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HERO  作者: 常月楓
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「弱い私は恋を知る」

後編『弱い私は恋を知る』


『何もない世界』

僕はそれからもずっと君を探していた。君に伝えたいことがあるんだ、会えなくたって声だけが聞こえてればいい、ただ「死ねなくてごめん」と謝りたかった。

雫の名前を呼ばない一日にどうしても慣れない。どこかへ出かける時も、何かを決める時も、考え事をする時も、いつも口ずさんでしまう。

死のうとしたことだってあった、けど怖かった、君がいたからこそあそこまで「死」に迎えたのだ、君がいないと僕は死ねない、死にたくない。「__わ__つ__よ」雑音が頭の中をかき混ぜる、最近は毎日毎日、こんな調子だ、体調も悪く、ついネガティブに考えてしまう。

前まで通っていた学校を辞めて、九月に転校したというのに始業式の日しか行けなくて、友達も一人も作れなかった。

またいじめられるのだろうか、いや、もういじめられるのは怖くない、けど、君はいじめで・・・・・・死んでしまった。

僕はもう二度とそんな経験をしたくないし、関わりたくもない、あんな思いもう二度としたくない。「あぁ、考えるだけで頭痛くなってきた。」もうこんなことを考えたくもない、けど僕は考えてしまう。僕は今でも君が大切だから。

これからもずっと、ずっと弱い僕は死んだ君を大切にするから。


『何もない学校』

その日は少し体調が良かった、だから久しぶりに学校へ行った。

学校にいく理由なんて何一つない。友達は愚か、顔すら覚えてもらっているか怪しい。

ただ決して今まで行きたくなかった訳ではない、体調と精神が弱まりすぎていただけである。


なんで行きたいって思ってるんだろ。

高校二年生の十月、クラスの皆は体育祭への勝利を掲げ練習している。けど僕は学年練習を校庭の日陰から見ている、あくまで体調が良いだけ、すぐ悪化するだろうし、何よりあの中に入れば邪魔になるだろうし、輪を乱してしまうだろう、だから僕は見学していた。

学年練習の中に見たことのある顔があった。

「えっ、あいつこの学校に通っているの?!」元気のない僕が、思わずそう言いたくなるように藍色の髪をした、いや、僕を親友の所まで導いてくれた彼女がそこにいた。

けど、あの時のよりも元気がなさげで、走っているときも以前は僕が置いていかれるほどだったのに、今はそこまで早くもない女子に抜かされている。何かあったのかと心配だし、知り合いだから友達にもなれると思い、練習が終わった後に声をかけようと思ってが・・・

「・・・名前わかんねぇや」名前を聞くのを忘れていたため、バッサリ諦めた。

だが、「折角友達ができると思ったのに・・・・・・」と少し拗ねたように独り言を呟くのであった。


練習が終わったので保健室に行こうとした、見学といっても外でだから普通に頭が痛い。けど、先生に呼ばれてしまった。

「僕何かしたかなぁ」と深く考えずに先生を待っていると、「すまない、待たせてしまったな」と先生が来た。時間にして数分も待ってないので僕はぶっ倒れることはなかった。「そして今日私が君を呼んだ理由はそこまで深いわけなのではないのだが、質問だ。君はB組の星川葵ほしかわあおい・・いや青色の髪をした女子と知り合いなのか?」とあくまで何かを隠すように話してくるが、嘘を言う必要もないので、

「僕が親友と旅をしていたのは知ってますよね?その時に偶然会ったんです。会った時は道を教えてくれて、毒舌で、変なことを言いますがいい人なのだと思います。」僕は病気で弱まっていることをあまり気づかれないように元気そうに、はっきりした言葉で話す。

