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少女は大宇宙で虹と歌う  作者: 羽生ルイ
第1部3章『罪無き者の贖罪』ペレジス-虚栄の惑星
66/619

#3

「ホルムス団長、よろしいですか?」


 執務の合間に過去の思い出に浸っていたジョッシは、部下の声に現実に引き戻された。前任者であるブースタリア団長からこの地位を引き継いで既に37年。すでに前団長は亡く、自身も老境と呼ばれる年代になって久しい。


 最近では壁に飾られたXthキャリバーとヘルミナの義手を眺めながら、物思いにふける時間も多くなってきた。そろそろ後継者を選ぶ時期だと思い始めていたが、心残りがあることもあってなかなか決心が付かないでいたが……いや、今は仕事の話だ。


「どうした」

「軌道ステーションから報告がありまして……。当惑星所属のシンガーが居留地への航宙船着陸許可を求めていると」

「着陸?ここにか?」

「はい、大気圏離着陸が可能な航宙船だそうですが……。いかが致しますか?」


 大気圏離着陸が可能な航宙船?科学考証も禄にされていない三流ホロムービーの物語ではあるまいし、そんな船があってたまるものか。

 だが、不思議とそんなありえない船に乗っている、少女の姿が脳裏に浮かんだ。


「そんな破天荒な事を言い出すうちのシンガーなど……一人しかおらんな。そうか、ようやく帰ってきたのだな」

「は……?」

「いや、なんでもない。着陸を許可すると伝えてくれ」

「はあ……。団長がそう言われるのなら……。上にはそう伝えておきます」


 遠い昔に自分達を救ってくれた二人の少女。星の彼方へ旅立った彼女が帰ってきたのだ。

 ヘルミナにも知らせてやらんとな……。


 3人の孫達を引き連れ、4代目となるブラスター内蔵義手の試射に出かけている妻のことを思いながら、再会への期待と一抹の哀惜を胸に、ジョッシュは席を立った。


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