水精霊と魔力
今回はナゴ視点の話。
ナゴの呼び方は、大体くん付け。緊急時は外れる。
マリーは呼び捨て。
さてと、サップ君は食べ物を狩りに行ったし、オットー君はゴブリン達に農作業…厳密にいうと肥料のやり方を教えてるね。スカム君はハンモックで眠ってるし…やることないなー。
そういや、マリーは何してるかな?
マリーの魔力を探してみると、どうやら地下牢エリアで何かしてるようだ。ちょっと行ってみようかな?
「お、働いているようだね?感心するよ。ただやり過ぎるとその人死んじゃうから適度に気を付けなよ?」
地下に降りてみると、ローブを着た魔法使いっぽい男が全身ズタボロになりながら、何とか動いていた。その背中には蝙蝠が留まって、羽を広げて休んでいた。
「スカム君なら、死んだら死んだで活用しそうだけどね~。」
それにしてもなかなか広いな…。無改造でこの広さだとしたら相当なものだな。軽く150人は収容できそうだ。別荘とか言ってたけど、それはオットー君に向けた冗談だろう。
本当のところは人間達に反旗を翻す為の拠点だ。
「マリーはここかな?…ふむ。拷問部屋ね~。扉も重そうだし…。」
しょうがない。一旦、そこの連絡用の郵便受けから液状化して入るとしよう。
部屋にはいると、すぐ鋭い空気が伝わってきた。何してるんだろ?枷に繋がれた鎧着た男の子と修道服の女の子がいるけど…?
「あら…?まごたん、どうしたの?ワタシ今忙しいのよ~。」
「ちなみに何してるの?」
ちなみに未だにスライムのままで話をしている。この姿は侮られやすいけど、案外楽な姿なんだよね。人型は色々と行動する分は便利だけど、この姿は魔力の温存も出来るし空気中の魔力も取り込めてエコだしー。
「ムーちゃんから捕虜の扱いを任せられたのだけれど、男は強制労働、女も強制労働にするにあたってとりあえず別々にしようとしてるのだけれど…」
「契約で結ばれてるのかな?」
「そうなのよー。」
「なら僕の出番だ。」
とりあえずマリーに二人の動きを極力封じてもらって…。男の子の口から体内に侵入。
「▽*※!」
んー。この子、魔法の素養はないなー。貴族かな?美味しいもん食べてるせいで魔力の質は上々。
とりあえず、110%くらい貰っておこう。強制的に生命力削って。それと契約は…ウソー!婚姻?
「君とこの子許嫁?」
「そ、そうです。タムニエルを解放して下さい。」
「ん。分かった。次、君ね。」
「えっ!あむっ!?」
次は女の子の口内へと侵入する。何か嫌らしい風に聞こえるけど、結局やることは魔力吸引だから彼と同じような目にあうことになるね。
後ろを振り替えると、鼻血をドバドバ出しながら痙攣する男の子。涎も垂らして失禁までしちゃって…百年の恋も冷めるね~こりゃ。
この子は…聖属性か。それと風もある。魔法の適正も高いようだし…。男の子以上に頑張ってもらおうかな?
「あぐっ!?がぁ…ぁぁ゛゛!」
ふぅ…。美味しかった。魔力もそこそこ回復したからスカム君に少し魔力を分けて、症状を緩和させることが出来そうだ。魔力が足りないときは、とにかく入れてあげれば何とか持ち越せる。まぁ、手順を踏まないと逆効果だけど♪
でも、180%くらいいったかな?魔力吸い付くして生命力から強制変換させたからね~。とりあえず、もう出てあげよう。
「見るも無惨ね…。まごたん、鬼畜~!」
「そう面白がる君も同類じゃないかな~?」
女の子は両方の眼から血の涙を流していた。てか目が完璧に白目になって、鼻血まで男の子以上に出てる…。うーん、やり過ぎた♪
「とりあえず、契約どころじゃないくらい魔力を吸いとったからこれで様子を見てくれ。
あ、それと女の子は僕にくれないかな?魔力補給装置にしたいからさ。後で、房に入れておいてくれ。」
「やっぱり鬼畜~!」
鬼畜でもいいさ。昔みたいに魔力を好きに使えるわけじゃないし、魔力上限も随分と減った。だから定期的な魔力の供給元は必要だ。スカム君たちの信仰はあくまでオマケさ。あーやって言った方がスカム君からしてみても仲間に入れやすいだろうからね。
その過程で、まさか上質の魔鉄が見つかるとは思ってもみなかったが。
地上に再び上がってくると、オットー君が一生懸命井戸から水を汲んでいた。心なしか嬉しそうだ。
