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悪人達の日常  作者: 安雄
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水精霊と魔力②

ナゴ視点の話。スカムの為に色々と物資を準備したりする話。

とある日の昼下がり。

スカムは魔法の研究に勤しみ、配下にしたゴブリンに給仕をさせており、サップとオットーも2人で狩り兼物資調達に出かけていた。

そんな中、迷宮内の牢屋フロアにおいて、マリーとナゴはスカムの許可をとり与えてもらった一室でなにやら話し込んでいた。


「ムーちゃんのお陰で随分と遊びがいのある子が増えたわね♪

人間からすると年配かもしれないけど、私からしたらいい感じに熟してていいわ。」


「男の処理は君に任せるよ。ただ魔力が高いものは応相談かな。」


「ふふふ、分かってるわよ」


そう言って、マリーは恐怖に引きつった中年の男とすっかり生気を無くしてきている少年を抱えて部屋を出ていく。


「ふむ…。」


ナゴは自分がここに来る前にスカムらが捕らえた少女を見る。

一度限界近くまで吸い上げたが、自らの聖属性のお陰なのかすっかり魔力は回復しているように見えた。ただ、精神的には参っているようで何やら祈りの言葉を目を瞑ってひたすら呟いている。


仮にも捕虜?ということで、さんざん酷い目に合わせているが、最低限の暮らしはさせているつもりだった。

布の無駄だということで、一時期は男女関係なく全裸で働かせることにしていたが、スカムの効率低下を憂う発言で、男は腰布のみ。女は加えて胸も隠すことが許されたが…。


「そんなことは他のフロア、もとい他の囚人だけのことさ。魔力供給するにあたり服の有無は全く効率に影響はない。尊厳がどうの言う前に命があるだけマシだと思ってもらいたいな。

魔力供給装置に選ばれた者は命だけは保障されるしね?」


先程からナゴが床に描いていた術式に四肢を鎖で繋がれた元修道女のラベル。


「後はこれをこうして…。うん、完成だ。」


何やら術式が光り出す。ナゴは自分の指をナイフで切り、体液を術式に落とす。光はますます輝いていき、最後にナゴは色が鈍った石を置く。


「空っぽの魔石だが、最大で魔力2000は入る。もしあぶれるようならば魔石をまたサップ君に探してきて貰わないとな。

とりあえず今は限度を測ろうか。」


光が輝いた後には、何やらナゴによく似た色のスライムがラベルに近寄っていき、その口内に入っていく。

そして魔力吸引を開始した。流石に本人のように高速吸引は出来ないものの、数分経つ頃には魔力は吸収し終えて生命力を魔力に強制変換するようになっていた。顔中の穴という穴から血を流し、白目を剥いていたものの吸引は無事に終えたようだ。


「ギリ致死にならない量は生前?の経験からして192%といったところだろう。それにしても魔力量3520か…。なかなか良いね。

これからもよろしくね、ラベルちゃん?」


術式に回復量上昇だとか色々死なないための処置をやったから効率という意味でも3日に1回は機能するだろう。まぁ、かわりに運動機能が低下したり、美容という観点とかは皆無になっちゃったけど、死なないよりかは遥かにマシだと思うよ僕は。


〜2週間後〜


「まごたん?凄いわねぇ…。恋人のこんな姿、彼に見せたら卒倒しそうね。」


ここに至るまで計6回絞ったが、ラベルちゃんは未だ生存している。実を言うと、他にも用意したんだが途中で死んだため、予想以上の成果に内心嬉しい。

マリーがいう問題はせいぜい、髪が鮮やかな紅の髪から色が抜け落ちて白髪になっただけのことだ。まぁ命あっての物種だし、関係ないだろう。


「そういやスカム君が筆記用具がないと嘆いていたかな…?」


ラベルちゃんに目が移る。白髪になったとはいえ、背中まで続くロングヘアー、年頃の女の子故か色が抜けたとはいえ眉毛も長くもなく短くもなく生え揃っていて、また睫毛も長く前までは男の子をさもドキドキさせた事だろう。


