死神(笑)との出会い
途中から少しだけ視点が変わります。
スカム君にまた新たな仲間が出来ました…また個性的ですけど♪
あのごみ溜めから出たものの…裏路地から大通りに出ようかとも考えたが…格好が格好だからやめた。なので下町に行ってみたんだが、まさに町の汚い所が全て集まった場所だといっていいほど殺伐とした雰囲気だ。道端で干からびてる男もいるし、今も俺を狙って、忍んでいるガキども…潜伏するには十分すぎる場所でもあるがな…。
「これからどうするよ…スカム?というより移動しね?なんかガキどもが俺を涎垂らしながらガン見してんだけど!?」
「…サップ今からお前、馬鹿犬の振りをしろ。俺にいい考えがある。」
…またサップが瞬時に反応をし、見事に俺の足に小便をしてきた。そして楽しんでるのか、尾が上下に揺れている。見事な馬鹿犬だが…後で覚えておけよ…。
「おい!愚図犬…ふざけんじゃねえ。さっさと行くぞ?」
俺が進む方向とは逆側に行こうとするサップを押さえつけながら、仲間割れをしていると…ガキが4人ほどで俺等を囲んでいた…しかも全員勝ち誇った顔でだ。馬鹿な奴等だ…罠にかかったとは知らずに…
「おい、その犬俺たちにくれ…」
―次の瞬間、サップが
ガキの内の一人の腿に喰らいついた。ガキたちが隙を見せたから俺も反撃だ。
「火よ、奴等の足元を炙れ
『フット・ジューシー』」
足元に火が出現し、やつらの足首を焼いた。これで身動きもとれない。他に隠れていたガキ共は厄介事は勘弁なのか、全員いなくなっていた。
グチャ!ゴリュ!ブヂ!
サップがさっき襲ったやつのように他のも襲っていった。一人は左腕、また一人は脇腹を最後のに至っては喉元に噛みついていた。おい…死んだんじゃねえだろうな…なんか痙攣してっぞ?
「まあ、どうせ殺すんだ。少し早まっただけだからな。てめえらの身ぐるみを剥いだらもう終了だ。どうせ録な情報も持ってないだろうしな…」
さて、ボチボチ剥ぎ取りを開始しよう。金は勿論だが服や武器も全て頂くか♪
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「こんなもんでいいだろう。ただ雌が混じってたのは意外だな…まぁ殺すことには変わりはないが。」
あらかた、金もほんの僅かにあったし武器もそれなりに使えそうなものばかりだ。服は…どちらにしてもボロキレだったが、使いようがないわけでもないので、全てもらっておいた…
「後はこのガキ共の処分だが…」
左腕を咬まれた雌以外全員重傷のようだ。それに首を喰い破られた奴もなんとか生きているようだ…。さて…どうするかね?
『それなら!俺に任せてほしいッス。』
「ん?」
俺の後ろにいつの間にか、黒い裾が長いシャツを着た男?がいてそいつが話しかけていたようだった。だが、ガキ達は助けが来たと、目を輝かせている。
「スカム…誰だそいつ?」
『申し遅れたッス。俺っちは死神のオットーというものッス♪よろしくお願いッス。』
「死神?が何のようだ。俺は今忙しいが、話を聞いてみる価値はあるかもな。なるべく手短に頼む。」
『実は…俺っちは、お恥ずかしいことに死神という種族ながら一人も殺してないんッスよ。何故かというと…俺、鎌苦手だし、何よりまず子供相手にも勝てないッス』
死神なのに鎌が扱えないって…ないだろ…。それに子供を殺せない?そういう性癖か?
『死神は本来、魂を経験値としてレベルを上げるッス。だからといって人を襲うわけでもないッスよ。特殊な術で死期が近づいている人に交渉するんすよ。願い事を叶えたりが殆どッスね。だけど、俺は死期が全く視えないし、どうしてか魂を普通に狩れるッス。動物ならもう何匹か仕留めましたッス。だけど人間は何故か狩れないッス。…でも今は行けそうな気がするんすよ。』
「お前の話を要約すると、お前はイレギュラーで、動物は狩れるけど人間は無理ってとこか。俺が思うに…死にかけの人間ならいけるんじゃねえか?」
それにこいつは多分、他のやつらから馬鹿にされてきたんじゃねえかと思う。だから見返してやりたい気持ちもあるはずだ。
「ここにある魂はくれてやる。だから俺と仲間になってくれ。目的は復讐だがな。俺はスカムで、こっちはサップだ」
『こちらこそよろしくッス!アンタについてけば、俺は史上最強の死神になれるかもしれないッスよ。サップもよろしくッス。気軽にオットーとでも呼んでくれッス♪』
また、仲間ができた…。だが、死にかけの人間の魂を餌として、残った体はどうなるのだろうか?人間は魂を抜かれたら…肉体も消滅するのか…興味深いな。
「早速、食べてみてくれ。俺も見てみたいしな。」
痙攣してた奴に近づき、後頭部を押さえて激しく地面に叩きつけた。すると、小ぶりな球体が飛び出してきた。それをオットーは…手の中へと吸収した…てっきり口から食べるのかとおもったがな…。
そして、同じような手順で残りも片付けていった。だが、最後の雌のまえに立つと―
『サップ…いたぶってくれないッスか?どうも死にかけじゃない人間はどうも敵意を持って掴めないんすよ。』
サップが幽体の時のように手が頭をすり抜けている。なるほど…人間だけは自分の手じゃ攻撃できないのか。
「仕方ねえな…首をかっきるぞ……おい!?誰か向こうから来てるぞ!」
『サップさん急いで逃げるッス!もうスカムは逃走したッス!』
「はぁぁぁぁぁぁ!?あいつ早すぎだろ!俺もさっさとずらかるぜ!?…てめえ!乗るな!」
オットーがサップに頼み終わった辺りから実は、スカムは逃走していたのだが…それに気づかなかった二人(?)は後を追うように何回か壁にぶつかりながら逃走したのだった…。
~5分後~
「あら?逃げちゃったわ…。遠目でみた感じ、ユウヘイ…じゃなくて!スカムだったかしら?それに仲間も引き連れてたわね…。でも聞いてたより一人多かったような…?」
あの後、ソルと一緒にいたコウキから聞いた話では…何人も殺しているらしいから…捕まえて反省させようと思ったのだけれど…。報告はすべきかしらね?……!?
「な、なんてことなの!?子供が死んでる…それだけならまだここでは珍しいことではないけど…魂を抜かれているわ…。…!よかった…こっちの女の子はまだ生きているわ♪だけど、男女お構い無し、か~。これはまた一波乱あるわね…。」
さて、この女の子は私のホームに戻り次第、ルーに任せて私は騎士団に報告に行きましょうか♪
「…はあっはあっ…結局このゴミ捨て場に戻ることになるとはな…。あと悪かったな置いていって」
「構いやしねえよ。それよりどうする?手配書に乗ることは確実だろうし…」
『町の外に俺っちの家があるッス。そこまで行って何日か様子を見るべきッス』
こうしてなんとか、謎の襲撃者から逃げることに成功した一行はオットーの家へと向かうため、また地下水路の中へと入っていった…
少しだけ登場した襲撃者は作者の別小説の【自由人達の冒険者業】に登場した先輩冒険者、コアさんです。基本、【自由人(略)】からのキャラが出てきたら書いていきたいと思っています。