ヴォルタ村
そろそろナゴさんの過去話でも出そうかな?
一応、考えてはあるけど割と無双な話になっちゃうからなぁ。
この物語の根幹はスカムの復讐がメインになっていますが、サップやオットーにも復讐相手がいますし、マリーとナゴにも設定しています。
馬車に揺られること数時間、件の村がやっと見えてきた。
だが遠くからでも村全体から漂うきつい香水と何かの腐臭が混じった臭いを感じ、村も地球で見た風俗店街に近しい雰囲気を感じた。確かにこれはひどい。国が対処しないことに疑問を感じるものの、俺らが活動するぶんには好都合だろう。
「すまない。あの穢れた場所に極力近づきたくないものでね。ここで降りてくれ。」
「いえ、ありがとうございます。」
作り笑いと愛想のいい声を出して、去っていく騎士にお礼を言う。
馬車が来たことに対して、村の女どもがこぞって入口に来ていたが、足早に帰っていく姿を見ると興味をなくしたようで去っていく。中には俺たちに興味を向けてくる者もいたが、格好を見るなり、鼻を鳴らして帰っていった。
「そんでどうすんだ?これから?」
「とりあえず村の中に入って、人目が少ないところに行こう。フレ君がさっきから往生してるし。」
ナゴの言うままに上を見上げると、フレーダーがパタパタと翼をはためかせて俺らの様子を窺っていた。
「それで?フレーダー、何のようだ?」
ナゴの肩に着地して、俺の顔を見ているサップの部下?に話しかける。今は感覚共有しているか分からんが、足を見ると手紙を持っていた。この世界じゃ、そこまで上質な紙が流通してるわけでもないため、大体素材が荒かったり、黄ばんでたりしている。
[お前らがヴォルタ村に向かってることをフレーダーを通して知ったから、その村の俺の知りうる情報を伝えときたいと思ってな。まずその村では人殺しはそれほど罪じゃない。バレないようにやれ。てか最悪滅ぼしても国としては頑固な汚れが取れたくらいだ。一応ゴブリン共を20体ほど近くに待機させてるからその気になったらやるといい。]
「魔力供給が捗るな♪どうしよう持って帰ろうかな…?」
ナゴは置いておいて、手紙の続きを読む。
[その村の東端に騎士団の隠し詰所がある。まぁ、上の人間も知らない秘密を持った奴らのみの会合場だ。入る方法を知らないので、本当にただの情報だ。
村で1番大きい建物が宿屋なんだが…そこの女将は元B2の冒険者だ。人身売買の噂もある曰く付きの女で騎士団も警戒している。もしかしたら密偵がどこかに潜伏してるかもしれん。
幸運を祈る。]
ややいらん情報も混じっていたが、騎士団の密偵?は考慮する必要があるな。行動も慎重にならざるを得ない。
だが女元冒険者はかなり有益だ。これでナゴの魔力供給が一段と捗るかもしれないし。
「仮にだが、件の女将をドレイン?したら、どうなる?」
「どうなるもなにも、また契約の印を通してスカム君に魔力を分ける。そしてその魔力で君は仕事が捗る。そうした繰り返しさ。その女性が魔法の才能があればだけど?」
「まぁ、まずは行ってみよう。」
スカムとナゴはその場を後にする。早く行動すべきとも思ったし。あまり長く人目につかず男二人でいるとそういう趣味かと思われてしまうからだ。実際、そうした男色は何人か通りで見かけてしまっていた。
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「あらお兄さん達、泊まりかい?良かったら女の子部屋に派遣しようか?」
「いえ、宿代しかないのでいいです。」
「そう、残念。」
宿に着いたが、何だこりゃ?
既に宿の受付で盛ってるアホがいるし、そこかしこの部屋から嬌声がしている。
「スカム君、あの人騎士じゃないかな?」
薄い生地のドレスを着た巨乳の女に視線を向ける。はっきり言って筋肉もついてるように見えないし、ナゴの気のせいだろう。
「前にサップ君に教えて貰ったんだが、騎士というのはピクーンの花を模した紋章?を持っているらしい。今はお忍びだから持っていないみたいだけど、僕は魔力感知が得意だからね。
あの女性は普段から魔力で出来たアイテムを身につけてるみたいだし、それなら騎士かなって思ったんだけど…。」
「ならあの女にスライムになってくっついて行けよ。透明とかになれないのか?」
ナゴは俺の手を引っ張ると、とりあえず用意された部屋に入る。
そしてスライムの姿になり、窓の隙間から這い出ていく。
窓から外を眺めると、相も変わらずひどい光景だが、先程の女が何処かに行こうとしていた。それをナゴが半透明になって、壁を這いながら追跡している。
ナゴが追跡している間、俺は俺で休ませてもらおう。
そうしてベットで横になり、睡眠をすることにした。
休んでいると、突然腹に痛みが走る。
「ぐっ!」
「起きたか。」
目の前には屈強な男と先ほど受付にいた女、こいつが元冒険者という奴だろう。
「なかなか顔がいいねぇ。高く売れそうだ。騎士団の猿どもと手も組んでいるからある程度情報は筒抜けだ。密偵なんて役に立つはずもないね?」
俺はこれから売られるという事か…。周りを見ると部屋ではなく、何やら広い場所だ。大方、村の倉庫だろう。手は縛られてるものの足は自由にされている。
「売る前に味見をしても良いんだけど…これからやることもあるからひとまず保留にしとこうかね。
お前ら、こいつを部屋に入れときな!」
あいつらを俺をモノみたいにぞんざいに投げやがって…。絶対に殺す。
とりあえず、目を瞑って、サップに連絡を取れるか試してみる。契約とやらで念話が出来る…筈がないか。
やれやれとため息を吐くと、上から何かが降ってきた。
「フレーダー?」
こんな所にも来れるのか…。ちょうど良かったため手についた縄を噛みきってもらう。そして部屋の扉の上にある小さなガラスから外の様子を窺うと、先程の場所で男が酒盛りをしている。
人数は4人ほどだが、まだ増援がいないとも限らない。
何より分が悪い。どうにか逃げ出せないか考えていると、フレーダーが目についた。そういやこいつはどこから入ってきたんだ?