「ふむふむ…まぁいいよね?」



***


「スカム君?今暇かな?」


スカムは迷宮に入る直前の部屋にて、決して多くはないインクを使って、死霊術を研究するために色々と紙に書いていたが、今はインクよりも本体である筆がほしかった。

調達してくるにしても筆は劣化してることが多く、新品が手に入ったことは一度もない。

そんな中でナゴがどうやったか分からんが、新品の筆を数本、それも種類がそれぞれ違うものをくれた。


「どっから調達したんだ?」


「迷宮で産出したものだよ。苦労したけどやっと完成したよ。」


そういやオットーが俺が動物好きと知って、クマを可愛がり出したからな。大方そこら辺が実を結んだ形なんだろう。

渡すものを渡すとナゴはそそくさと部屋を出ていった。せっかく、礼でも言ってやろうと思ったんだが。


「毛並みはいいな。…クマの毛って白かったか?別の生物か?

まさかフレーダー、か?」


何の生物によるものなのか悶々としていたが、やがて使えれば別に構わないという結論に至り、先程の作業に戻った。



「ありがとね、ラベルちゃん。おかげでスカム君に喜んで貰うことが出来たよ。君の仕事に筆の材料を作るっていう仕事が増えたね〜。」


ナゴは依然として魔力を強制的に吸引されてグロッキーになっているラベルに語りかけている。だが今回は自身が持つ魔力と少量の生命力からの変換のみでいつもに比べるとだいぶ意識を保っていた。


「いや…殺…ひて。こ、こんなふがた…彼に見へられない…。」


筆の材料の為、頭髪を全て剃られ、その他の毛も軒並み剃られてしまったラベルの姿があった。


「うん?彼?あー…彼ね〜。無事だといいね…俺と違ってさマリーの奴は過激なんだよね。」


少なくとも俺が最後に見たタムニエル君は、五体満足ではなかった。

最近マリーが小麦粉製作用とかいってお気に入りの自称ワンコ達を石臼に繋げてたからな…。そのプロジェクトも2週間も前の話だ。

今はどうなってるやら…。


「ま、その…ラベルちゃんは他の生産タンクと違って働いてるからね〜。タムニエル君の様子でも見てきてあげるよ。」


そうしてラベルちゃんの餌皿にパンを入れてあげると、彼が収監されているとおぼしき牢屋へと向かうことにした。


「彼?えっとぉ…どこやっちゃったかな…。」


「ラベルちゃんへのご褒美に持っててあげるんだからさ、よく思い出して。」


「あー、その子の彼氏だったわね〜。…あ!思い出した!ちょっと動きが鈍くなってきたからこの間小間使いをしてくれたゴブリンにあげちゃったんだったわぁ〜♡」


「なるほどね〜。じゃあちょっと見てくるね。」


そうしてゴブリンの巣へと向かう。スカム君は形式上は僕に迷宮を任せてくれてるけど、ゴブリンの巣に番地?みたいのを設けている。

小間使いをしてくれるゴブリン、繁殖用ゴブリン、戦闘用ゴブリン、諜報部隊とか…なんというか変に真面目とかいうか几帳面だなぁとは思った。

まぁ、今はそのおかげで件のゴブリンの巣を見つけやすい訳だけど。


そうして件のゴブリンの元へとたどり着いてタムニエル君へとようやく会えた。


「これは…使いようによっちゃ生産効率の低下があるな…。そもそも見てきてあげるってだけだから今回はここまでにしとこうかな。」


ゴブリンに食べ物と小ぶりな魔石を何個か渡して物々交換をする。

そうしてタムニエル君を小脇に抱えて、魔力生産タンク房へと帰ることにした。


とりあえずタムニエル君は無事だったことを伝えて、また次のご褒美の時に会わせる約束をラベルちゃんと結んだ。

少年少女の恋心とは凄いものだなぁと思いつつ、管理室兼書類管理室…てか僕の執務室にタムニエル君の頭部の剥製を飾っておいた。


ナゴさんはなんというか…マッドなところが垣間見えるけどスカムの為になにかしてあげたいという思いの元、行動してます。

人間に対する扱いは散々だけど…物は大事にしてできるだけ長持ちさせる心構え。

うん…。人間をモノ扱いしてますが、だからこそラベルちゃんに対して褒美を上げたりとモチベ上昇などを試行錯誤してます。

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