「そうか、君からはそう感じるのだな、ならば君がいいのなら星川さんと仲良くなってくれないか?」と聞いてくる。

折角友達ができるチャンスなのだ、その依頼に乗らないわけがないだろう。

「わかりました、けど、入学して間もなく、出席数が体調上、殆どできない僕に頼む程、星川さんの人間関係が異常なんですか?」と質問した。

聞いちゃいけないかもしれないけど、依頼された瞬間から疑問だった、なぜ僕に頼むのか、他の人ではダメなのか、痛い頭を使って考えたが更に頭が痛くなるだけだった。

「それはな、彼女は見た目と性格で告白が絶えない程の人気者なんだが、それに嫌気が刺したのか、学校で話している様子を殆ど見ない程なんだ。先生達と話す時もそこまで気が乗らないような顔をするのでな・・・」先生は大分言いにくそうに話すので、「だから僕に星川さんと仲良くなり、周りの人たちとも仲良くなれるようにすると言うことですか?」とまとめた上で「だとしたら、あまり関わらない方がいいと思います。僕的には星川さんと仲良くなりたいですが、そのような態度を取ると言うことは彼女なりに重い何かを背負っているんだと思います。」と自分の意見をそのまま伝える。

勿論、先生にも迷惑がかかってしまうのはわかっている。けど・・・

「変なお願いをして悪かったな、だけどその重い荷を降ろしてやってくれ、仲を深めることは難しいかもしれないが、少しずつでいい、支えてやってくれ」と先生は言ってくる。

けど僕にはその荷を降ろしてあげられる自信はない。

僕が彼を支えられなかったように。

だから「僕は僕なりに彼女に関わります。話しかけては見ますが、友達になることはないと思います」僕はそう言うと「わかった、すまなかったな、教室に戻ってくれ」と先生は少し残念そうに言い、去っていった。

その後僕は保健室に行き、体調を崩したことは言うまでもない。


頑丈でお気楽な永遠先輩

昨日は外で体育祭の見学をしたせいもあって体調が悪い。

だけど、いつもよりは良い・・・はずなので学校に行くことにした。

「昨日は保健室行ってからはずっと寝てたからなぁ・・・今日はそうならないと良いけど・・」念の為体育祭の練習は外で見学せず、保健室の中から見ることにしてもらった。割と融通を利かせてくれるのはありがたい。


学校に着くとすぐに体調を崩した。全くのバカである。そのため一限目の途中で保健室に運ばれるのであった。

保健室に着くと昨日と同じように保健体育科の蓮田先生がいたのだが、その他にすでに先客がいた。

「いやーいくら俺でも喧嘩してぶっ飛ばされて窓を割って四階の窓から外に落ちたら、下に木があったとしても普通は骨の一本位折れてると思うんですけどねー」と半分笑いながら僕より三十センチ位大きい白い髪の先輩らしき人がそんな戯言をことを言っていた。

「普通ならね!君の体はとてつもなく頑丈らしいから骨は一本も折れてません!頑丈に産んでくれた親に感謝するんだね!一応痣はあるからこれで冷やしておくこと!一体何度保健室にサボろうとくるんだか・・・」と蓮田先生が呆れながら騒いでいた。

「落ち着いてくださいよーというか俺の他にも来客者がいますよー」とわざとらしく先輩が僕を指差す。

「あーごめんなさいね、って見るからに顔色悪いわね、とりあえずベットで寝てな!」と急ぎめで僕の相手をするが、

「・・・騒がしくて寝ようにも寝れませんよ・・・一体誰ですか?そこの白髪の方は」と尋ね、説明しようとしている間、僕はそこにいる化け物のような先輩の異常さをなんとか理解しようとしていた。

「あ、俺?もしかして俺が気になる感じ?」と先輩が言ってくる。この人、ノリが軽すぎると思いながら首を縦に振る。

「ほほう、俺に目をつけるとは良いセンスしてるね!」「いや、あなたの頑丈さを気味悪がってるだけよ」と先生と先輩で突っ込んだりボケたりしていて面白いが、僕はあいにくそれを顔に出す体力さえ残っちゃいない。少し辺りがぼやけて見える

「え〜まぁ自己紹介しよう!俺は三年生の風酔永遠かざよいとわ、不思議な名前でしょ、妹も俺と同じように不思議な名前なんだ。誕生日は八月七日、夏休み中だけど祝ってちょ・・・って!急に倒れんの?!」とそこまで聞いて僕は倒れそうになったのを風酔先輩に支えてもらい、意識を失った。


『幻想』

「ん?んん〜ってここは・・・地獄か、つまり死んだか?」あたり一面炎の海、木は炭となり、地面は焼け焦げている向こうには青い炎を纏った大きな鳥のような怪物と人型の、ただ奇怪の跡のような雰囲気が漂っている化け物がいる。

