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ちびっこエルフのサバイバル飯~精霊の愛し子を追放したエルフの森は消えるらしい~  作者: 富士とまと
第二章 ちびっこエルフは森の中

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 どこにいるの?と思ったら、ドスンと、前方にレッドタイガーが現れた。その距離100mほど。


「違う、こっちだ、こっちに……来い……」


 この声は。


 レッドタイガーよりもさらに離れた場所に、人影がある。片膝をついて体重をルツェルンハンマーに預けるようにして立つヴァルさんだ。


 もはやまともに立っていられないほどボロボロの姿に……それでもまだ、生きていることに……。涙が落ちた。


「もう、いいよ、もう、いいよっ!ヴァルさんっ!もういいっ!」


 声の限り叫ぶと、ヴァルさんが私に気が付いたように顔を上げた。


「フワリっ!どうして来たんだ!逃げろっ!」


 ボロボロなのに、立ち上がり、石をゴルフボールのようにルツェルンハンマーのハンマー部分で飛ばしてレッドタイガーを威嚇する。


「こっちだ!」


 レッドタイガーは攻撃を受け、こちらに体を向けていたというのに、ヴァルさんを再び見た。


「違う、やめて、こっち、こっちだってばぁ~!」


 叫んでもレッドタイガーの気を引くことができない。


 いいや、たとえ気を引くことができても、またヴァルさんが自分に意識がむくようにするだろう。


 ヴァルさんは私を助けようとしているのだから。


 でも、私はヴァルさんを助けたい。


 こんなことを繰り返していても、無駄にヴァルさんの体力を奪うだけだ。


 どうすればいい。考えろ、考えるんだ。


 二人とも助かる方法、二人とも……。


 レッドタイガーは水が苦手、水をぶっかければ逃げていかないかな?


 水魔法も使えないのにどうやって?


 風魔法で水をまき上げてぶっかけられたら……。


「精霊さん……」


 また、凪いでいる。精霊さんはイチかバチかの方法に協力なんてしてくれないんだ。


 それとも、その方法ではレッドタイガーの怒りを買うだけで危険が増すのだと判断したのかもしれない。


 他には?他に方法はないの?


 川を渡れば追いかけてこない?


 でも、私もそうだけど今のヴァルさんの体力で川を渡れる?


 川幅は50mプールよりも広く見える。だからこそ渡ればレッドタイガーは追いかけてこなさそうだけど……。


 流される危険を取るかレッドタイガーの危険を取るかどっちもどっちと言った感じだ。


「うあぁーっ!」


 叫び声に視線を向けると、森への入り口当たりに、腰を抜かしてしりもちをついた少年がいた。


「あの子は穴に落ちていた……」


 無事に穴から助け出されたのか。それなのに、またこんな危険な場所に来ちゃうなんて運がない……。


 腰が抜けて立ち上がれずにいるようだ。後ろに手でずるずると後ずさっているけれど逃げられないでいる。


「だ、だめだ、来るな、来るなっ」


 パニックになっていて叫んでいる。


 その声にレッドタイガーが反応して顔を向けた。


 私からもヴァルさんからも視線が外れた。


「そうか……囮……」


 囮となるものがあれば……。


 レッドタイガー……。レッド、タイガー。フェンリルが狼のようなと言うならば、レッドタイガーは、赤い虎だ。少しは虎としての習性が残っているのでは?


 虎はネコ科にしては珍しく水浴びが好きで泳ぎが上手らしい……。


 それから獲物を捕ると安全な場所に獲物を持って移動する。他の虎に食べられないように。


「精霊さんっ!今度こそ、力を貸して!貸してくれないなら、このままレッドタイガーに突っ込むからっ!」


 精霊の風が吹いた。

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