「どうしたの?」
「この井戸から、また水が出てくるなんて…思ってもみなかったッス。本当にナゴさんには感謝しかないッス!」
「うん。その言葉を聞けただけでも頑張ったかいがあったよ。」
少し魔力が回復したみたいだ。これが信仰による力か…。なかなか心地がいいな。魔力補給もいつかは壊れるし、こっちの方が安定していいかもしれない
そうそう、スカム君の治療をしないと。魔力を注ぎ入れるだけでも人によっては毒だけど…僕の場合、オットー君に協力してもらえれば契約を通して魔力を注入できる。
「オットー君、スカム君の手をとってくれ。もう片方の手で僕を持ってくれ。ああ、掴んでもらって構わないよ。」
オットー君の体を通して、スカム君に魔力を渡す。
さっきの女の子の魔力を僕のにして、更にオットー君の契約の印を通してスカム君へ入れていく。僕から直接入れると拒絶反応があるかもしれないから、この方法が確実だ。
「う、ん?…ナゴ?」
「お?目が覚めたかい。早速なんだが、地下牢の広めな部屋を一室貰えないかな?」
「…好きにしろ。後で俺の体調が治ったら何をするつもりなのか教えてくれ。」
「了解したよ。あ、あと外出してくるよ。君たちの襲った町の様子も見てみたいし。」
スカム君もなかなか良い子だと思うけど、マリー曰く僕は鬼畜らしいから僕基準で良い、は人間的には悪なんだろうねー。
そんなことを思いつつ、町の近くまで着いた。
「流石に警備は厳戒体制だな。特に警備隊長とやらには勝てそうもないなー。」
警備に穴は多少あったけど、町の中も中で強そうな気配がする。入っても無駄骨だな。そこら辺の野草でも採りながら帰ろっと。
「お、依頼にあったスライム!みんな捕まえるぞ!」
何か来たよ。いい年したおっさん冒険者2人と新米が二人…。また捕虜ゲットかな?
おっさんAが愚かにも素手で掴もうとしてきたので頭に貼り付いて電気ショックを流す。
これだけで一人気絶。
「くそぉ、もう許さないぞ!」
新米くん二人が同時に襲いかかってきたけど、敢えて避けない。そのまま新米くんの剣によって斬られ…ないんだなこれが。
そのまま剣先にくっついてみたら、
「火よ、燃え上が…!」
詠唱が終わる前に、魔法を唱えようとした新米2号の体内に入る。そしてそのまま放電する…。気絶!
「あらよっと。」
こっそり逃げようとしていたおっさんBに触手を伸ばして通電する。暫く流していたら動かなくなった。あとは…一人かな。
「…ぁ。」
さて、帰るとしますか。魔力的にはおいしくなさそうだけど…マリーは喜びそうだな。
拠点へ帰ると、スカム君の体調も戻っていて安心した。捕まえてきた捕虜を見せると、蝙蝠達がすぐ牢へ運んでいった。
日が沈んで少し経った頃、サップ君も戻ってきた。案の上、たくさん動物やら魔物やら仕留めてきていた。
配下の魔物たちの魔物達に死体を何体か渡して、マリーが調理をし始めた。
「それで、部屋を一室使って何をする予定なんだ?」
「魔力補給を要とする装置を作ろうと思ってね。魔力が高い人間を燃料にして稼働するんだ。」
「なら迷宮の管理は、ナゴがやってくれ。俺はたまにしか口出さねぇから。」
それが手っ取り早いかな?今日出掛けてみて解ったけど、精霊になると動く範囲にも制限が出るし力にも影響していく。僕が前線に出るより、僕は拠点防衛や内政に力を入れた方が良さそうだ。
「はい、スープ出来たわよ~。」
話している間に、汁物は出来たらしい。主食を食べる前にこういう一品はうれしい。それから、食事中にスカム君から魔法について色々聞かれた。勉強熱心で感心だったけど…死霊術に関しては、スカム君の方にすぐに追い抜かされそうだ。
ナゴさんはある意味、スカムと同類です。自分の害になる可能性のあるものに対しては容赦がないだけです。
用語解説
***
魔鉄:属性魔力を帯びた鉄。魔石は一時的なものだが、魔鉄を加工した装備を付けているとその装備が壊れない限り半永久的にその属性の魔法が使用可能。ほとんど掘り尽くされて市場に出回ってるものは非常に高価。
ナゴの場合は元々、雷属性を持っているが魔鉄を媒介にしたことにより、無詠唱でも中級魔術を使用可能。




