進化とステータス
ちょっとお茶目なシーンを入れ過ぎてますが、バターちゃんの頭は悪くないです。
自分の事を客観視できない時があったり、棚に上げることが多いだけです。
2018/05/05 3:05追記
ステータス表記を一部間違えてたので修正してます。
個別スキル→固有スキル
タマちゃんとの散歩中に人間の気配を感じた。
帝王の縄張りで人間と出会う。これはゴブ太郎と人間の接触する可能性が高いということ。敵対者との接触は殺し合いを意味する。
ゴブリンと人間の殺し合いの場合は人間が勝つ事が多い。でもゴブ太郎達はただのゴブリンではない。ホブゴブリン、つまり森の帝王だ。心配する必要はない。
森の帝王に心配はいらないが、念の為斥候に出ることにする。
私はステルス性能が高い。斥候能力だけは帝王にも負けてない。
人間達はすぐに見つかった。戦士風の男2人、狩人風の男1人の3人組のようだ。男だけとはむさ苦しい。
斥候に来たが、私には彼らの強さはわからない。装備にしたって、私が見たことのある人間はみんな同じような装備だし、その同じような装備がどの程度強いかもわからない。
ほとんど何もわからない私だが、やれる事はある。血液採取による情報取得だ。
私は早速冒険者の1人に飛び乗り血液の採取を始めた。
もちろん全員分の血液を採取する。
この血液採取、一体何がわかるのか。
結論から言おう。何もわからない。
では何故、血液を採取するのか?それは……。
人間の血っておいしいのよね。
血液採取という名のランチタイム突入!!
たしかに人間はゴブリンの敵対者だけど、帝王たるゴブ太郎達が負けるわけないからね。
全く心配してないと言ったら嘘になる。当然だ。家族だもの。
でも信頼のほうが勝ってる。だから調査なんかより新鮮な人間の血を啜るほうが大事。
そもそも情報を取得しても、ゴブ太郎達に伝える手段がないしね。
そして何より私は進化直前だ。
と言う訳で、私は今血を啜っている。
ゴブ太郎達により大幅に強くなっている私が新たな血を取り入れる。
こうして私は進化した。
【名前】
バター
【種族】
ハイモスキート
【ステータス】
LV:1
力:1
耐久:1
魔力:1
敏捷:27
【種族スキル】
吸血
【固有スキル】
消音飛行lv3
貯蔵庫lv2
?
あれ?
敏捷……?
ステータスが下がってる!?
進化前は38だったのに……。
え、あれ? どゆこと?
さすがにステータスが下がるのは予想外です……。
進化して弱くなるなんて……。
モスキートになった時は、微量ながらステータスが上昇していた。
なんで下がってるの? ハイってハイエルフとか、そゆやつよね? 頭がハイとかじゃないよね?
モスキートの上位種じゃないの??
種族説明を確認すればわかるかな? でも、どうせまた大したこと……
『モスキートの上位種。モスキートと比べると力と耐久力が大幅に上昇している。体重が増加した事により、敏捷性は下がっている。モスキートと見た目がほとんど変わらないため、一部の虫マニアにしか見分けられない。虫マニア協会の上級試験にハイモスキートの見分け問題が出題される。』
長いいいいいいいいい
初めての長さ! さすがハイモスキート!
……? 虫マニアってなに!?いや、虫マニアって言葉の意味はわかりますけど!!
なんで種族説明に人間の団体が乗ってるの……。
そして力と耐久が大幅に上昇……?
変わってねえよ!!!
いや、もしかして……、私の力や耐久力はちゃんと上がってる?
ずっとおかしいと思っていた。上昇しているのが敏捷だけだけなわけがない。
耐久力についてはわからないけど、力が上がっている感覚はあった。だけど、ステータスという視覚化された情報に惑わされて、正しく認識できなかった。
自分の感覚を信じよう。
推察するに、私の力や耐久力は1に満たしていないのではないか。だから上昇してもステータスが更新されない。
とすると、このステータスはいったい何が基準なんだろうか……?
実はステータスの基準ついて、以前から予想していたことがある。これは人間が基準だと思う。
人間のステータスを見たことはないけれど、ステータス1とは人間の初期ステータスなのではないか?
考えて見れば種族の説明もそうだった。モスキートの種族の説明を見たとき「害虫」となっていた。
しかし、蚊を害虫と認識しているのなんて人間くらいではないか? 私も元々蚊を害虫だと認識していたせいで、最初は気にしてなかった。
でも人間以外、タマちゃんやゴブ太郎達は私のことを受け入れてくれている。
何故モスキートである私が人間基準のステータスで評価されているのか?
少し気になるけど調べようもない。頭の片隅に追いやろう。
表示上のステータスは下がっているけど、弱体したわけではない。今はそれだけで十分。
弱体……してないよね?
とりあえずタマちゃんと合流することにした。探すのは簡単だ。1ヵ月も一緒にいるとタマちゃんの行動パターンもなんとなくわかってくる。
いや、言い方を変えます。運命の糸をたどっていけばすぐ見つかる。
タマちゃんはすぐに見つけることができた。お昼寝中だった。私は空の王者と出会うこともなく、無事合流できた。運命の糸があるから当然と言えば当然である。
タマちゃん寝顔は殊更かわいい。
私は、起きるまで寝顔を観察して待つことにした。
「ニャ―」
鳴き声とともにタマちゃんは目覚める。
寝起きのタマちゃんもかわいい。
おはようのキスとしてタマちゃんの血を啜ってあげた。
タマちゃんは寝起きがよく、私のキスを受けてすぐに散歩を再開する。
******
人間がいたこと以外は何事もない1日だった。
しばらくタマちゃんと散歩して、日が暮れる頃に城に帰ることにする。
城につくと、初めて出会った日と同じようにゴブ太郎が迎えに来ていた。
タマちゃんを真っ先に迎えるのはいつもゴブ太郎だ。毎日ゴブ太郎がタマちゃんを迎え、LOVELOVE空間を発生させる。
正直嫉妬してしまうが、この二人に割って入るのは無理だと諦めている。それに私はゴブ太郎の事も気に入っている。
しばらくイチャついた後、ゴブ太郎はタマちゃんを抱えて城の奥に向かう。夕食の時間だ。
1日の終わりにみんなで夕飯を食べる。日が落ちるころには見張りを残して寝る。ゴブ太郎達は規則正しい昼行性で、夜はGoodnightだ。
人間達の事は気になるが、見張りもいるし大丈夫だよね。
お休みタマちゃん。Zzz
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蚊の朝は早い。
早朝5時、私は目を覚ました。
今日はいつもと様子が違う、血の匂いだ。新鮮な血の匂いが城内に漂っている。
私は飛び起きて血の匂いのする方向へ向かった。
匂いは食糧庫の方向から漂っている。
私は一心不乱に飛んで行った。進化して遅くなった自分の体が恨めしい。
そして、匂いの元にたどり着いた私が見たものは、血まみれとなっているゴブ太郎達だった。
数値上は弱体しているように見えますが、決してそんなことないです。
上昇を倍率にすると大体下記のようになります。
力2倍
耐久2倍
敏捷3割減
こうして見ると凄く強化されていませんか?インフレです。
RPGでこんな強化アイテムがあったら絶対に使いますよね?
敏捷特化キャラでなければ……。
次回更新ですが、日曜の夜には更新したいです。
希望です、私の。GW中にもう一回更新したいです。
無理だった場合は月曜の夜になります。
だんだんとシナリオの確認が大変になりますね。。。




