② ~竜との邂逅、友との決別~
降り止まない白い雪。尻が痛い
遠くに見える樹木。尻が痛い。
山頂が見えない霊峰。尻が痛い
極寒の地であるはずなのに寒さよりも尻が痛い
なんでこんなに尻が痛いのだ。この乗り物は。初めて乗ったアプトノス車はとにかく尻が痛かった
「いたたた...」
「おいおい、お嬢様。せっかく外に出られたってのに早くもギブアップか?」
降りる頃には尻が真っ赤になってるんじゃないか
「目的地に着いたら真っ先にテントを組み立てるんだが今回はやらなくていい。」
先に精鋭2人が現地で待っているかららしい。
「ほら着くぞ、いつまでも尻押さえてない!」
尻を叩かれて悲鳴を上げた。こいつは鬼畜か
雪山の麓らしい所に着いたら2人の男女がいた
「アン、てめー遅ぇぞ。芋でも食ってたのかー?」
「おはようアン、その子が箱入り娘の?綺麗な髪ね。」
どうやらアンジールは仲間内では『アン』と呼ばれているようだ。
当のアンジールは悪い悪い。などと手を振っている
「こいつがお得意様の娘さんで私の友達のさら。」
お嬢様らしくお辞儀をしてみせた
「俺は次元。ガンランス使いだ。」
大柄。とにかくでかい。それ以外の特徴が隠れるほどにでかかった
「わたしはライトボウガンでサポート担当のLily。よろしくネ」
色白で露出の多い格好をしている美人系の女性。ホットドリンクと言う飲み物を身体直接かけてるらしく寒くないらしい。大丈夫なのだろうか。
「そして私がアンジール。使用武器は...今は太刀だが基本はなんでも使える。」
アンジールが武器をこだわらないのは色々使えたほうが色々と役に立つから
ではなく
単に飽きるからだそうだ。いかにもこいつらしいね。
「それじゃあ早速クエスト内容だ。 マカライト鉱石を集めろ だってよ。」
それは馬車の中で散々繰り返されてわかっている。
ピッケルなるもので青い鉱石を掘り当てればいいらしい。
目標は400g程度の塊で1個とする。それを3つ集めればいいのだ
次元からマップとピッケルを受けとり
テントがあるエリアから出るとポポがいた
ポポくらいは知ってる。ポポノタンシチューは大好物だ。
「さら、狩ってみろ」
アンジールから矢束を渡される。
父には武器は使わせないと言っていたが、まぁこうなるだろうなとは予測していたので心の準備は出来ている...わけがなく
普段どおりに弓を構えて弦を引くが矢を沿えている手が震える
人差し指で目標を狙い、手を離す
ヒュンッ!
矢は的はずれな所に飛んでいったはすだが、何故かポポが倒れた
横を見るとライトボウガンの銃口から薄く煙が出ている。
Lilyがポポを一撃で打ち抜いていた
これがプロハンや...
洞窟の中に入ったのはそこから3時間後。
私がポポを確実に倒せるようになるまで矢に慣れさせてくれたのは感謝するが、大分時間を食わせてしまった
しかし洞窟の中は風があって寒い。マフモフを着ていなかったら凍死するんじゃないかと思うくらいだった。Lilyは薄着でよく死なないものだ
「ここだよ。ピッケルで採れるポイントってのは」
ギルドがあらかじめいい鉱石が採れる採掘ポイントと言うのを調べてハンター達に教えてるみたいで(と言うかよくみたらマップに×印で書いてあった)、ここ以外で掘ってもいいけどどうせ石だけだよ。ということらしい。
みんな定位置と言わんばかりに各々の場所でピッケルを壁に叩きつけてた。
ガンガンガンガンガンガン
「んー今日は出が悪いわね」
え、そんなアバウトなもんなの?と疑問に思いつつも一生懸命ピッケルを振り続けるが一向に青い鉱石が出てきやしない。どうなってる。本当にここなのか
「もうちょい上行こう」
アンジールが神妙な顔をしたのかちょっと不安になってきたが、ベテランハンター3人もいるので大丈夫だろう。いざとなったら3人に任せよう
洞窟を進むにつれて徐々に光も消えていき、寒さと足音だけが残った
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!と突然洞窟の中で地響きがした
次の瞬間、洞窟の壁が壊され、巨大であろう何かが現れた