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魔法世界にようこそ!  作者: 冷鳥ルイ
第一章 ランカーネ襲撃編
1/22

プロローグ

…き…ひな……ん


声が聞こえる。

聞き覚えのない声だ。

だが、うまく聞き取れない。

それに、なんだか意識がはっきりしない。

まるで寝ぼけている様。


「佐々木 陽向さん。」


今度は妙にはっきりと聞こえた。

女の子のような高い声だ。

頭の回転が追い付いてくる。

少年の視力も徐々に戻っていく。


「え?」


見慣れない真っ白な空間。

そして、正面には同じく真っ白な少女が一人。

どこからかあふれる光に、少年は照らされていた。

不自然な光景に少年は思はず声を漏らす。

すると、少女は少年に向かってもう一度問いかける。


「佐々木 陽向さん、ですね?」


少年、いや陽向は動揺する。

見ず知らずの少女が自分の名前を口にしたのだから。

状況が理解できない。

いつから自分はここにいるのだろうか。

起きる前の記憶を思い出そうとするも、どうも思い出せない。

記憶障害にでも陥ったのだろうか。


「あ、はい。そうですけど。」


ふと顔をあげると、少女が困った顔をしていたので、とりあえず少女の質問に対応する。

白い空間に、彼の声が響く。

返事を聞くと少女は安心したかのように顔が少し緩み、「では」と話をきりだした。


「陽向さんには、その……身勝手なのですが、お願いがあります。」


可愛らしく手を動かしながら、少女は申し訳なさそうに言った。

『お願い』の内容のせいなのだろうか。

少年は興味本位で聞く。


「私達の世界を救って頂きたいのです。」


真剣な表情で少女は言った。

彼女のお願いの内容はどうやらこれらしい。

陽向には意味がよく伝わっていないようだが。


「えっと、つまり……何?あー夢?明晰夢ってやつ?ほんとにリアルだな……」


「残念ながら、夢ではないです。現実です。証拠としてあなたの持ち物を見てみてください。」


陽向はこれが、明晰夢、つまりはリアルな夢だと勘違いしている。

しかし、少女は夢ではないと言う。

陽向は確かめる為に、足元に置いてある自分の荷物をあさる。

荷物は見覚えのあるリュックにまとめられていた。

中身はというと、筆記用具や教材などで、陽向はすぐに予備校帰りだったということを把握する。

そして、一番奥には黒く、薄くて四角い物が。

スマートフォンだ。

電源を入れると、20:07とでてきた。

陽向が通っている予備校は18時から20時なので、これも予備校帰りだということを示している。

スマートフォンの中身を見てみても、不自然な点は特にない。

他の持ち物も確認してみたが、いつもどうりの荷物だ。


「どうです?夢にしてはリアル過ぎません?」


少女は少年に確認する。

だが、少年は首を縦にはふらない。

まだ、現実だと認めていないのだ。

というよりも、もう一つ試したいことがあった。


「あーこれはもう現実……かな。」


少年はほっぺをつねりながら言う。

夢か現実か判断するときはやっぱりこれに限る。

結果は、無論痛かった。


「わかって頂けましたか。」


「あ、はい。」


少女の質問に今度は首を縦に振って答える。

その後、少年は深呼吸し、状況を整理する。


「えーっと、つまりここは現実で君は俺に世界を救ってほしい……ってこと?」


「まあ、そうです。」


「その……世界というのは?」


「『魔法』世界です。」


二つの質問をの返答を聞き、少年は歓喜する。

これが、夢にまでみた異世界召喚だと。

まだ、召喚はされていないみたいだが。

魔法世界という設定も良い。

シンプルで親しみやすい。


「どうですか?引き受けてくれますか?」


不安げな顔で言う少女に陽向は自信たっぷりといった。


「もちろん。引き受けた!」


真っ白な世界に再び陽向の声が響く。

そんな答えを聞き、少女は嬉しそうに微笑む。

陽向は先ほどから思っていたが、この女の子はかなりかわいい。

銀髪のベリーショートがとても似合っている少女で、見たところ年齢は陽向と同じ16歳くらいだ。


「本当ですか!ありがとうございます!」


少女は歓喜の声を漏らす。

表情も一気に明るくなった。

わかりやすく喜んでくれたので、陽向も悪い気分ではなかった。


「それで、具体的には何をすればいいの?」


「簡単に言えば、魔王を倒してもらいたいってとこですかね。」


「また随分と王道だな。」


魔王、それは男子なら一度は戦ったことがある超悪役。

陽向もRPGをよくプレイするため、魔王についてはよく知っている。

もしかしたら、相手が魔王ということは陽向は勇者になるのだろうか。


「なーんて。」


陽向は小声で呟いた。

陽向は勇者、という柄ではない。

どうやら陽向自身わかっているらしい。

メガネをかけ、ゲームが趣味。

身長が高いわけでもないし、筋肉もそんなにない。

勇者には程遠い少年だったのだ。


「ああ、もう時間切れですか、思ったより持ちませんでしたね。」


突如として、白かった空間が黒く点滅し始めた。

なんだか、この空間が歪んでいくようで気持ちが悪い。


「ごめんなさい、説明は以上で終了です。あと数秒後にあなたは魔法世界に移動します。あちらの世界についたら、まず王国騎士団のルカという人に会ってください。あと、これをつけていってください。」


少女は早口で言うと、陽向に近づき陽向の左の人差指に指輪のような物をはめた。


「それでは頑張ってくださいね!!」


「ちょっ------


言い終わる前に陽向の意識はとんだ。



謎の少女


 陽向を魔法世界へと送り込んだ少女。

 その正体は不明である。

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