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悪人達の日常  作者: 安雄
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町への偵察②

あれ?スカムを活躍させようと思ったのに…。ナゴさんメインになってしまった。この小説は設定集はあっても物語のプロットは気まぐれに変わるので、自分でも予測がつきません。



「さて、ここがゼマロ商会か…。見た感じ中堅といったところか。どうやら富裕層よりかは庶民向けに展開してるみたいだな。」


あれから通行人や露店のババアなどに道を聞きながら目的の店へと辿り着いた。近隣住民と商会員が団欒している光景を目にすると、それをぶち壊したい衝動に襲われたが今回はそんなことのために来たんじゃない。あくまで今回の目的は偵察と物資調達だ


「す、すいません…。キーンさんはいらっしゃるでしょうか?」


「キーンさんなら仕入れに行っていてね…。戻るのは一週間かかると思うよ。ところで君は?」


「キーンさんに前にお世話になった者です。また物が入り用になったのでこちらに訪れました。」


あのおっさんいねぇのか…。また騙そうと思ったが考えてみればバレた時のリスクもデカイから今回は穏便にすますか。


「これらの物品を買いたいんですけど…ありますかね?」


オットーやマリーからの要望をメモったものを商会員に見せる。主に野菜の種やら何かの生物の糸やらその他生活用品といったところだ。


「そうだね…。地図以外なら全部売ることは出来るよ。ただ地図に関しては領主様から販売を控えるように言われてしまっていてね。」


「そうですか…。ではそれ以外のものはよろしくお願いします。」


さすがに対策はされてるか…。ただ、こうやって規制してる時に限って、割高で売る奴は出てくるからそこいらからの入手も検討してみるか。



~~~~~~~~~~~~


「ここが冒険者ギルドね…。」


見た感じ、酒場と合体した斡旋所といったところだろう。


「やぁ、冒険者登録したいんだけどいいかな?」


「ええ、構いませんよ。それではこちらの紙に名前と年齢をご記入ください。」


ここは偽名でいっておくか。こんなところから嘘がバレてスカム君に被害を及ぼしたくないからね。


「ドム・クォーツさんですね。出身はクォーツ村ですか…。」


「ええ、何か問題でも?」


「あるに決まってるじゃねえか。兄ちゃん!娼婦の村だろ?その小綺麗なケツでも売って稼げばいいじゃねえか!」


後ろを振り替えると、酒に酔った不潔な男が4人ほどいる。ふむ、舐められたものだ。あのくらいなら魔法を使わずともいけそうだ。


まぁ、ここは我慢するとしよう。


「ははは、需要がないもんで~。」


受付のお姉さんのいう通りに登録の手順を済まし、そしてギルドの説明とランクについての説明を長々とされる。

ふむ…説明を聞く限りじゃ冒険者は基本的に複数人で確実に行動するということだろう。逆に単独で動いているものは余程の馬鹿か、腕に自信があるものといったところか。


「これが依頼掲示板ね…。ん?これは…?」


スライムの変異種とそれを首に巻く狼の魔物…。これはもしかしなくとも僕とサップ君のことだろう。どうやら鉱山に行く時に冒険者に目撃されていたみたいだ。これは調査依頼のようだから情報攪乱ついでに証言するとしよう。


「あ、この依頼何ですけどね。僕、このスライムと道端で出くわして生け捕りにしてきたんですよ。今は持ってないので、ちょっと取りに行ってきます。スラムに住んでいる子に預かってもらっていて。」


実際、冒険者ギルドに来る前に偵察用としてスライム状態の残り汁をスラムの女の子にあげてきた。

機能することといったら魔物の誘引をするくらいだ。


そして冒険者ギルドを出て、スラムに入るために裏路地の方へ入っていく。暫く歩いていると後ろから気配が複数と前からは先程の男二人がにやつきながら近づいてくる。


「兄ちゃん、スライムの欠片とやら俺たちに渡してくれよ?」


立ち止まっていると後ろから来ていた男に両腕を拘束され、もう一人の男は首筋にナイフを構えている。


「返事は?」


「死ねば?」


ザシュッ!


頸動脈の辺りを斬られて、建前上は赤い液を出して倒れる。頸動脈の位置を外してる時点で彼らの腕はお察しだ。それにすぐ血の臭いに気づけないようじゃ…。


「そういやこいつ…。血生臭くな…!」


赤い液…水魔法を応用して出したものなんだけどね。無詠唱でもこのくらいの水なら出せるし、色さえ変えちゃえば簡単に騙せるね~。


先程、ナイフで切り裂いてくれた男の足首を掴んで電流を流す。そうしただけで男は気絶する。


「て…」


何か言う前にもう一人の男も昏倒させる。こっちは額に直接電気を流しこんだから後遺症が残るかもしれないね~。僕の知ったことじゃないけど。

逃げようとしていた前方の男二人も、無詠唱で雷の光線を放ったらそのまま気絶した。