そんな状況を見ても僕はいたって冷静だった。なんなら体調が良く、体も軽かったから周りが炎の海だが、走り回って遊びたいような気分だった。「あれ?向こうに人がいる。ちょっと行って話しかけてみるか」そう向かおうとした瞬間。「・・・!・・・・・・・!」その人らしき物が大声で僕に話しかけた「なんですか〜聞こえませんよ〜もっとはっきり話してくださいよ〜」僕はそんな誰かに聞かれたら真っ先に引かれるような声で叫ぶ。

「今すぐここから出ていけ!」鋭く、威圧するようにそれは僕に返してくる。その瞬間、炎を纏った鳥は僕に高速で近づいてきて、僕に襲いかかった。

だが僕は襲われる前にふっと突然意識が途切れたのであった。

「_ま__ま_をむ__い__ん_」


「お!目を覚ましたか、お前息ができてねぇのかと思うほどすっげぇうなされてたんだぜ?」永遠先輩が寝起きすぐの僕に話しかける。

「僕、そこまでうなされてました?僕的にはそこまで悪夢を見ていた感覚はなかったのですが・・・」さっき起きたばっかりだから流石に夢の内容を覚えている。確か地獄みたいなとこに行って、体が軽くて・・・あれ?あとなんだっけ?

「もしや夢であったこと忘れてるな?夢の中のことなんてすぐに忘れちまうよな、わかるわ〜」と勝手に解釈している、現にそうなんだけど。

それから数十分、永遠先輩と話していた。永遠先輩とはとても話がしやすく、僕の顔色が悪くなると少し黙り込み、僕を休ませてくれる。

その上話し上手、聞き上手でコミュニケーション能力がとても高いように感じる。

その上力が強くて頑丈。まるで、ヒー・・・いや、そんなものはこの世界に存在しない。いつしかそう決めつけていた

気づいたら四限目になっていたが、話していたこともあって体調が回復するのは遅かった。

言われたとうりに寝ていたら元気になっているだろうが、友達のいない僕はこっちにいる方が楽しい。


「そういえば後輩君よ、君の名前はなんと言うのだい?」「え?今更ですか・・てっきりもうその調子で話すのか思いまして・・・先輩と同じように自己紹介しますね。名前は御影由紀です。一人っ子なので兄弟がどうとか言うのは分かりませんが、年下とは仲良くなりやすいです。誕生日は五月二十九日で、祝ってくれる友達はいません」今日の僕はもう考えるだけで頭が痛くなるので先輩の作ったテンプレをそのまま使った。

そうしたら「え?祝ってくれる友達がいない?何言ってんの?」先輩は本当に疑問に思ったのか、最後の言葉を聞いた数秒後に素っ頓狂な声で聞いてきた。「いや、友達は・・・いなんで・・・」「俺たちもう友達じゃねぇのか?祝ってやるぞ?後輩君の誕生日」え?祝ってもらっていいの?今日知り合ったばかりの年下を?「え?いいんですか・・・?」「何遠慮してんだっ!いいじゃねぇかよ、友達なんだから」

ということで僕は永遠先輩に誕生日を祝ってもらうことになり、永遠先輩は僕に誕生日を祝ってもらうことになった。

誕生日・・・毎年、雫にプレゼントを渡していた。勿論、僕ももらっていた・・・僕にとっての「誕生日」はもう来ないと思っていた。けど、来年もまた、祝ってもらえる。

「ごめん、誕生日いつだっけ?」「五月二十九日ですよ・・・」やっぱり不安になってきた。


『フヘン』

小学三年生の時、交通事故に遭い、両親が他界し、弟は寝たきりになった。

それ以降、髪の色が黒から紺色に生え変わり、不思議と私は生物の心が読めるようになる、読心の能力を得た。

力を持った子供といって侮っちゃいけない、心が読めることで友達が思ってる影口や非行が聞こえてきてしまう。そのせいもあってか事故の後からは友達は作らず、今まで遊んでいた友達とも徐々に距離を置くようになった。

