旅の誘い
「…私が旅?」
思いもよらない誘いにサニーは愕然とした。
「ああ。世界を俺と一緒に旅しないか?」
レイアは、ぱぁと両手を広げサニーを誘う。
しかし、サニーは戸惑いの仕草をした。
「…で、でも、私…外に出ていいのかな?」
「ん?なんか外に関連する、病気があるのか?」
「…違う。私…。」
もじもじしながら困惑するサニー。
さすがに、急に誘いこんだら困惑するか…。
野菜スープを飲んで、少し反省する。
でも、さっき外に出ていいかって聞いてきたのは何でだろう?
一人暮らしだよな…たぶん。両親も使用人のいないとか、すっと独りって言ってけど
それに関係あるのか…
「なあ、外に出ていいかって問いかけたのは、お前の一人暮らしに関係あるのか?」
「…!うん。」
少しビックリしたサニーは頷いた。
「嫌なら、答えなくていい質問するよ。何で外に出ていいか聞いたの?」
普通の人はこんな質問しないだろう。
けど、俺は知りたかった。サニーが寂しいそうな顔しているから。
長い沈黙が続き、やがてサニーは口を開いた。
「…私…レイアを、あの崖から一人運んだって言ったこと覚えている?」
「うん。」
「…私、何でか知らないけど、この身体と合わないぐらいの力を持っているの… 怪力って言ったらいいかな?けど、それだけじゃない、2年の記憶もないし、身体から炎が出たことだってある。それにこれを見て…」
サニーは左目を隠している、長い前髪を上げた。
「っ!」
レイアは目を見開いた。
長い前髪に隠れた左目は、真紅のように紅く輝いていたからだ。
青色の右目と違う、紅い左目がサニーの顔に合った。
「…真紅のように紅いでしょ。…私ね両目の色が違うの。
…何が言いたいのか、わかったかな?」
悲しく寂しい表情でサニーは笑う。
「…こんな得体の知れない私は、旅をして、外に出ていいのかな?」
その質問は、まるで【私はここにいていいの?】問いかけられたようだった。
「…誘ってくれてありがとう。レイア…嬉しかったよ。
…あ、後ね、森を抜けたら村合ったでしょ、村の人に私の事、黙って欲しいの…。
あの人達、私の事【魔女】って言って嫌うの…。
それとね、レイア。もうあの村の、酒場で食い逃げしたらダメだよ…。」
焦るように言葉繋ぐサニー。
「…俺が出ていいたらお前どうするんだ。」
「…私は、いつもどうりにここにすっと住む…よ…。」
「また、独りでか。」
「…う、うん。寂しいけど大丈夫。それに前ね外に出て村の人に、左目見られてそれで…。
気味悪いって…。」
「俺は気味悪いなんて一言も言ってないけど。」
だんだんサニーの顔が曇っていく。
「…レイアは怖くないの…。何とも思わないの…。」
確かに何とも思わない事はない、びっくりしたし、初めて両目の色が違う子を見た。
けど、
「世界を旅するって決めたんだ、こんな不思議な事があって当たり前だろう。」
どんな事があっても受け入れないといけない。
そういった俺は、手を上げてもう一度サニーに問う。
「―――俺と一緒に旅をしないか?」
「…レイアは私が怖くない?」
「ない。」
「…私2年前までの記憶しかないから迷惑かけるかも…。」
「旅するんだ、ハプニングは必ずおこる。
それに、寂しい顔した女の子を助けるのって男の役目だろう。」
俺は、そう言い笑った。
サニーは今にも泣きそうな顔で
「…レイア。私もう独りになりたくないよ…。」
と言い、ぎゅうっと俺の手を握りしめた。
「大丈夫、俺と一緒に旅するんだ、独りならねぇよ。」
世界を揺るがす旅が、今始まる。