フレーダーを見上げると、天井に穴が空いていた。どうやら木製なのをいいことに突き破ってきた。
付近にあるガラクタを足場に天井の穴に行き、通れない部分を破壊して、二階へと上がる。
「なんだ?」
「あのガキ何してやがる?」
案の定気づかれたようだが、扉に鍵をかけたのはあっちだ。入るのに多少の時間はかかるだろう。
2階に上がると、そこは俺と同じように人身売買されようとしている女が4人いた。年頃は俺に近い。全員、手足を縛られている。
フレーダーに出入口を物理的に封鎖してもらって、2階の窓から裏手へ逃げよう。
窓を開けると下にはサップが待機させたと思われるゴブリン共がいた。俺が困ってると見て心配できたようだ。
こいつらがいれば好都合だと思い、女を1人ずつ上から落とす。
流石に非力な俺でも拘束された女くらいは引きずることが出来る。
落とされた女は1人につきゴブリン3、4体に運ばれていった。全員、運び終わった頃にはゴブリンは5体しか残っていなかった。
後ろを振り返るとフレーダーが必死に一階への階段がある扉を押さえ付けているが、そろそろ限界のようだ。
俺は飛び降りた。ゴブリンが受け止めて、5体全員が俺を抱えて走り出す。俺が自力で走るよりも速いため、賢明な判断だと思う。
フレーダーは無事なようで、こちらを追おうとする男の頭にぶつかったりして、足止めをしていた。
心配せずともじきに合流するだろう。
ゴブリン達が急遽作ったであろうアジトに入ると、何故かナゴがおり、先程の女騎士?の魔力を吸収していた。それどころか周りにはほかの騎士もいて、既に魔力を吸われた後なのかぴくぴくしていた。
「これは何だ?」
「どうやらサップ君が言っていた騎士の詰め所ってのは性欲を持て余した騎士が発散する場所だったみたいだ。それなりの身分があるから人目を忍んでいたんだろうね。」
あの後、ナゴは詰め所に着いたようだが、流石に警戒マックスの女騎士の後ろに付いては入れないので通気口から入っていったらしい。
そうして騎士同士が入り乱れてナニをしていた時、近くにあった水桶をひっくり返して全員びしょ濡れにした後に感電させたらしい。
俺が捕まってる間に、ゴブリン達を用いて、騎士を運び出したらしい。計13人。男8人女5人だ。
「あの村にはもう行きたくないし、ここでゴブリンの数を増やして一気に攻め落とすか…。にしても増えたところで入りきるかだな。」
「実際、ゴブリンが冒険者に駆除されるのは増えすぎるとどうしても目撃例が出るし、統率が取れていないと人を襲うからね。どうしても野良だと多くて150が限度だろう。だけど、スカム君というリーダーがいるから増やそうと思えば倍近くまでいけるだろう。」
ふむ、そういうことなら丁度いい。暫く拠点に帰らずにここに留まろう。ナゴに教わったことも生かして、新たな死霊術も使ってみたかったしな。
男の騎士達を拠点に連れて帰るには手間がかかるし、目撃されたり、助けを呼ばれたりしても面倒だから、現状はこいつらで実験するのがいいだろう。
ナゴも殺してはいないようだから、俺のレベルも上がって一石二鳥だしな。
基本的にこっちの話を書く時は、スカムとナゴのペアとサップとオットーのペアになりがちになってしまうなぁ。
マリーがマジで料理だけしかしてないことになってるから、そろそろ彼女?も作戦行動に参加させたいと思ってます。
ぶっちゃけるとサップ視点は書きやすかったりします。元騎士だけあって、王国のことにもある程度詳しいと言うこともあり、新しい地名を出す際にもキャラとしては知識がある訳ですし…。




