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魔動戦役  作者: 宗像 尋耶
2/5

第2話 その名

導入部分、世界観説明回です。

どうやらあの教会は城の地下にあったらしく、今俺たちは城の上層を歩いていた。


「・・・ここだ。」


どうやらお目当ての部屋に辿り着いたみたいだ。

城ということもあり装飾は豪奢なものだがその部屋の扉は一際豪奢だった。


「姫様、夜分遅くに失礼します。ネイリーです、例の者を連れて参りました。入ってもよろしいでしょうか?」


赤髪の女・・・ネイリーの言葉を聞くやいなや扉が解き放たれた。

そこに居たのは透き通るような美しい金髪の少女だった・・・


(うっ・・・すごい可愛いし、美しい・・・こんな人間が存在するのか・・・!?)


それは一目ぼれだった。


「あの・・・」


「はははは、はいっ!な、何でしょうか!?」


見惚れていた所為で完全にテンパっていた。


「あなた様のことをずっと待っていました・・・」


「へ、あの、その、お、お待たせしました!?」


涙ぐみながらこんな事を言われた所為でおかしい返答をしてしまった。


「ふふふ、ありがとうございます。」


「い、いえ。そ、それよりもあの、俺この世界について知りたくてここに来たんですけど。その、説明なんてして貰えるとありがたいな~って。へへへ。」


「そうですね・・・あなた様はそれを知る権利が・・・いえ知らなければいけません。少し長い話になります。中で腰をつけながら話しましょう。」


「そうですか、ではお言葉に甘えて。」


「ええ!ネイリー、外の警備お願いしますね。」


「かしこまりました、姫様。」


扉が閉められ部屋の中に俺と姫様だけが取り残される。


「先ほどはお見苦しいところをお見せしました。大変お恥ずかしいです・・・」


「いえっ!そ、そんなことはないですよ!それにすごく可愛かったですし・・・」


最後の方の言葉は小さくなってしまった。


「それではまず自己紹介をさせていただきます。私はエルヘンヒンデ城城主リンネ・エルヘンヒンデ。この空の大陸を納める者です。」


「空の大陸?」


「はい、この世界には4つの大陸が存在します。1つはここ空の大陸。2つが龍を崇める龍の大陸。3つが魔道具の発展した機械の大陸。

 そして最後が全ての生命の始まりと言われる原初の大陸です。」


「なるほど。」


「そして、この空の大陸は今、滅亡の危機にあります。」


「え・・・?」


「それがあなた様を・・・異界人をこの地に呼び出した理由でもあります。」


「異界人・・・?それが俺のこの世界での呼ばれ方なんですか?」


「はい。あなた様方異界人の方は今はまだ使えませんが、この世界では体内の魔力を行使し使用できる。魔法が存在します。この世界に住まうものほとんどが使えます。

 しかしながらその魔力量・魔導抵抗には大きな個体差があります。また使える魔法も人によって異なります。

 しかし、あなた様方異界人の方は何故かほとんどの者が巨大な魔力、大きな魔導抵抗、強力無比な魔法を使えます。」


「・・・それはあなたが何人もの人をこの世界に召還した結果、得られた統計と?」


「いえ、私も半年前召還の儀式は行ったのですが、その時には何も召還がなされず諦めかけた時現れたのがあなた様ですわ。」


「そうですか・・・。では、何故そういった統計が?」


「それは・・・200年前の大きな大戦や、遥か昔の古文書や石碑からの考察です。そこには異界より喚ばれし者達の活躍が記されていました。

 それをいくつも集め研究した結果異界人は我々でいう大魔導士並の魔力を持つとういう結果に至りました。」


「なるほど、わかりました。それで異界人を召還するって結論に至ったこの大陸の危機とは?」


「はい、説明させていただきます。まず、この国は女性の方が力が強い女流国家なのですわ。そのため代々王家を継ぐのは女と決まっていますの。

 しかし、だからと言って男の存在が必要ないわけではありませんわ。一族を繁栄させるなら男も必要当たり前のことです。

 だけど、3年程前からおかしな奇病が流行り始めました。それは昨日まで男だったものが突然女に変わるといったものです。

 夜、寝て起きると女に変わっているそういったことが大陸中で起き始めました。変わる者もいれば変わらない者もいる大陸中大騒ぎになりました。

 大陸中の医者が検査しましたがどんな病気なのか全然わかりませんでした。皆夜が訪れるのを恐れました。明日変わるのは自分かもしれない、自分の大切ない人かもしれないと。

 しかし、1年前城の魔法研究員が変化した者と変化しなかった者を調べたところ変化した者は魔導抵抗が弱いことが判明しました。」


「あの~、その魔導抵抗ってなんですか?」


「魔道抵抗とは魔力の元マナに対する抵抗力のことですわ。マナというのはこの世界に存在している魔力の元となる物質です。

 これが高い者は魔力をたくさん蓄えることができる生まれつきの資質です。また、魔法や呪術に対してどれほど抵抗できるかの力でもあります。」



「つまり、女に変化する病気は奇病などではなく魔法によるものだった・・・?」


「そうです。正確には魔法ではなく呪術ですね」


「う~ん?呪術と魔法はどう違うんですか?」