そんな何者かに壊された小学校生活に嫌気がさしたのか、中学はちょっと遠い進学校に進学した。


今日から待ちに待った中学校生活が始まる。

してみたかった恋愛も、あまり作れなかった友達もたくさん作ることを夢見て入学式を行なった。

けど、私が想像している学校生活と、体験した学校生活は全然違った。

私の想像していた生活は、友達と学校へ行き、授業を真面目に受け、休み時間は友達と話し、放課後もまた友達と一緒に帰る。そして、時には好きな男の子に夢中になる。

そんな誰もが考えるであろう理想の学校生活だった。けど私が実際に経験した学校生活は、一人で満員の電車に乗り、周りが真面目に聞かない授業を唯一真面目に受け、休み時間は一人で屋上で雨や風を浴び、放課後にはすっからかんの電車に一人で乗る。そんな退屈で仕方がない生活だった。

最初の頃はそれにすら新鮮さを感じ、楽しめていた。

ただし、毎日がそれの繰り返し、新しいことばかりで長く感じた時間も、日に日に短くなり、五十日程度経ってしまったら完全にいつものルーティーン。

変化のない平凡な人生は嫌いだ。そんな世界はいらない。けど私は真面目に生きる生徒として、学校に通い続けなけばならない、私だけが普通、皆んながおかしい。そう思い込んでいた。

そんなある日の夢、「心が読めない私」の夢を見た。

いらない警戒をしてないので私の周りには男女問わず沢山の友達が溢れていて、私は恋人らしき男の人と手を繋いで、仲良く話していた。

恋人と手を繋いで、仲良く話す。今の私が一番夢見ていることである。

そんな夢は見ているだけで心が和む、そんな幸せそのものな空間が広がっていた。

IFと言えばいいだろうか、「もしもこんな感じだったら〜」と想像したことの中にはきっと「心が読める力を持ったら」と想像した人もいるだろう。

けれどいざその力を授かった時に、想像してなかった悪影響が必ず生まれる。何かを変えると言うことは何かを生み出し、何かを捨てると言うことなのだから。

今考えるとこの時の私は矛盾まみれで無知だ、平凡を嫌って真面目となったのに、それが「普通」と捉えて皆を異常と考えた。

心を読めるようになるという人々が望む程の人とは違う要素を持って、新鮮さを感じられるはずの私が「心を読み取れる」ことで苦しんでいることも知らずに、呑気に平凡な「普通」をつまらなく感じていた。


「ははっ私は昔の方が幸せだったな〜私が過去にいけたら私をぶん殴ってるだろうな〜」一人、誰もいない、整理されていない自室でそんなことを呟く。

「明後日から学校か〜嫌だな〜皆私で変なこと考えてんだもん。つまんないし、行きたくないなぁ」誰も返してはくれない、そうわかっている。

私はこの力のせいで、普通はいるはずの友達も、自分を支えてくれるはずの家族もいない一人の世界を歩いていくのだろう。


『私の掌に乗る命』

あれからだいぶ時間が経ち、ずっと無言で、何もせず、何も考えない時間が続いていた。

「あーあ、何か重い空気になっちゃった。気晴らしに電車に乗って旅にでも行きますか〜」そう思い、午後からだがまだ日は高いし、夏なので日の沈みは遅い。

今からでもミニ旅行に行こうと荷物を持ち、駅へ行き、来ていた電車にとりあえず乗った。

私の旅はいつもこうだ、発車時刻が近い電車に乗り、景色が綺麗そうな所で降り、その街を散策したりしている。乗った電車だけはメモしているので帰れなくなることはない、窓の外の景色を見てぼーっとしていたら知らない駅に来てしまったが、夕暮れ前の景色が綺麗なため、降りる事にした。

雨星駅あまぼしえき?私の知らない駅・・・そして珍しい名前の駅ね」私は地理や路線図はこういう旅をする関係上、得意だったからこそ私の知らない駅に着いたことに久しく感じることのなかった心の弾みを感じた。とりあえず駅の無人の観光案内スポットにあった様々な種類のパンフレットを数枚とっていった。

駅を出るとそこには小さい商店街らしきものがあった。と言っても時間的な問題なのか店はほとんどやってなく、コンビニ、銭湯、古本屋の三軒しか空いているように見えなかった。

街のインパクトは薄めで、強いていうなら草むらから蒸気が立っているぐらいであろう。

「う〜ん、時間的に観光するとなると三十分くらいか、けど次の電車は二時間後なんだよな〜帰りが十一時とかになっちゃいそう。よし、なら三十分程度で商店街を回って、その後一時間くらいここら辺を散歩しよう!」パンフレットには「夜になると星空が綺麗」と書いてあったので見る事にしたが、三十分も商店街で潰せるかな。

