side冒険者2:不安
人と人との掛け合いは書くのが難しいですね…
正直もっと修正してからアップしたいのですが、棒アニメ化した人気作が話の後半部分を丸っと修正というすごいことをやっているのを見ました。
感銘を受けました。すばらしいです。
修正したとしても、話の筋を変えるつもりはないです。
と言う訳で、読みづらいとことかあったら感想をいただけると嬉しいです。
新人冒険者3人組が森に入って3日目
ジカの森の近くにあるアカゲ町。そこにいる冒険者の出来事。
☆☆☆☆☆☆
俺の名はザボン。
冒険者として活躍している。冒険者歴は10年ほど、この町の冒険者で俺の事を知らないやつはモグリとされる程度には有名だ。
先日、ついに俺の弟が冒険者になった。ずっと教え込んできた可愛い弟だ。
そして二日前に最初の登竜門として有名なジカの森へ送り出したのだが……。
しかし、弟がいつまでも帰ってこない。
プランを聞く限りでは野営で1泊する程度なはずだ。
どう考えてもおかしい。怪我をして動けなくなったのか? だがそれだけなら仲間と一緒に帰ってくるはずだ。
弟達は俺たちがずっと鍛えてきたんだ。ジカの森如きでやられるはずがない。
誘拐か? 何のために?
ダメだ、考えても仕方ない。まずは冒険者ギルドに向かうことにしよう。
冒険者ギルドでは依頼の受注、発注から冒険者のサポートまで様々なことをやっている。
冒険者から冒険者へ依頼ももちろん可能だ。
俺はこの町では知らないものがいないほどの冒険者だ。
ついこの間Cランクに上がったばかりだが、Cランクの冒険者はすでに1流といってもいい。
冒険者の8割はDランク以下で終わる。Cランク以上はある程度才能のある人間でないとなれない。
それに20代でなる人間はさらに少ない。
俺達のパーティはこの町ではトップクラスと言っていい。
カランコロン
冒険者ギルドの扉を開けると、様々な視線が刺さる。
憧れ、嫉妬、畏怖。
田舎町とはいえトップ冒険者だからな。
俺は真っすぐに受付に行く。高ランク冒険者の場合は専属の受付嬢がいる。
休みの場合もあるが、今日は出勤しているようだ。俺が近づくと専属のフリズが変わって出てきた。
「ザボン様、本日はどうなさいました?」
「俺の弟が二日前にジカの森に行ったのは知っているよな? 未だに帰ってこないんだ。捜索したいから許可をくれ」
ジカの森は新人用の森で、新人が入る分には簡単だ。しかし、俺のような高ランク冒険者では入るのが難しくなる。
「申し訳ございませんザボン様。森への立ち入りを許可することはできません。あの森はFランクと一部のEランクのみ入場できます。ザボン様ほどの高ランクでは許可をすることができません」
「何故だ!!」
回りからの視線が突き刺さる。今度は先ほどと違い畏怖一色になる。
つい怒鳴ってしまったが、すぐに冷静になる。そもそもCランク冒険者がジカの森に入った前例はない。無理に決まっている。
「……、すまない。だが変わりに弟達の捜索依頼を出す。すぐに受け付けてくれ」
「畏まりました」
不安だがどうすることもできない。依頼をして、一旦自宅に帰ることにした。
翌日
「あれから進展はあったか?」
「昨日依頼を出しましたので、既に受注している冒険者もいます。ですが、昨日の今日ではすぐに報告はありません」
もどかしい気持ちもあるが、依頼をしてすぐに結果が出るとも思えない。
だが日が立つにつれ、生存が絶望的になる。一刻も早く情報がほしい。
さらに翌日
「どうなってやがる!!もういい!俺に行かせろ!!」
また何も成果がないと言われた。
「申し訳ございません! しかし、規則で森への立ち入りはできないのです」
「俺の弟は俺が鍛えてきたんだぞ!俺の弟に何かあるって事は、既にあの森は初心者用の森じゃなくなってるんだ!今すぐに調査させろ!!」
