方針会議
前回の後書きでラベルちゃんは登場させないって書きましたが、今回ガッツリ登場してます。
今後の方針についての話。
ナゴとサップがズタボロの状態で帰還した数日後。
館の食堂だった場所を改築して作った会議室でこれからの方針について話し合うこととした。
メインで話すのは俺とサップ、ナゴの3人でマリーとオットーは作戦立案などに関して役に立てないと言って、それぞれ作業をすると辞退していた。
それと書記をする者としてナゴが魔力タンクにしていた女が1人加わった。最初来た時は腰巻こそしていたが上裸だったのでナゴの趣味かと思ったが、どうやら元から頭のネジが飛んでる女らしく、ナゴが一時的に胸を隠すものをつけさせていた。それに今までは俺もしくはサップが書記をしてたから、どうしてもテンポが悪いことがあった。ナゴは俺と同様頭の中でこの世界の文字に自動変換される能力こそあるが、500年前の古代文字を書くため、俺も含めて理解が出来なかった。
「まず今後の方針だが…しばらくは内政に勤しもうと思う。派手な動きをしすぎたのもあるが、何より警備隊長が魔力感知持ちだから下手な動きができないのが現状だ。」
「その事なんだけど、少し実験をしてみたいと思ってる。どこまでの範囲が魔力検知できるのかで、どう動いていくかも変わってくると思うよ。多分だけど魔力感知は全方位ではないね。」
ナゴによると逃走の時にスライムを散らばした時に、サップが応戦している隙を狙って、ローの後方へも逃げたらしい。
その方向に逃げた分身は逃げきれたようで、ほかの方向に逃げた分身は、ほぼ処理されたらしい。
「角度でいうと270度と少しくらいかな。だいぶ広いが隙はちゃんとあると思う。まぁ地面の下も感知するくらいだから正面きっては戦えないね〜。」
「実験するにしてもお前の分身を使うんだろうが…向こうも馬鹿じゃないし、何かしらの意図があるのは気づくだろう。
だからその…大体の情報でいいんじゃないか?わざわざ危険を冒したくない。」
「俺もスカムの意見に賛成するぜ。にしても、ここの結界はさすがに分からないみたいなんだな。」
「ん?…ああ!そうか。いやはや盲点だったかもなぁ…。魔力感知を遮断できるということを忘れていたよ〜。この結界のことを考慮に入れるなら、今後の方針についても変わってくるよー。ポロローズには行けないけど…そのかわり逆方面には展開できる。」
ナゴはサップの発言を聞くや否や、今まで悩んでいたのが嘘のような表情をして、嬉々として語っていた。
「まぁ結論から言えば、この館の裏側から出ればいいわけさ。魔力感知スキルもそこまで万能ではないと思うし、この結界をキレイに避けて魔力感知を行うのは至難の業だよ。実際問題、結界の存在も向こうからしたら知らないわけだから感知のしようがないわけだ。」
「なるほどな。サップ、館の裏側から出た場合は何があるんだ?何かしら町とかめぼしいものを教えてくれ。」
「そうだな…。まずは以前俺が行ったクリーフ村だな。あとはクリーフ村に行く為の崖道を登る前に分かれ道があってな。村じゃない方に行けばアゴストっていう集落がある。簡易的な柵だけ置いてある小規模な家で形成されたところだ。
…第1師団管轄の集落で騎士が多く輩出されてる。ヴォルタ村跡地と道を繋げられたら厄介かもな…。」
「ヴォルタ村から物資を運ぶ時は分からなかったが、西側にあったんだな。本題とは関係ないが東側は何があるんだ?」
「東側は…王都だな。あとは教会総本山に行くための山道もこっちにある。
前も言ったが元々の町並みは東側の農村部が主体だから、王都から来た場合最初に目に入るポロローズの町並みは畑とか酒蔵になるな。」
今となっては懐かしいが、教会に連れて行かれた時にやけに長く感じたのは山道を登っただけじゃなく、単純に町の反対に行ってたのもあるのか。そうなると王都の方に行くのは難しそうだな…。
「そういえば前に町を襲撃したときもそうだが、ミントの姿を見かけないな。」
「あの野郎…どこ行ったんだか。意外と死んでるかもしれねーぞ?」
「あー?君らが復讐しようと思ってる男の子ねー。特徴さえ教えてくれたらもしかしたらどこかで見てるかもしれないからわかるかも?」
ナゴにミントの特徴を伝える。いつもニコニコしてるようなことに加えて恐らくだがまだ地球で着ていたブレザーを着用しているかもしれないことなどを説明する。
もう戻れないとしても故郷を思い出す品だからそう手放すとは思えない。
「あ、あの…その方であればわたし見たかもしれません…。わたしがここにくる数日前に騎士団副団長様とタケヒト様と共に王都行きの馬車に乗っていました。何やら教会で一悶着あったようで、話を聞くために連れられたようです。」
今の話が本当だとすると、王都に行ってるってことか…。ならしばらく会えないだろうし、このまま王都を拠点に活動されたらだいぶ復讐が遠のくな…。
まぁ、それまでは力を蓄えておくか。それにしてもタケヒトって誰だ?
