戦闘狂と書いてバトルジャンキーと読む
「では、次はオムグムさんの所に行きましょうか」
「「「はーい」」」
「「あぁ」」
かわいかったアトラック君から離れてちょっと寂しく感じながらも次の目的地にレッツゴー。
「あ、それと」
「?」
「仮に彼女があそこにいた場合……」
なんかあるのかな? なんかこわい。
「巻き込まれないよう気を付けてくださいね?」
「へ?」
え、ちょ、それどういう……
「では行きます……3、2、1、ゴー!」
さっきの不穏な発言について言及する前に、私たちは飛ばされてしまった。
……こわっ。
「到着です」
辺りを見渡すと、何もない平原がどこまでも続いていた。
海底にも関わらず、空には綺麗な星空が……てあぶなっ!!
なんか謎の物体が2つ目の前を通り過ぎてったんだけど!?
え、なに!?
「あはははは! やっぱ楽しいな! デージー!!」
「にゃははは! どうだね!」
「っ!?」
い、今の声、それに名前って……
「で、デージーさん!!」
「「ん?」」
そう私が声を張り上げたら、高速で移動していた2つの影はピタリと動きを止め、その姿を明らかにした。
1つは背の高いモデル体型で夜空のように綺麗な長い黒髪をポニーテールにした女性。
そしてもう1つは、私たちのよく知るデージーさんの姿だった。
「で、弟子ちゃん? なんでここがわかtt」
「ふんっ!」
「ぶべらっ!?」
とりあえず一発殴っておいた。慈悲はない。
「で? なんで逃げたの?」
「あ、いや、その……」
「はやく説明」
「はいっ!」
取り合えずその場にデージーさんを正座させ、事情を聞くことにした。
「うわぁトーカちゃんこわ」
「完全に主従逆転しとるやん」
「……女ってこわいな、カゲロウ」
「同感だ」
なんか外野が言ってるけど気にしないでおこう。
「えっと……あの門を潜ったら忘れてたこと全部思い出して、それに体も取り返したみたい」
「へ!? マジ!?」
「まじまじ」
てことはなに? またボスになる可能性あるってことじゃん。
「取り込んでることわりぃけどさ」
そんなことを話していると、先ほどの女性が私に声を掛けてきた。
「えっと、なんですか?」
多分この人が「オムグムさん」だよね……
「なにアタシのダチに手ぇだしてんの?」
「っ!?」
その瞬間、オムグムさんからオーラみたいなのが溢れ出した。
その迫力に、ゲームなのに足が竦んだ気がする。
「なに、アンタ何者?」
「で、デージーさんの弟子」
「ふーん、だったら……」
「……」
「取り合えずアタシと一戦ヤりな。話はそれから」
「……は?」
え、ちょま、どゆこと?
「む、無理無理無理だって! 邪神? とタイマンなんて!」
「へー、デージーの弟子ってそんな弱いの?」
「にゃっはっは、そんなわけないじゃん。私を倒したんだよ?」
「ちょっ!?」
「だったらいいじゃねぇか」
「へ!?」
「言っとくけど拒否権はお前にねぇぞ」
「ふぁっ!?」
なんかめっちゃ好戦的なんですけどこの神!!
あ、好戦的?
……この邪神わかったかも。
オムグムさん、フルネームを「ゾス=オムグム」。
まぁ簡単に言うと戦闘狂な邪神ってこと。
だから気を付けてなんて言ったんだねモルさん……
「モルさんヘルプ!?」
「あきらめなさい」
「モルさぁん!?」
……どうしてこうなったし。
たすけてだれか。




