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エルフは、風魔法で木の実を落として食べる。
私には魔法が使えないから、食べる物が手に入らない。
と、思っていた。
「そっか、食べられる物は木の実だけじゃないんだ」
パンだと思ってかじっていたのもは、前世記憶だとパンだとは言えない代物だなぁ。
木の実……どんぐりとかを粉にしたりつぶしたりして焼いたもの。
パンと言うより、甘くないカントッチョ……固焼きクッキーと言ったところだ。
森の恵みで生きるということで、確かに豊かな恵みを与えてくれる森だけど……。
木を切って畑を作るのは禁忌とされていて小麦も米も手に入らない。
木の実ときのこと獣の肉。それがエルフの食事だ。
……それから、エルフは土の下にできたものは汚らわしいと言って食べない。
「あー、ドワーフを連想させるからかぁ」
土属性の魔法が得意で、土の精霊の加護を受ける種族、ドワーフ。
エルフとドワーフは仲が悪い。プライドの高いエルフが土にまみれた下等種族ってドワーフをバカにしているのが原因……みたい。
村でよくドワーフの悪口を言っている。
「なるほどねぇ。閉鎖された村で1000年生きるためには外側に敵を作って結束を強めるっていうあれなんだろうな……」
前世の知識がそう告げてる。
私が村人の標的にされているのも、ガス抜きなんだろう。
退屈しのぎでいじめる。自分が標的にならないために助けない。共通の敵を作って結束し……。人間も下等だってバカにしてたな。
ばかばかしい。そんなんだから、村を焼かれるんだよね。敵ばかり作るから。
……この世界のエルフの知識は村八分になっているからよくわからないこともたくさんあるけれど。実際に村を焼かれるのかな?
人間を敵視してるのは、見目麗しく見た目に老いないエルフが奴隷として価値があるから。エルフ狩りをする人間がいるからっていうのは分かる。
だから、人間に見つかったら最後。奴隷にされるか殺されるか戦って死ぬか。
無事ではいられないと教えられている。……これはなんとなく本当かもしれないなぁ。権力を持ったヤバイ人間が美しいエルフに魅了され手に入れたいと思っても不思議じゃない。
つまりあんな村出ていきたいと思っても、子供の私……美少女が一人で行動したらあっという間に奴隷だよね。
耳は短いし鏡を見たことがないけど、私も美しいと思う。
大人になれば人間に紛れて生きていけるかな?冒険者とかいる世界なのかな?
風魔法が使えない私でも、どうにかなるのかな?
ふっと風が頬を撫でる。
そうだ。精霊は人間の都市では生きられないらしい。森が、自然が少ない場所では……。
森を出るということは精霊とお別れということ。
嫌だな……。
この先のことはゆっくり考えよう。
大人の容姿になるまでは人間と同じ。一番美しいとされる年齢で見た目の成長は止まる。そして、900歳を超えたあたりから容姿が徐々に老いていく。
今6歳だから、大人の容姿になるまであと10~15年。この世界の人間の成人は何歳かな?
「食べ物を探さなくちゃ!」
森で、木の実以外といえば……。
エルフが食べないものも私は食べるよ。
土の下にあるもの。山芋とか見つかるかもしれない。
あれ?でも、むかごを食べているのは見たことがないけれど、エルフの村では食べないのかな?
それとも、生えてない?
あ、むかごの季節じゃない可能性も……。むかごは山芋の実。
「……さすがに葉っぱや弦から山芋を見つけられるほどの記憶はない……」
キョロキョロしながら進んでいくと、紫色が目に入った。
「うわっまずいっ!」
紫色の花。一面に広がっている。
村では小さい子供にまず言い聞かせる。
紫色の花には近づいちゃだめだ。絶対に触ってはいけない。猛毒だから……と。
紫の花で毒と言えば「トリカブト」だろう。
……うん。近づくだけなら問題なさそうだ。前世記憶だと、口にするのと、傷口などから毒が入り込むことに気をつけなければならない。
触るのは止めた方が言い。近づくくらいなら大丈夫と。
毒矢の毒に利用していたりもしたはずで。触った人が死ぬなら利用もできなかったよね?
……毒を使えば、私でも狩りができる?




