プロローグ
ここ、バルメシア共和国は人口800万人の小国である。
大国ロットワイル王国や軍事国家であるウルフバウンド帝国の隣国に位置しながらも、独立から今に至るまで、一度として支配されなかったのは、理由の1つとしては、山に囲まれた、強固な自然要塞による地理的な要因もあったと言われているが、ひとえに魔法の存在が大きい。
バルメシア共和国は世界において随一の、魔法の研究・教育が盛んに行われている魔法国家である。他国も最近は魔法の重要性が認識され始め、ようやく本腰を入れて魔法教育に力を注ぎ始めたが、それでもまだほとんど成果は出ていない。
バルメシア共和国においてもまだ、魔法は発展途上の分野で、誰が使えるのか、魔法においてどこまでできるのか不明なところは多い。
それでも魔法学校・研究所が作られ、魔法の素質があると思しきものを各地から集め、魔法教育に心血を注ぐ。
それによって狭い国土・少ない人口の中、他国に負けない軍事力・産業力を身に着けることができたのだ。
……と、魔法学校の生徒たちは、そんな国家戦略の思惑なぞ関係なしに、今日も今日とて過ごしていた。これはそんな物語。