表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/34

side魔女:出会い

今回は冒険者一行のもう一人のメンバーになります。

 ザボン一行がジカの森へ出かけている間

 一人の魔女が留守番をしていた。


 ☆☆☆☆☆☆


 私はキュリー、町の連中には魔女なんて呼ばれている。

 自分で言うのもなんだが一流の魔法使いだ。私以上の魔法使いなど早々いない。

 かつては別の仲間たちと旅をしていたこともあるが、色々あって今はザボン達のパーティに厄介になっている。

 元々は都心に住んでいたが、存外にこの田舎町の事は気に入っている。 



 ザボン達がジカの森へ出かけて何日たったことだろうか。

 ジカの森は初心者用の森だ。本来私たちが行くような場所ではないが、ザボンの弟が行方不明になっている。

 私も面識があるやつらだ。だが、10日以上行方不明になった者が生存した話などほとんど聞かない。


 初心者用の森とはいえ、仲間が出かけているとなると心配になる。

 今回は探索任務だから私は出てないが、単純な戦闘力で言えば彼らは私よりも弱い。

 何故か嫌な予感がする。あんな森であいつらがどうにかなるとは思えんが……。


 コンコン


 扉をノックする音、この家を訪ねてくる人間は少ない。

 あいつらが帰ってきたのだろうか。


 私は期待しつつも扉を開けると、そこに何かを抱えているアップルがいた。

 そう、アップルだけだった。


「あんただけかい?」

 別にアップルだけだったことが不満なのではない。

 仕事終わりに尋ねてくるなら、他の3人もいるのが自然だ。

 3人に何かあったのだろうか?

「はい、ドドリさんとギニュさんはギルドに行ってます。ホブゴブリンを討伐したので、その報告です。ザボンさんは体調が優れないとの事なので、先に帰宅しました」


 アップルの話にはザボンの弟達について一切触れていない。そこについては予想はしていた。

 ショックではあるが、覚悟はしていた。


 とりあえず全員帰ってきている事にホッとするが、ザボンの体調が優れないだと?

「大丈夫なのかい?」

 ザボンの体調不良は出会ってから初めてだ。普段体調を崩さないやつの体調不良、それも冒険の帰りに、だ。

 精神面から体調を崩した可能性もあるが、何かあるかもしれない。


「本人は大丈夫だと言ってましたが、後で家に訪ねてみようかと思ってます」

「ホブゴブリンに何か毒を盛られたとかないかい? ちょっとした怪我でも毒が塗られてポックリ何て事もあるよ?」

「切り傷一つ負ってないので毒ではないと思います。空気感染なら私たちにも影響があるはずなので、空気感染もないと思います」

「そうかい、ならいいが……」

「それよりも、帰る時にゴブリンを狩りすぎてしまったので、ギルドからのお叱りのほうが心配です」

 アップルはそう言って苦笑いする。


 ザボンの体調が優れないから真っすぐ森を突っ切ったそうだ。

 ゴブリンは魔物だが、ジカの森の生態系において頂点に立っている。その頂点を絶滅させた場合、何が起きるかわからない。あまり狩り過ぎるのも良くないのである。


 とりあえず無事だったならそれでいい、それよりもずっと気になってたことがある。

 視線をアップルの手元に向ける。

「ところで、さっきから気になっていたんだが……、その猫はなんだい?」

「そうでした、この子の事で話があったんです」


 アップルはジカの森で起こった出来事、ホブゴブリンの討伐について話してくれた。

「それでホブゴブリンを狩った後、洞窟の出口にこの子がいたんです。ホブゴブリンがペットとして飼っていたみたいで……、このままだと死んでしまうと思って保護したんですけど、私達には懐いてくれそうになくって……」

「それで私のところに来たってわけかい」

 飼い主を殺されたんだ。殺した相手に懐くわけがない。


「はい……、猫はお嫌いですか?」


「そんな人間いるわけないだろう。私も猫は大好きだ」

 猫は可愛くて人懐っこいため人気が高い。私も当然猫が好きだ。

 だが希少なため、見かける事も少ない。ましてやペットとして飼うなんて貴族くらいのものだ。

「突然で申し訳ありません。本来ならこの子の主を殺した私たちが責任を取るべきですが、この子の事をお願いしてもよろしいでしょうか?」


「ああ、お前たちの頼みだ。それに、私もお前たちと同じパーティじゃないか。お前たちの責任は私の責任でもある。引き受けよう」

 頼まれなくても大歓迎だが、アップルの手前少し感情を抑える。

 私はパーティでご意見番のような立ち位置だ。あまりかっこ悪いところは見せられない。

 大丈夫だろうか? 表情に出てないだろうか?


「私といるとこの子も落ち着かないでしょうから、私はザボンさんのお見舞いに行ってきます。ではこの子の事、よろしくお願いします」

 心配ないと言っていたが、やはりザボンの事を心配しているようだ。アップルは急いでザボンの元へ向かった。


 アップルが帰った後、猫を見つめる。

 先ほどアップルがいた時と違って怒っている様子はない。ただ単に落ち着かない様子だ。

「ふむ、まだ警戒しているようだが、アップルのように嫌われてはいないみたいだな」

 やはり猫は可愛い。猫を飼うと独身が長くなると言われているが、それも致しかたない。 

 これから一緒に暮らすんだ。さて、なんと呼ぼうかね。

 もしかしたら既に名前があるかもしれない。 

 適当に呼んでみるか。

「シロ」

 色が白いから安直に白と呼んでみる。どうもしっくり来てない様子。

「チビ、もだめか。じゃあ、ポチ、もダメだな。」

 いくつかそれっぽいものを呼んでみるもダメだ。やはりホブゴブリンと人間では感性が違うのかも知れない。そう思っていると――

「タマ」

 ――と呼んだ瞬間、耳がピクリとする。


「タマ」


 もう一度呼ぶとこっちを見た。

 やはり名前はタマのようだ。

 ホブゴブリンは、意外と人間と感性が近いのかもしれないな。

「そうか、お前はタマっていうのか。」

「ニャ―」

 名前を呼んだおかげか、警戒心が薄れたように思う。

 かわいい。戸惑いつつも私にうるんだ瞳を見せてくれる。かわいい。すごくかわいい。


「タマ、これからは私がお前の飼い主だ。よろしくな」

 こうして私とタマは運命の出会いを果たした。

特にどこにも書いてないですけど、毎週日曜日更新のつもりです。

余力があったら+αで別の日にも投稿したいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