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悪人達の日常  作者: 安雄
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狼騎士団結成?

自由人の方は、現在何も思い付かない…。

よし悪人を進めよう!

「さて、着いたものの…統率が無くなった群れってのはここまで荒れるもんなんだな。」


サップが多くのメタリカウルフが住み着く、拠点からそこそこ遠い鉱山に着くとメタリカウルフ数匹同士が争っている光景が広がっていた。


その他にもゴブリンやキラービーなど低級の魔物が縄張り争いや戦いを避けるように岩の隙間に潜んでいたり、サップがつい先日メタリカウルフの親玉を倒した影響が早くも出ていた。サップなら低級魔物程度なら蹴散らすことが可能だが余計な消耗は控える方針で来ているため気づかれないようにその場から移動した。


「確か…この辺に。」


草葉を掻き分けると、地面に大きな穴が空いておりそこには縄ばしごがかけてあった。


「何年か前に盗賊団のアジトがあったはずだからそこを経由して鉱山の中を進もう。」


鉱山といっても、人に使われている訳ではない。

100年ほど前はそこそこ活気のあるものだったが、めぼしい資源が掘り尽くされると、元々森の中にあったのもあって早々に引き上げられた。今や、残存する鉄鉱石や石炭を食料とするメタリカウルフの群れが住み着くのみだ。


「酷い有り様だな、こりゃ。」


縄ばしごを降りると、かつて人が住んでいたような机と椅子が並べられている空間が広がるもそこは風化した骨や干からびている死体があった。


奥に続いていてそこは荷物置き場のようだったが、今では洞窟虫が住み着いていた。


「ガオッ!」


サップが適当に吠えると、洞窟の壁の隙間から一斉に逃げ出した。


「目当てはナゴ用の鉱石だが、物資が足りないから他にも何か有用なものがないか探したいとこだな。」


荷物置き場を見回すと、視界の隅に大柄だったとおもわれる男の干からびた死体が三人分ある。


それをどかすと、錠前がされた錆びた鉄の箱が姿を現した。


「鍵つきか…。おい!ナゴ、この鍵開けられないか?」


「う…。んん~よく寝たなー。あ、サップくん何のようだっけ?」


「この鍵、何とかしてくれ。何か鍵開ける魔法とか無いのかよ?俺の魔力使ってもいいから開けてくれ。」


ナゴは相変わらず首に巻き付いたままで、どこから発声してるのか分からんがスライムのまま返答してくる。


「このくらいなら…。」


ナゴは俺の首に巻き付いたままで触手のようなものを出して錠前の中に差し込んだ。そして暫くそれがゆらゆらと揺れていた。


カチャカチャ…ガチャ!


「開いたよ~。」


「お、ありがとな。」


「いやいや実はね~本当にさっき結界とか契約のこととかやったときに力が枯渇しちゃってね。数日間は戦闘面でのサポートとかは期待しないでくれ。その代わり、こういったことは助けるからさ。まぁ敵の探知くらいは魔力なしでも多少出来るから…そこは頼りにしてくれ。」