「そうですね・・・魔法は術者が居なければ使えない極一瞬の力の行使です。呪術は術者が居なくても使え、呪力の元さえ壊されなければ長期間に渡って影響し続ける力です。

 ただ、肉体に大きな変化をもたらす呪術は普通ありえないのです。普通、呪術にできることは精々人々の認識を変える程度のものです。」


「なるほど・・・。ところで、その呪力の元ってやつは見つかったんですか?」


「はい、既に幾つも破壊したのですが、破壊ししばらくすると元々なかった別の場所に新しく増えているのです。いくら壊してもこれではいたちごっこです。

 そこで方針を変えまして最初の方針である呪力の元を全て断ってから元に戻すのではなく、元に戻す方法を確立してから変化しない方法を探すといった方針に変更しましたが・・・」


「が、どうなったんですか?」


「呪力の元となった壺を調べたのですが我々にはわからない異界の文字で呪文が描かれていまして解読することが出来なかったのです・・・」


「なるほど、つまり俺はそれを解読するために喚ばれたってことなのか」


「いいえ、違います」


「違うのか!?じゃあ何で俺は喚ばれたんですか?」


「元々呪術というのは、呪う方法と解呪方法2つがあって呪術として成立するのです。つまりこの呪術にも解呪の方法があるはずなのです。」


「なるほど・・・。解呪の方法が記されたものを見つける、それが俺のやるべきことなんだな。」


「はい。機械の国の1番大きな国モーラルナーク。おそらく、その国が呪術を行っているはずです。

 そこであなた様にはモーラルナークへ行って解呪の方法を見つけて欲しいのです。」


「だけど、そこまでわかってるんなら国で何かしらの動きが出来るんじゃないのか?」


彼女は俯きながら答えた。


「・・・はい。そう思った先代の王は半年前お父様とお兄様と腕の立つ兵を集めて飛空挺でモーラルナークへと向かいました。

 また、王自らが出向くことで戦争をする意思はないという表明でもありました。そして、皆帰らぬ人となってしまいました。」


「殺されたのか・・・?」


「わかりません。連絡がなくなってしばらくしてから王に問いただしましたが、飛空挺など来ていないの一点張りで、

 おそらく最短ルートで向かったはずなのでもし墜落していたら機械の大陸の近くに横たわる大海峡に堕ちているはずなので調べることが出来ないのです。

 その大海峡はとても深くそこには鉄をも砕くとても獰猛なな海獣が多く生息しています。船でその上を通ろうものなら一瞬で喰われ、噛み砕かれてしまうのです。」


「だから真偽が調べられないのか・・・」


「しかし、連絡が途絶える直前お母様はもうすぐ着くとおっしゃってました。それほど近づいたのなら大海峡は抜けているはずです。

 つまり、お母様たちは国に近づいたところで捕らわれたか、殺されたかの可能性が高いのです。

 だから、あなた様には原初の大陸から機械の大陸へ向かってモーラルナークへ探りに行って欲しいのです。

 男性の数が激減し、今変化していない男性はすべて特殊な呪術をかけた施設に隠れてもらっています。

 そのおかげで国力は下がり、腕の立つ者たちの多くも居なくなったこの大陸に戦争を仕掛ける力も原初の大陸を抜ける力もありません。

 しかし、王としてどうにかしてこの現状を打開しなければいけない。そこで私は断腸の思いで異界人を召還しその力に頼ることにしました。

 大変勝手なお願いだと思います。もしかしたら、命を落とすことになるかもしれません。あなた様には関係のない世界のことです。

 ですが、どうかこの国を、大陸に住まう民達を助けて貰えないでしょうか・・・」


「・・・・・・・・・・。」


「駄目・・・ですよね」


「・・・いえ、わかりました。やって見せます。この国を・・・大陸を俺が救って見せます!

 それに、目の前に困って俺に助けを求めている人が居るんです。ここで断ったら俺は男じゃなくなっちまいます!

 だから、俺にこの国を救わせてもらえないでしょうか・・・?」


「うううう・・・。あり、がとうご、ざいます・・・・」


彼女は泣いていた。


「泣かないでください。俺はあなたの泣き顔を見たくないからこの国を救うと決めたんです。」


「はい・・・。はい・・・。でも、泣き止みたいのですけど、どうしても涙が止まらなくて、泣き止むまで少し待っていただけないでしょうか・・・。」


「大丈夫です。泣き止むまで何時間でも待ちますよ。」


「・・・ありがとうございます。」


こうして、彼女が泣き止むまで10分程かかった。


「お見苦しいところをお見せしましたね。お恥ずかしいです・・・」


彼女の顔は赤くなっていた。


「い、いえ。だ、大丈夫ですよ!感極まって泣いちゃうなんてそんなの人間なんだから当たり前ですよ!」


「お優しいのですね。・・・そういえばあなた様のお名前聞いていませんでしたね。お伺いしてもよろしいでしょうか?」


「あ、そうっすね。名前・・・名乗っていなかったですね・・・。すっかり忘れていましたよ。

 俺の名前は・・・・


             "水無瀬(みなせ) 黎兎(れいと)"

                                         です。」

(説明回は)まだ続くんじゃよ。

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