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カミングアウト2

車が到着したようだ。ツインズの歓声が聞こえる。


玄関横の鏡でレイクは髪型を整えた。息子の彼女といえども初対面の女性と会う時には第一印象が重要だ。「ステキなお父様ね」と言われたら「どうぞレイクと呼んでください」って言うのだ、今回も。


キッチンからシンディもやってきた。もうすっかりドレスアップしている。

ホームドラマのような美しいシーンがもうすぐ訪れる。


窓辺でふたり並んで満面の笑顔で外を見る。ルイーズによく似た息子エヴァンが姿を見せた。家に帰るのは3年ぶりだろうか。

そしてエヴァンのすぐ後に続くおおきな人影。それは2メートル近い長身のがっしりした黒人男性だった。アメフトの選手のような盛り上がった両腕にツインズが抱っこされてキャッキャと歓声を上げている。


レイクとシンディは顔を見合わせた。

レイクはさっき姉と話した時からポケットに入れたままだったスマホのメールを急いで確認する。

「友人と一緒に週末帰ります」だったかな、見間違えて大騒ぎしてしまったのだな。

しかしエヴァンからのメールは「恋人と一緒に週末帰ります」だった。


エヴァンとツインズを抱っこした黒人男性がまもなく玄関のチャイムを鳴らす。

イーサンは車から降りてこない。その表情も見えない。

それでもレイクは混乱する頭で考えた。『きっと彼女が急に来られなくなったので代わりに友人を連れて遊びに来た』そうだ、そうに違いない。

レイクは混乱した頭をリセットして息子の友人を迎える父親の笑顔に作り変えた。ことばは交わさなかったが横にいるシンディの不安もレイクにはストレートに伝わってきた。


玄関チャイムが鳴った。ドアを開けると


「ただいま父さん! シンディ!」


と笑顔のエヴァンがハグしてきた。


「ママー、レイクー、ラルフって力持ちなの」ツインズが声を揃えた。


「おかえりなさいエヴァン」


「やあおかえり」


「父さん、シンディ、彼はラルフ」


とエヴァンは『友人』を紹介した。ツインズを腕から下ろして


「はじめまして。ラルフ・アンダーソンです」


と紳士的に握手を求めてきた青年をレイクは好ましく思った。息子の友人としては申し分のない好青年だった。


「よく来たねラルフ、わが家だと思って楽しんでくれ」


「ラルフー、こっちこっち」「はやく来てー」


ツインズはラルフの手を引っ張った。どうやら子供たちはもうすっかりラルフが大好きになったようだ。


「おいおい、おじさんは無視かい?」


と笑うエヴァン。シンディもすっかり笑顔を取り戻して義弟とその友人をリビングに案内した。


遅れて入ってきたイーサンの苦渋に満ちた顔を見て、レイクに再び不安がよぎった。


「父さん、エヴァンは……」


と言いかけたイーサンの言葉をレイクは作り笑顔で遮った。


「いい青年じゃないか、ファミリーで歓迎しよう」


レイクは自分にも言い聞かせた。


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