「お気持ちはわかりますが、あの森でゴブリンより強い魔物が出たとの報告はございません。強い魔物が発生した場合、魔物達の分布も変わりますが、そのような報告も受けていません。」
「元々居たのではないか?俺たちが知らないだけで、あの森の主のようなやつが」
「それは……」
その可能性は0ではない。
あそこはゴブリンが一番強い魔物のため、初心者向けの森としてルールを制限している。
そのため、数十年にわたり、全体の探索等はされていない。
「今どうなっているかなんてわからない。なら、俺たちに依頼をしたらどうだ? 俺たちなら間違いなく調査できる。万が一俺たちが帰ってこないようなことがあったら、それこそ封鎖すればいい」
フリズはしばらく考えて了承することにした。
「畏まりました。ギルド長に掛け合ってみます。森へ入るのはいつものパーティメンバーでよろしいでしょうか?」
「頼む」
その後、フリズが提出したジカの森への立ち入り申請はすんなりと通った。
冒険者の専属受付嬢の場合、申請は全責任を持って行うことになる。その代わりに提出した申請についてはすんなりと通る。
「お待たせしました。ジカの森への立ち入りを許可致します。明日から10日間入る事ができます。もしその間に調査が終わらない場合は打ち切りとなります。打ち切りの場合は成功報酬は払われませんのでご了承下さい」
「十日あれば十分だ。報酬についても問題ない。しかし明日からってのはどうにかならないのか?」
「申し訳ございません。規則です」
「そうだな。無理を通してもらったのはわかっている。ありがとう」
受付でのやり取りが終わり、これからメンバーへ声をかけようと立ち上がる。
そこに一人の魔法使いの女が声をかける。
「あんた顔色わるいよ? 復讐でもする気かい?」
「キュリーか、復讐なんかじゃない。あの森は今危険なんだ。だから俺の手で……」
キュリーと呼ばれた女はザボンのパーティメンバーの一人だ。
男の本能をくすぐるような体つきで、美人ながら年齢不詳の女だ。
「そうかい」
明らかに普段と様子は違うが、彼の弟の事をよく知るキュリーにしても、森を捜索することについては賛成だった。
「……すまない。本当はわかってるんだ」
「私も手を貸してやりたいが……、探索なんかだと私は足手まといだからね。何か手伝えることがあったら言いな」
翌日、ザボンの弟がジカの森へ出かけて六日目。ようやく調査を開始できる。
そこにはパーティメンバーが集まっていた。
守りが得意なパーティの盾役ドドリ
回復担当、僧侶のアップル
そして、探索に欠かせない狩人のニギュだ。
彼等3人にとってもザボンの弟は、弟子であり家族だ。
「今日からしばらくジカの森の調査をすることになった。知っての通りジカの森は初心者用の森だ。本来俺たちが入れるような森ではない。しかし、現在ジカの森には初心者では到底相手にできない魔物がいる可能性がある。魔物の調査、もしくは……、いや止そう。」
ザボンの呼びかけに大柄の男、ドドリが答える。
「リーダー、大丈夫だ。俺達もあいつらの事は弟のように思っている。あいつらがゴブリン如きに遅れをとるはずがない。調子に乗って巣に向かった可能性もあるが、それでもあいつらなら負けない。もしあいつらを害するような魔物がいるなら、俺もそいつを許すことはできない」
「とにかく一刻も早く森へ向かいましょう。きっとあの子達は私たちを待っています」
そう答えるのは、今回のメンバーで、唯一の女性のアップル。
子供のような外見ながら、慈愛に満ちた精神を持ち母性を感じさせる。彼女はまだ、弟子達が生きていると思っている。
「誘拐された可能性もある。ギルドへの捜索依頼はそのまま継続しておこう」
いつでも冷静なニギュがそう締めくくる。
こうしてジカの森への探索が開始された。
いきなり別サイドってどうなんですかね?
次回は普通にバターちゃん目線です。