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二次画像の人物を実在すると思い込むキモオタの話

作者: 映写機

絵に描いた餅。

ようするに「どんなに美しく素晴らしい者(二次元、3DCG)でもこの世に実在しなければ意味がない」、ということです。

主人公のような思考を持つ男性が最近増えたよな~と思い、書いてみました。

実際問題として外出してみるとなかなか美人やイケメンとか遭遇しませんしね。

(架空の世界の画面や映像上でならありふれるほど存在していますが。)

宝石と同じように、滅多に見かけないから美しい者には価値があるんだよなーというお話でした。

「彼女にするなら黒髪ロングの清楚系美人(ホラン千秋、仲間由紀恵、橋本環奈似)でいつもスカートを着ているようなおしとやかな子がいいなあ」

そのように高々とした理想を上げるは社会経験の乏しき少年・・・ではなく、

とうに三十路を通り過ぎた一人の中年男、虹絵信次「にじえしんじ」であった。

いわゆるキモオタと言われる存在であろう彼の容貌はその敬称に相応しく、

でっぷりと肥えた巨体とそれらを包む清潔感に欠けた垢抜けない服装・・・といった

いかにも「らしい」という出で立ち。


彼の部屋には皆似たような顔の美少女ポスターが貼られており

それらは皆別人で作者すら違う、ゲームおよびアニメ漫画の娯楽作品に登場する架空の人物であるのだが

男の趣味が似通っているせいか、はては制作者の好みか書き分けの出来ていないせいなのか、

長い髪、大きな目に点のような鼻、逆三角形の輪郭、、八頭身はあるモデル体系にあるまじき巨乳、装飾の派手なミニ丈のドレス・・・

理由はともかくとして、全員が同一人物として見えた。


世間体を気にするまでもないだろう、自らの城の中で横たわる彼女・・・

正確に言えば、アニメキャラクターのあられもない卑猥な姿が印刷された、単なる趣味の悪い抱き枕なのだが。

それなる彼女と甘い蜜月を過ごしたのち、彼は毎日の日課である、アニメ鑑賞を始める。


パソコンの置かれたデスク。右側にマウス、中央はキーボード。

左側には先程台所から拝借した飲食物、コカ・コーラとピザポテトが置かれていた。

その中でも一際異様な存在を主張していたのは、彼の太い右手指に握られたマウスの下にあるモノ。

美少女の臀部をかたどったマウスパッドであった。

嬉しさと気恥ずかしさ、そして困惑の入り混じった表情をした女性が

でんぐり返しをするような体勢で太ももを押さえながら開脚している。

双方の内太ももに右手首を支えて貰いながら、先ほどの運動で乾いた喉を左手に持ったコーラで潤す。

弾けるような炭酸の刺激が、爽やかで心地よい。

早速喉を癒した所同時に空腹のほうも満たそうと、彼はピザポテトの封に手を伸ばした。

濃厚なチーズの香りが一瞬にして部屋へ広がる。

それらを欲張りにも三枚ほど手にしては口の中へほうばると、パリッという小気味よい音と共に

彼の口内も濃厚なチーズの香りへと支配されていく。

それを再び手にしていたコーラで流す、まさに至福のひとときであった。

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