帝王現る
間を置いたにも関わらず文章量少ないです。
毎日投稿してる人ってどうやってるんでしょうか。
ちょっとずつ3人称を増やしているつもりなのですが、モノローグが多すぎてごっちゃになってるかもしれません。
ネコちゃんこと森の王者の背に揺られていた。
もう飛び立てる程度には体力を回復している。だが、まだ森の王者からは離れない。
それには理由がある。
しばらく森の王者と生活を共にすることにしたのだ。もちろん森の王者には了承を取ってない。
そもそも了承なんて取れない。
というのも、最強暗殺者になる、その目標に少し思うところがあったからです。このままではいけない。
森の王者の生活を学び、自分の糧とすることにした。最強から学べる事が沢山あるはずです。
モスキートは暗殺最強種族のはず……。なんと言っても前世の世界でキルスコア世界一の生物でしたから。
でも世界が変われば違いもでる。今後暗殺道を極めるには、この世界の強者の情報が必要不可欠。そう思います。
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私は世界を知らな過ぎたように思う。あれから驚きの連続でした。
なんと、空の王者が……沢山いた。
そして幾度となく森の王者に狩られていました。そう、虫けらのように。
やはり森の王者は最強です。最初に可愛いだけの愛玩動物だと思っていた自分を殴ってやりたい。
孤高の最強生物。それが森の王者です。
その時の私は本気でそう思っていた。いや、思おうとしていただけなのかもしれない。
私が森の王者の血を啜りながら休んでしばらくすると、獲物を探すのをやめたようだ。
歩みがまっすぐになった。森の王者は住か――王者だから城かな――に帰ろうとしている。
城にはわりとすぐにたどり着いた。大きな洞窟だ。いや、大きすぎる。
洞窟の入り口は、高さだけでも森の王者の10倍はあろうかというほどの大きさだ。
生物は体格で住む家、落ち着く空間が変わる。森の王者との体格が違い過ぎる。そして、別の生物がいる気配がする。これはもしや別の生物の住処……?
帰ろうとしているのかと思ってたけど、この洞窟の中にいる獲物を狩るのかな?
ちょっと大き過ぎる気もするけど、森の王者なら楽勝だよね。
ガサガサ
すると、洞窟の中から何かが姿を表した。
緑色の体色、頭の悪そうなニヤケたキモメン。そう、ゴブリンだ。
ゴブリンは森の王者と比べても巨大な存在だ。
しかし、私は森の王者の強さを知っている。
森の王者は、自分より数倍も大きいゴブリンですら捕食してしまうよです。
ゴブリンはニヤニヤと笑いながら森の王者に近づいてくる。
森の王者を甘く見ているのかな?
たしかに自分より小さい生物が近づいてきたら、普通は飛んで火にいる夏の虫って思うからね。
でも……
こいつら、死んだな。そう思っていると、ゴブリンが口を開いた。
「タマ」
ん?
ゴブリンがニヤケた顔で何か言っている。
森の王者がそれに答えた。
「ニャー」と。それもかわいい声で。
森の王者が猫なで声??
そして森の王者がゴロゴロ言い出してる……?
何か様子が変だ。
そうしていると、予想外の事が起きた。
なんと森の王者がゴブリンにすり寄っているではないか。
そしてゴブリンが森の王者を撫でまわしている。
「タマ、@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@」
何を言っているのかわからないけど、森の王者をタマと呼んでいるような気がする。
まさか……?
いや、おい、嘘でしょ……?
愛玩動物じゃねえか!!!!!
しかも、もしかしなくてもタマって名前!?
タマって次元を超えたCATNAME!?
いやそれより、ネコちゃんこと森の王者ことタマちゃんを飼いならしてる……?
ということは……
このゴブリンは森の帝王!?
たしかにこのゴブリンは、他のゴブリンよりそこはかとなく大きい気もする。
突然変異の上位個体なのかもしれない。
世の中には上には上がいるものだ。まさか森の王者よりさらに上の存在がこの森にいるとは思いもしませんでした。
それもRPG等で定番雑魚のゴブリンです。
世界最強の暗殺者(目標)を軽く屠る実力を持つ空の王者、を虫けらのごとく食べ散らかす森の王者、をたやすく手なずける森の帝王。
この世界は強者で満ちている。だが、だからこそ私が世界最強を目指す価値がある。
そうしてしばらくじゃれ合った後、帝王は王者を抱き抱えた。洞窟の奥、おそらく寝床に行くのだろう。
LOVELOVEな雰囲気に嫉妬してしまいそうになる。
そう思っていると、奥から気配を感じた。
ガサガサとまた新たに表れたのは……
なんと、緑色のキモメン達だ。達、つまり複数だ。
森の帝王と同じ姿、大き目の個体のゴブリンが複数現れた。
帝王が分身!?
そんなわけがない。森の帝王と同一種族が複数いるのだ。
空の王者が沢山いた時も驚いたけど、さすがに帝王が沢山いるのはおかしい……。
私は何か大きな認識違いをしているのでは……?
このときの私は、現実逃避をしていたように思う。
ゴブリンが森の帝王なわけがない。タマちゃん、つまり猫が森の王者であるわけもない。では何故このように思ったのか。そう、空の王者――と勝手に決めつけていたトンボ――を簡単に倒したからだ。
では何故ただのトンボを空の王者だと思ったのか。それは、怖かったからだ。死の恐怖から勝手に空の王者と決めつけていた。自分を殺すよう存在は何か特別な力を持っているに違いないと……。
そのことに気が付いたのは、しばらく後のことだった。
タマちゃんはこの作品で初めて呼称されたキャラクターになります。
主人公のバターちゃんは、今後も名前を呼ばれることはないと思います。
忘れられそうなので、これからは後書きにバターちゃんの名前を書くようにします。
正直名前を憶えてなくても読む分には何も支障はないのですが……。
次回は火曜日の12時を予定してます。