意(さつい)を胸に抱く。

 目の前に立ちはだかるものは全て倒すのだと。


 ぐしゃ、という音が聞こえた。

 胸のあたりで何か大切なものが、赤い飛沫とともに潰れたようだ。

 少し心が軽くなったような気がする。

 

 躊躇うな。

 今のわたしなら光空を殺すことができる。

 五つのプラウの力がひときわ強く鳴動した。わたしの意志に、彼らも同調しているのか。


 身体の奥底から計り知れない力が沸き上がる。

 寒気がするほど真っ白な光がとめどなく溢れ出す。

 これまで押し込められていたものが解放された。


 もう戻れない。

 終わりがすぐそこに見えた。

 

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