「タケヒト様ですか?あの方はS2ランクの凄腕冒険者の方です。槍の腕もさながら、使える属性も数多いと聞きます。以前町中で魔術を発動させていた時は風と水の複合魔術を使用しているのを見かけましたし、その後に火と風の複合魔術を使用してたので、いくつの属性をお持ちなのか…。」
「…前に俺の事を砦ごと消し飛ばしたやつ?お前が言ってた特徴と一致してないか?」
「あー、自分のことをS2ランクって言ってるのを聞いたから確定だろうな。ちなみにお前を消し飛ばした時は…総ての魔法を合わせてとか言ってたんで、持ってる属性としては火、水、土、風、あとは光と言った所か。」
「い、いえ…タケヒト様は冒険者にしては珍しいと言われる聖属性持ちだと聞きました。聖属性を持ちさえすれば国の庇護は受けられるのですが…それはせず冒険者でいるようです。
なので光属性ではなく、聖属性かと思います。」
なるほど。聖属性ってのは回復だけじゃなくて攻撃にも転用できるのか。まぁ、そうじゃないと限りなく使いにくい能力であることは明白だからな。
そもそも光属性と聖属性の違いってのはなんなんだかな。
ナゴに聞いてみると、
「ん?まぁ…僕らの時代は光属性で統一してたかな。回復とか浄化が使えない子もいたけど、それは仕方ないって話で流してたし。治癒と浄化…あと詳しくは知らないけど何らかの特殊攻撃手段への転用がない場合が光属性じゃないかな?
光属性を持っている子でも後から治癒ができるようになった子もいるから素養はあるんだろうけど。」
「光属性持ちは聖属性になるかもしれないってことか…。まぁそうだとしても全員が全員攻撃手段にしてる訳でもないだろうし、ひとまずこの話は終わりにしとこう。」
「まぁ、その冒険者も王都に行ってるということで間違いないんだろ?
なら…クリーフ村がいいかもな。前行った時は水源を何とかしようとして結果的にナゴを連れてくることになったが、廃村な上に立地的に人が寄り付くところじゃねえから、めぼしいものがないかだけ捜索するのはどうだ?」
「その案で行くか。そしたらナゴとサップで行ってもらうとするかな。」
久しぶりに俺も捜索に出かけようかと思ったが、クリーフ村に元々いたナゴと偵察に行ったサップであれば、俺が同行するよりも結果をのこしてくれるだろう。…万が一にも俺が足でまといになる可能性は潰しておこう。主としての立場がないからな。
クリーフ村の調査こそ行ってもらうが、その他にも今後の襲撃に備えてゴブリンやコボルトの練度を上げたり、スケルトンの作成をしておきたい…。アンデッドは腐るから実用的ではないのが残念なところだが。
ナゴの凍結も早々使えず、アンデッド一体を凍らせて…キレイに解凍するのにも労力がいるのでコスパが悪いらしい。
ということでスケルトンだけコツコツ作成するか。
ゴブリンやコボルト、その他魔物の白骨死体もそうだが、何人か捕虜も死んでるから素材はあるしな。
「他にこの周辺じゃなくてもいいから、なにか探索出来そうなところは無いのか?」
「そうだな…。ここからだいぶ離れてるんだが…とある遺跡がある。俺も行ったことないが、話に聞く限り国が主導になって冒険者や騎士を集めて調査に行って多大な死傷者が出たらしい。カルブンクルスっていう魔石を核とした石で出来たデカブツが遺跡を守っていてな…。
そりゃもう沢山いて、他にも魔物をかたどった石像群が実際に動いて襲ってきたり…。まぁとにかく途中で調査は切り上げたらしい…。破壊したカルブンクルスは王都に持ち帰られて、研究されて…魔術装甲だったかな?そんな感じで運用試験中だったな。俺が王都を離れる前の情報だから今はもっと実用化されてるかもな。まぁ、そんなこんなでカルブンクルス遺跡って名前になってる。」
調査出来なかったところを俺たちが攻略したら、もしかしたらとんだお宝があるかもしれないが…。腹立たしい話だが、冒険者や騎士共が揃いに揃って撤退したなら俺らが行ったところでどうにもならないだろうとは思う。行くにしても準備やらが必要だ。
「まぁ、その遺跡も多分迷宮かなぁ…。土田君…僕の後輩の子なんだけど、その子が作ったやつかもなぁ…。」
「とりあえずはクリーフ村にもう一度調査に行くということで決定だ。」
今後の方針としては目立った活動はせず、内政に勤しむこととした。クリーフ村の調査をサップとナゴにはしてもらうが、それももし接敵する可能性がある場合は直ぐに撤退してきてもらう。
こうして書記をしていた女から議事録を受け取る。俺に比べるとまとめ方が少し雑だが、まぁ悪くないだろう。
今後も会議を開く際には書記をやってもらうとしよう。
今回は色々と場所の名前が出ましたけど、設定自体は出来上がってて、いつか登場させたかったんですよねー。
まぁ行くにしても…本文に書いてある通り、サップとかナゴさんが行く感じになります。
ラベルちゃんは…まぁサポートキャラです。そのうち探索回に出演させるか不明ですが…。拠点内の雑務をしてもらう感じの役柄。みんなの使用人って感じ。
基本的に敬語は崩さず、様付けで相手を呼ぶ。




