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悪人達の日常  作者: 安雄
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悪霊と死神②

読んでる人は少ないですが、この悪人の方はとことん悪どいことをやらかします。本編の自由人で出てくる人達がスカム達サイドでは悪者で描かれます。

「おい…。また、『な』かよ?てめぇ、しりとりで嵌めとはやるじゃねえか…!」


『嵌めは絶対かかせないッス。ほら、早く言わないと今日の夜飯のおかず一品貰うッスよ?』


スカムが何だかんだ言いながら、なかなか来ないので取りあえずオットーとしりとりをしていることにした。このしりとりも、異世界人が伝えたものらしいがな…俺の記憶が正しけりゃまだ存命だった気がする。


「んー。じゃ、ナルセール王国。」


『ク、ク…ク?クレベリン・ゲルプレー。知ってるすよね?』


「ナルセール王国で初めて、スラムの乞食から騎士団の師団長にまで登り詰めた男だな。現在でも第四師団長として遠征の度に高ランクの魔物を討伐してる奴だ。」


俺が、悪霊になる前は騎士団の花形とも言える奴だったな。俺は気にくわなかったが騎士団の中でも屈指の強さで副団長ですら模擬戦で危ういというくらいだ。少なくともあいつとだけはこの先戦いたくはない。


そんなことを言っているうちに館の方からスカムが歩いてきた。手には本を持っておらず何か杖を持っていた。


「待たせたな。じゃあ、取り敢えず森の中に行くぞ。」


俺たちの横を通りすぎてそのまま結界の外へ出るスカムに俺とオットーは疑問に思いながらも後を付いていった。


~~~~~~~~~~~


「ここら辺でいいだろう。とんでもなく面白いものをさっき見つけたんだ。」


そういってスカムが見してきたのは、朝食べた鳥の骨だった。


スカムが何か術を呟くと、骨が自分で立ち動き始めた。スカムが操っているわけでもなく自分で動いている。


「死霊術か?」


『…それにある程度自律して動いているッス。スカム様、凄い才能を感じられるッス。俺っちの魂も加わればもっと強くなるかもっすね?』


「どういうことだ。オットー?お前、吸収した魂を吐き出せるとでも言うのか?」


『あー?言ってなかったッスね。俺っち含め死神はレベルアップするまでは吸収した魂を何時でも出すことが出来るッス。俺っちは出来ないすけど父親はそれで眷属とかも作ってたッス。それも父親が恐らく死んだ瞬間…灰になったッス。』


「それなら話が早い。…何だかんだ言って未だに何一つ復讐っぽいことはしてねえからな。そろそろ行動に移そうと思ってな。」


復讐を進めるっていったって俺とお前の復讐相手は、何処だか知らねえが少なくともポロローズにはいねえ。だとすると、オットーの親父の仇か?


「まず、お前らにやってもらうことはとにかく死体を集めろ。オットーは小動物。サップは鳥や獣を仕留めてきてくれ。数は…そうだな、200は欲しい。」


この辺は初心者でも、狩れるくらいの魔物がいるが流石に200はきついかもしれん。実際に術をかけるのはスカムだから俺らは俺らで出来ることをするだけか…。


「なるべく早めにな。出来れば、日が暮れる迄にやって欲しいが…無理は言わん。」


そう言うと地面に座り込み、何か術式を書き始めた。先程作った骨の奴を媒体に自分の血を垂らしたり意外と本格的なことをやっていた。


『しりとり途中で終わっちゃったッスから、次は獲物の数で勝負ッス!俺の方が有利すから俺は三匹でサップの一体分で。』


「乗った。じゃあ負けた方はさっきと同じな。」


「お前ら賭けはいいが、死体を運ぶ袋や荷台を忘れんなよ。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ふぅ…こんだけ狩って帰ればオットーの奴には負けねえな。何より大物も大分苦戦したが倒すことが出来た。この肉体も損傷が激しいが治そうと思えば治せる。…暫く肉体強化出来ねえが。


オットーの奴の悔し顔を目に浮かべながら荷台を引いて先刻の場所に戻ると、これほどかってくらい、ネズミが積まれていた。気持ち悪っ!しかも、それだけでなく小鳥の死骸も複数あった。


『やっと戻ってきたッスか!俺っちの記録はネズミ420匹に、小鳥148ッス!』


「やっぱり数で来やがったか…!なら、俺は質で攻める。針虫、ゴブリン、コボルト、新米が討伐する魔物をまとめて174だ。」


『それでも俺の記録は、破れないッス。三体を一体だとしても俺っちは189点っす。』


スカムは、術式が書き終わったのか俺らのやり取りを冷めた目で見物していて、その後ろでマリーがスカムの肩を揉んでいる。


「これをみて見ろ。メタリカウルフの親玉だ。かなり苦戦したが、こいつが怪我をしていたのが幸いで勝てたぜ。」


「サップ、20点加点。てことでサップの勝ちだ。お前らのおかずの取り合いはこれからやることが一段落すんだらだ。」


「何をやるんだ?こんな死体ばっか集めて。町にでも攻めこむのか?」


冗談半分に町を攻めるのかと聞くと、スカムはニヤリと笑い…そのまさかを言いやがった。


「そうだ…町を攻める。ついでに火事場泥棒もな。まあ、俺に任せておけば全て上手くことが運ぶから期待しておけ?」


スカムが何か詠唱を三分ほど唱えると、術式が輝きネズミと小鳥が動き出した。こいつらはアンデッドか。多分、こいつのことだからこれだけじゃねえんだろうな…。


小鳥の一体が俺が仕留めてきた針虫の上に止まり、その体を啄み始めると…針虫が生を持ったかのようにまた動き出した。


「まさか、感染か?だがこの手の手口は色々対策がとられて効きにくい筈だ。それにアンデッドは魔法に極端に弱いし、スケルトンは逆に打撃に極端に弱い。しかもどちらとも弱点でなかろうとも喰らいすぎるとお陀仏だ。」



「サップ、オットー。楽に町に入る方法と感染を一気に広げる方法があるだろ?」


『水路ッスか…。俺っちはスカム様のお導きの通りやるっす!』


仕方ねえ。やるしかないか…ポロローズは今教会への支援の関係で物流が盛んだが、その分警備が厳重だ。もちろん水路も例外じゃない。そんなことスカムは分かってるだろうが、生前からどうも作戦の前は緊張してならねぇ。


兄貴が、家族が殺されたあの日から…何事も行動あるのみだ。家族(マービン)を殺したミントをこの手で殺す日まで、臆病風に吹かれる暇なんてねえ…!

街にバイオテロを仕掛けようとするスカムですが、上手くいくんでしょうかね?次回は腕の見せ所ですかね。


***


魔導本;一般的に使われるのは戦い慣れない戦士や新米騎士や新米冒険者が本の中の擬似的な世界で修練をするための本。中にはスライム等は勿論、ドラゴン等も出現したりする。だが、本の中で致命傷を負っても実際の世界では数日気絶するのみで、最悪死んでしまった場合は数ヵ月目が覚めなかったり後遺症が残ったりもしてしまう。本の中に魔物などが入り込むとたちまち暴走して中に入っている人間を殺しにかかる。異変を解決しなければ決して出れなくなってしまう。

また、制限を設けることが出来る魔導本の場合、制限内で中の異変をクリアするか、制限を外部から解除しなければならない。

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