「ああ、こういう工作や知識でのサポートは有難い。そんじゃ、開けるぜ?」


鉄の箱のなかには大して物は入っておらず、ガラクタばかりだった。火と風の魔石は5個ずつ入ってるほかボロボロになっている“ふくろ”が入っていた。


「なんだい?この巾着は?」


「キンチャク?ああ、ふくろのことか。」


ふくろ、についての説明を簡単にするサップ。

収納量が自在に変えることのできるものだが今現在目の前にあるのは対して役立ちそうにない。


「なるほどねー。便利なものが出来たもんだ。一応持って帰ってくれないかな?魔力回復したときに調べてみたいからさ。」


「しょうがねぇな。アンタには現状世話になってるし。」


ふくろの中に魔石を入れて…どうやって持っていこうか悩むぞ…。せめて背負い袋くらい持ってくりゃ良かったぜ。


するとナゴがサップの首の周りから背中に移動して今度は長方体のような形になる。その際に触手のようなものを二本サップの腹部にまわして自身の体を固定した。


「僕の中に好きに入れてくれ。ふくろより収納性はないけど。」


「じゃあ、遠慮なく。」


ナゴの体内?にふくろを入れる。そうして洞窟の中を進んでいくと木の柱などで枠づけられた坑道へと出ることになった。


縄張り争いが起きたのか、コボルトや棘熊(ニードルベア)などの死体が転がっていた。血が乾ききっていないことから、まだ死んで半日たっていないだろう。


「…特に生物の反応はないけど、魔力の反応は微かにする。どうやらまだ魔力を帯びた鉱石はあるようだよ?」


「んじゃ、それをもって帰ろう。場所は案内できるか?」


そしてナゴの探知能力を信じて、奥へ奥へ進んでいった。幸い、魔物にはほとんど出くわさなかった。会ったとしても直ぐ様、サップの牙によって噛み殺された。


「…まずいな。」


「ん、どうしたの?」


「鉱山の中に複数の人間の足音がする。それも別々の入り口ごとに何人もだ。冒険者PTが複数入ってきたかもな。」


「んー。そんなことに気づかないくらい僕も衰えてしまったか…。」


ナゴが落ち込んでいるが、今はそれどころじゃない。結構深部に来ているのに戻る方の道に冒険者がいたら俺らは帰れない。戦闘するにしても分が悪すぎる。


…お?これは…都合がいいことが起きてるな。


「どうやら魔物と戦闘になったみたいだな。外の魔物は蹴散らしたようだが、内部の魔物はどうかな?」


「ここは屋内だからね。火魔法は使えないだろう。自分等が酸欠になったらそれまでだ。」


「アンタの理屈は分からんが、そんなとこだ。鉱石を見つけた後は別の道で帰るぞ。」


更に深部に足を運ぶと、大きな空洞へと辿り着く。どうやら全盛期はここで多くの鉱夫が採掘していたようだが、今じゃ吸血蝙蝠の縄張りか…。


「こいつらの獲物は人間だから、俺みたいな狼や他の魔物は襲わないんだ。自分等に危害加えてきたり、縄張りを許可なく荒らしたら…分かるだろ?」


「許可?どうやってとるんだい?」


「元騎士としてそこら辺の技術はある。魔物を寄せ付けない為に少し奴等の言語を胡散臭い爺に教えて貰ったことがある。

…何故か上司から叱られたあげく、爺は処刑されかけたが。魔物と馴れ合うのが上は気に入らなかったらしい。ま、そんなことはいい。」


《туалет!тапочки!》


サップが未知の言語を発すると、天井にいた蝙蝠たちは一部散ったあとサップの目の前に鉄製の鍵を置いた。


ст…ул。


「貰っていいらしい。こいつらには必要ないみたいだ。」


「元人間っていうから、魔の世界でも生きていけるか心配だったけど杞憂だったようだね。」


蝙蝠達はいまだ、サップの頭上ではためいた。そして、サップの顔の前に一匹が近づくと鼻先を足で蹴った。


サップが思わず睨むと、はためいていた一団が騒ぎ出して横に続く通路へと入っていく。先程、鼻先を蹴った個体はサップの頭に止まって通路に行くことを鳴き声によって催促する。


「道案内してくれるようだよ?どうやらサップくんに話しかけられて嬉しかったようだ。」


「本来の用途とは違うが、覚えておいて良かったと思う。」


蝙蝠達の後ろに付いていくと、何やら厳重そうな扉に行き着いた。そこには鍵穴などなかった。あるのは変な形の窪みだけだった。


「鍵…。」


「これはこう使うと思うよ?」


恒例の触手を出すと、サップの口から鍵を取り窪みの中に嵌めた。そうすると、ガタンという音がして蝙蝠たちが横に押していくと扉が開いた。


「これは…宝の山だな。」


部屋に入ると、鉄や銀がまだ掘り出された状態で残っており傍らには死体が一つ。何故だか不明だが、閉じ込められたあげく置き去りにされたのだろう。


他にも100年前の通貨や本、杖や鎧といった品々があるなか、部屋の奥に長年ほったらかしにされたにしては小綺麗な木箱がぽつんと置いてある。


「これは…まさか。」


「何だよ?ナゴ。とりあえず、開けるぞ。」


箱の中を開けると、所々青白く輝く鉱石があった。触れようにも何だか痛い。バチっとしてサップは触れることが出来ない。


「雷の魔鉄…。まだ現存していたとは。サップ!君は最高だよ!」


「気に入ったようで良かったが、ちょっと状況はヤバイな。冒険者が近づいてきてるみたいだ。人数も多い。あと数分もしないうちにさっきの空洞に着くぞ。」


「よし、これを取り込めば少しは戦えそうだ。お世話になった蝙蝠さんたちの為にも撃退しよう。」


蝙蝠たちもざわつき始めたが、何を思ったのかナゴの体内に自ら入っていく。進んで魔力源になるのかと思いきや、何だか突撃の姿勢をとっている。


「僕の体から突撃するつもりなのかな?いい撹乱になるかもね。それじゃ、僕らは彼らのサポートに移ろうか。」


「了解っと。」


そうして気配をたてないように先程の空洞へと急ぎ足で戻るサップとその他一同。

戦いの時は迫っていた。

久しぶりの用語説明(≧▽≦)


【魔物】

キラービー:120~130㎝ある蜂。集団で行動する。ミツバチがでかくなった感じの姿のため、針はそこまで驚異じゃない。

…人間がそれを喰らったら重傷だが。


棘熊(ニードルベア):頭から尻尾にかけて全身に棘が生えてる熊。針虫と違って、一生ものの棘なのでとても頑丈。性格は少し狂暴だが、負傷している生物は襲わない習性があるため、怪我をした冒険者は棘熊の縄張りに入っても襲われない。肉の味は、剥ぎ取るのは大変なものの臭みはあまり無い為、女性にも人気。実は草食で木の皮や花を好んで食す。


吸血蝙蝠:人気がない鉱山や洞窟の中に生息する集団で暮らす生物。吸血言われてるものの主食は洞窟虫。人間を極力避けて暮らしており、人間が近づいてくると一斉に逃げる。Dランクの冒険者くらいなら楽に奢ることが出来るが、臆病なので人目を忍ぶ。


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