家族と城と羽休め
ちゃんとサイドストーリーも織り交ぜたいのですが、なかなか難しいですね。
シナリオ一直線な物語なんて、単調でつまらないですよね。そんなの設定資料と同じです。
私は設定資料読んでるの好きですけどね。
蚊の朝は早い。
早朝5時、私は目を覚ました。5時は想像。早朝だけに……。
私は今、森の帝王宅で。いや、森の帝王の城で暮らして1ヵ月が過ぎようとしていた。
帝王の城は広大だ。私基準で言えば、10億人?は収まる大きさだ。いや10億どころではすまないかもしれない。恐るべし、帝王の城。
冗談はさておき。気が付きましたよ。
なんと……、私を基準にすると……、なんでも大きくなる! いや、最初に気が付いてたんですけど! でも、たまに、たまに! 抜けてしまうんですよ!!
でもこの洞窟は実際に大きい。
入口からすぐのところで二股に分かれており、片方は食料庫、もう片方は寝室などの生活空間になっている。そして、分岐した先も分岐して、さらに隠し通路まである。
毎日探検にでかけているが、まだ全体を把握できてない。
今も探検中だ。ここはタマちゃんが程よく間引きしているので安全。そして、私の飛翔トレーニングにもいい。
そう飛翔トレーニング。
ようやく突風の原因がわかりましたよ。すごく単純でした。
それは……、私の体が軽すぎるせい! これにはびっくり。
軽すぎてちょっとした風で飛ばされてしまう。何故気が付かなかった私。
そのことに気が付いた私は、風の中でも飛べるように飛翔トレーニングをすることにした。
トレーニングといっても特別なことはしていない。ただ飛ぶだけ。
洞窟の中は程よく風がきて、場所によって風速も変わるようで段階が変わる。まさにトレーニングに打って付けだ。外敵のいない安全な空間ってところもポイント。
そうして特訓していると、私から見て洞窟の奥に帝王の一人がいた。
自分ルールで帝王が来たら休憩タイムと決めているので、休憩することにする。
モーニングタイムである。
ちなみにこの帝王、ゴブ太郎――当然本当の名前ではない。私が勝手に名前を付けた――はこの城でリーダーをやっている。
この洞窟には他に4人、合計5人のゴブリンがいる。このゴブリン達は普通のゴブリンの上位種のようなので、ホブゴブリンと私は呼んでいる。
ちなみにゴブ太郎は私が最初に出会ったホブゴブリンである。
ゴブ太郎は、一番奥の一番豪華な部屋を寝室にしている。豪華といっても所詮洞窟だけど。
ちなみに他のホブゴブリンと見た目の違いはほとんどない。少なくとも私は区別ができない。
では何故違いがわかるのか? それは、血が断然おいしいく、そして経験値が多いのである。
そもそもホブゴブリンの血は、他のゴブリンと比べるとおいしくて経験値が豊富にある。おかげ様でレベルも順調に上がっている。
ただ、少しずつだけど、経験値の効率が下がっているように思う。恐らく同じ相手から啜っていると、経験値の効率が下がるのかも知れない。
近いうちにまた旅にでないといけないな……。
ちなみに現在の私はこんな感じ。
【名前】
バター
【種族】
モスキート
【ステータス】
LV:9
力:1
耐久:1
魔力:1
敏捷:38
【種族スキル】
吸血
【個別スキル】
消音飛行lv2
貯蔵庫lv1
ひっそりとスキルが増えている。このスキルは所謂アイテムボックス……ではなく、血を貯蔵できるスキルだ。簡単に言えば、食い溜めができるようになるだけ。
ちょっと地味だけど、これから旅に出るときに役に立ちそうです。
そうそう、ゴブ太郎達はこの辺り一帯のゴブリン達の元締めのようなポジションらしく、たまにゴブリンが食料を納めにやってきている。
やはり私の読み通り、ゴブ太郎達は格が違うようだ。
余談だけど、一度だけゴブリンがゴブ太郎に体を捧げているのを見てしまったときがある。それ以来彼らの寝室には不用意に近づかないようにしている。もう二度と見たくない。
この森はタマちゃんよりも強い生物は沢山いる。しかし、ゴブ太郎の子分たちに間引きさせて、タマちゃんの行動範囲は安全になっている。逆に言うとこの近辺だと私の獲物がが彼らしかいないのである。
旅にでないと私の成長にもいずれ限界がきてしまう。
最初はちょっと羽休めのつもりだったけど、短い間でこの城にも愛着が沸いてきている。何よりゴブ太郎達との生活が楽しくなってきていた。
最初はキモメン達とどのように接していいかわからなかった。でも、彼らと私には猫が好きだという共通点がある。猫が好きなんて生物として当たり前の本能だから、あえて共通点として上げるのもおかしいかもしれないけど。
とりあえず彼らとは、タマちゃんを通して良好な関係を築くことができていると思っている。
私主観で! 一方的に!
閑話継続
ゴブ太郎達は今食事中だ。ゴブ太郎達は意外と規則正しい生活を送っており、朝6頃にはいつも朝食をとっている。当然6時は想像。
食事は家族全員でとる。当然タマちゃんも一緒。
「ニャ―」
タマちゃんが私(ゴブ太郎)に甘えてきた。カワイイ
「タマ、@@@@@@@@@@@@@@」
タマちゃんはゴブ太郎に一番懐いている。ちょっと嫉妬しちゃうけど、ゴブ太郎のタマへの可愛がりを見ていると納得する。
ニヤニヤしながら猫を抱きかかえるゴブリンというのも、意外と可愛いものである。
今日のお出かけの時間のようだ。タマちゃんは毎朝ゴブ太郎とじゃれた後にお出かけしている。おかげで私とタマちゃんは出会えた。運命ですね。
お出かけは当然私も一緒だ。引率する保護者である。ゴブ太郎達から任されている大事なお仕事なので、気が抜けない。
あぁタマちゃんかぁいいいいいいいい
タマちゃんの日課のお散歩は、まず縄張りの確認から始まる。
タマちゃんの縄張りはゴブ太郎達の縄張りより少し狭い。洞窟から凡そ200m程度の距離までが縄張りとなっているようだ。私が以前助けられたのはその中でもかなり端のほうらしい。
ちなみにゴブ太郎達の縄張りの全体像は把握していない。子分たちの縄張りも込みになるからね。
縄張りの中で狩りをしていると、巨大生物の気配がする。
木々の枝をわざわざ切りながら進んでいる。ゴブリン達はわざわざ切ったりしない。これは人間が通った後だ。
人間、つまり冒険者が縄張りに入ってきている。
ゴブリンと人間は敵同士である。人間とゴブリンを同時に見たときは、毎回殺し合いをしていた。
ちょっと心配だけど、ゴブ太郎達の強さなら大丈夫だよね。
ホブゴブリンと人間の冒険者……!その運命やいかに!
次回は土曜日0時を予定してます。
次回は予約ではなく手動で投稿しようと思ってますので、多少ずれると思います。
気が付いたのですが、文章の大半がバターちゃんの妄想になってますね。
一応補足ですが、最初のほうで帝王の城で暮らして1ヵ月、と記載してますが、これはバターちゃんの感覚です。
それとバターちゃんは、ホブゴブリンに一切認識されてないです。当然タマちゃんにも