受け継ぎし者
お気づきかと思いますが、しばらく視点がコロコロ変わります。
私が空の王者に就任したその日。城に帰ると違和感を感じた。
いつもは帰るとすぐに迎えにくるゴブ太郎がいないのだ。
そして城内に血の匂いが漂っていることに気が付いた私は、急いで匂いの元へ行く。
そして匂いの元に辿りつくと、そこには血まみれのゴブ太郎達がいた。
☆☆☆☆☆☆
血の匂いを辿った先、そこにいたのは人間達と、横たわるホブゴブリンのみんなだった。
みんな、倒れていた。
上半身と下半身が分かれている者、恐怖に満ちた顔で頭だけになっている者。
ひどい……。
そして……
あれ、ゴブ太郎?
ゴブ太郎までもが倒れていた。最強のゴブ太郎が……。
え?
そんな? 最強のはずのゴブ太郎がこんな?
夢? どこから?
いや、このリアルな匂いは夢なんかではない。
ゴブ太郎!!
私はすぐにゴブ太郎に駆け寄った。まだなんとか息がある。
死なないでゴブ太郎! あなたが今倒れたらタマちゃんはどうするの!?
タマちゃんだけじゃない! 私は、私はようやくゴブ太郎達のところから一人立ちしようと思ってたんだよ!?
挨拶をして、旅に出て、そして強くなって皆と肩を並べたかった!!
なんでなの……。
ゴブ太郎が私を見つめてくる。何か私に言おうとしているのがわかる。
きっとタマちゃんの事だ。私にタマちゃんを預けようとしている。
タマちゃんも一緒に連れてくればよかったかな。
ダメだ……。タマちゃんを連れてきたらこいつらに殺されてしまう。
わかったよ。大丈夫、私がタマちゃんを守るから。
だから安らかに眠って。
そう私が思うと、あっという間だった。
ゴブ太郎はあっさりと息を引き取った。
その表情は意外にも穏やかだった。
圧倒的な強さをもっていたゴブ太郎が……。
私の目標であり、強さの象徴だったはずのゴブ太郎。でも死んでしまった。
なんなんだこいつらは? 何か卑怯な手を使ったのか?
正面から戦ってゴブ太郎達が負けるはずがない。
くそ! ゴブ太郎が一体何をしたっていうんだ。卑怯な手まで使ってゴブ太郎を……。
ゴブ太郎だけじゃない。他の皆もいいやつだった。
こんな私を心よく受け入れてくれた大切な家族だ!
許せない。絶対に許せない。
絶対に仇をとってやる。
私の手でこいつらを殺す。そう決意した。
だがどうやって……? 思い起こせば私はまだ虫しか殺していない。
私の攻撃手段。そんなの決まっている、《吐血》だ。
限界まで勢いを強めればいけるはずだ。
だが私の血液のストックでは、狙えるのは精々一人くらいだ。
私は剣をぬぐっている赤毛の男に狙いを定めた。
間違いなくこいつがゴブ太郎をやったやつだ。
私はすぐに奴の首筋に食いついた。
そして、《吐血》
血を全力で吐き出す。
だが、効いた様子がない。
私の必殺技も人間には通じないの……?
くそっ! 病気のホブゴブリンの血もお見舞いしてやる!!
いくら勢いを強めても同じだ。効いた様子がない。
トンボが相手なら何十匹と倒せる量を出しているはずだ。
私が途方にくれたその時
あ、やばい。
風圧と共に影が差し込む。
パシンッ!!
今回短いので、次のお話しは明日投稿します。