「雷属性ってのは、生け捕りには向いてるな~。ただ、少し派手だから人目のつかないところで使わないとね。」


恒例の如く、スライム状態になり男らの魔力を啜り取る。今回は死ぬまでやった。


「僕の分身を…そうだな。5体くらい造っておいて町の中に住まわせておこう。」


スラム方面に目撃証言通りの色合いの個体を複数出現させる。強さはゴブリン位だけど、人体に潜り込んで限度お構いなしに魔力を啜る。


「一体だけ弱らせておいて…。無属性の魔法をお構いなしに放ったらいつのまにか弱っていた…という設定で行こう。」



そうして手近にあった桶の中にスライムを入れて冒険者ギルドに戻る。冒険者四人の死体はできる限り見つからないようにしてきたけど、近いうちに見つかってしまうだろう。


「お、お待たせしました。こいつなんですけど…どうでしょう?」


「これは…どのようにして?」


「スライムにしては素早い動きで、こちらの動きを読んで襲いかかってくるものですから従弟と一緒に無属性魔法を手当たり次第放ったら当たり所が悪かったのか急に動かなくなりましてね。」


あらかじめ考えてあった設定を話す。対象の生体電気に反応するように仕上げてるから別に嘘は言っていない。ただ、魔力吸収と感知能力があるだけの個体だし。


「では…こちらで預からせてもらいます。それと報酬ですが基本給に加え個体を捕獲した為、銀貨50枚です。」


ふむ…。まあ妥当な範囲かな。新米のいうことを全て信じる訳にもいかないだろうし。


「ところで、こちらを取りに行く際に何か不都合は発生しませんでしたか?あなたがここを出て、すぐに数人の冒険者が出ていったので…。」


今は死体になっている彼らのことか。始末したのは早計だったかな…。こちらは偽装できるか少し心配だな。少し怯えたような表情を作って受付嬢へ答えた。


「そのことなんですが、僕がこの桶を取りに行った時に彼らが既にスライムを持ち去ろうとしていたんです。慌てて止めたんですが、数の暴力といいますか…負けてしまいまして。

諦めきれず彼らを追いかけたら…その…なんというか。」


「…まさか。」


「死んでいました。苦しみの形相で。僕怖くてスライムだけ持ってきたんです。」


それからは受付嬢と控えていた職員に場所を案内するように言われて先程の場所につれていく。

途中、警備隊の人間も合流して冒険者4人の死体を見せる。


「これはやべえな…。」


「寄生するスライム…在来種ではなさそうですね。」


「ドムだったか?お前、体はなんともないか?」


「ええ、大丈夫です。さっき彼らに受けた打撲が痛いくらいですかね。」


勿論、打撲の跡なんてない。だけどこんなに簡単に騙されるとは…君たち詐欺にあっても知らないよ?


「彼は恐らく命拾いしたのでしょう。スライムが気絶した状態から目覚めた時、彼らに寄生して生命を吸収した。…彼らも応戦した結果、スライムは戦闘不能に。そしてドム氏に回収されたのでしょう。」


「特に人による暴行のあとは見当たらねぇし、この新米がトドメを刺したってことはないな。」


警備隊員に振り向き際に睨まれるも、両手を顔の前に掲げ怯えるふりをする。


「この件はギルド長ならびに警備隊長を交えて話し合う必要がありますね。」


「俺もその話し合いに参加する。現場にいち早く駆けつけたから調査する義務があるし立場的にも出席しないとな。」


どうやらこの隊員は、それなりに役職があるようだ。地区ごとの担当責任者か副隊長か分からないが、面倒ごとになる前にスカム君と合流しなきゃな~。


「それでは僕はこの辺で…。」


「ドム・クォーツさん。貴方には再度、事情聴取する可能性があるので町に滞在していて下さい。宿の料金はギルドが受け持つので。」


「従弟もいるんですが…。」


「それではその従弟の方の宿泊費も負担しましょう。」


参ったな…。面倒事は起こさない方がいいと言った俺がさっそく引き起こしてしまうとは。

ここはこれ以上疑われるとまずいし従っておくか。あとはスカム君と合流した時に彼に任せよう。彼は交渉用のスキルも持っているみたいだしね。

無双、じゃないですよね?荒くれに近い冒険者なんてナゴさんは簡単にやっつけられますよ…。


またどこかを襲撃に行く話は、当分先です。少なくとも4話くらいはかかりそうです。


***

ポロローズの構造を簡単に説明しましょう。

町の中心に領主の館があります。んでその周りに町に住む貴族や滞在のための館。他は洒落乙な喫茶店とか家具屋とかですかね。インテリア関連やファッションとかは中心部に集まってます。

他は住宅地が主に占めていますね。住民が働くための工場や労働施設がちらほらあったり、野菜を研究するための畑があったりする程度です。

町は東西に門があり、両門には兵長と呼ばれる門の責任者がいる。王都方面である東門は正門とされ警備隊長が見張ることも多い。

町全体を絶えず警らするだけでなく警備隊は、街道の安全も確保するので治安は比較的良い。

町の産業は商業。

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