そんなことを考えてながら無意識に山の方へ行っていると一人の男の人が山へ向かって全力で走っていっていた。

様子が変だったのでとりあえず心を読むと・・・「え?何これ、全部真っ黒?何も考えてないの?あんなに山へ向かって走って言ったのに?」私は今まで感じたことのないことを目の前にし、心の弾みより先に困惑が来た、こんな感情は久しぶりである。

なんせいつも変わり映えのない日常を送っているのだから。その男を追おうとしたが、彼は足が早く、決して私には追いつくことのない距離が離れていた。

追うのは諦めて私は男が走ってきた道を逆走した。「どうせやることもないんだ、せめていい観光ができるといいなぁ」そんな軽い気持ちで私は草原を逆走していた・・・

「あぁ、なんでこうなるんだ」「お前だけは巻き込めない」「僕は所詮この程度だよな」「どうするのが正解なんだ」「ヒーローなどこの世界にいない」「なぁ・・雫・・・・」そんな心の声が遠くから叫ぶように大声で聞こえてきた。

「うっ、心がものすごく乱れてる・・・一体この人は・・・」そこでさっき泣きながらすれ違った男を思い出す。ここでは人通りが少ない、更にこんな名前もついていない花畑なんてそんなに人がくる所でもない、なら、この人は心の中で言っていた「雫」がすれ違った男で、この人は「雫」を失ったことで「死」を考えているの?心の中で聞こえてきたことでそう推理をする。

「だとしたら今すぐ止めなければ!」私がそう考える前にすでに体は動いていて、心の聞こえてくる方向に走った。

「うっ・・・うぅ・・ハァハァ・・・・ぐっゴホッゴホッ・・」走ってたどり着いた所には体の小さい漆黒の長い髪をした人の高い泣き声が辺り一体に響いていた。

「今ここで話しかけなければ面倒な事には巻き込まれない、けど、私でこの人が死なずに済むのなら面倒な事だろうが、怪我をしようがなんだっていい。」そう小さく決意を固め、話しかける。

「そこのあなた!大丈夫・・・?ではないですね・・・」やはり知らない人に話しかけるのはどこか抵抗がある。

若干変な話し方だが、そこまで気にしない、話しかけることが重要なのだから。話しかけるとその人はこちらを向いた、顔を含めて判断しても男か女かわからないが多分男だろう。

「何だ」そう聞かれてしまった。「ヤバい・・・話しかける事ばかり考えていたら返せない〜」そんな言葉に出せないことを心に明かして、「さっき、山の方向にあなたと同じような服装をした子が泣きながら走っていって、走ってきたであろう道を辿ってくると泣き声がして、それで・・・そこであなたも同じように泣いていたから、気になちゃって・・・」そうあったことを少し加工してとりあえずの返事を返す、「その山の・・方向には・・何がある?」そう彼が喰い気味に聞いてきた。

「竹林の迷宮、とばれる山だけです。他に言うなら星がとても綺麗に見えるスポットがあります。」パンフレットに書いてあったことをそのまま言う、そうすると彼は急に黙り込んでしまった。何かあったのかと思い、心を読むと「おかしい、なぜなら雫こういった「死にたくない」と、わざわざ山に行くことんなんてない、駅に行けばいい。「なぜそんなことをしたか」僕の死ぬためのロープがない、「全部くれてやる」と僕がいったのに現金はたった四千円しか減っていない。彼は、死にたいと言うことを。そうその人の心は言っていた。ごちゃごちゃとした読みにくい心であるが、推理と照らし合わせると

「やはりこの人の親友らしき雫さんも死にたかった」と言う結論が出た。

ならば急がなくてはならない、私一人・・・できればこの人も連れて自殺を止めなければ!

そうなって彼をその山まで連れていった、行く途中に彼は事情を話してくれて、読んだ心と合わせると「私はここで行く必要がない」と思った。私が考えているより彼らの事情が重く、私がいた所で止められないだろうし、何なら邪魔になるのだろう。だから私は山の中には入らず、外で彼らの帰りを待つのであった。

その後、私の掌の上に乗っていた命を落とす事になるとも知らずに・・・


『男の娘』

「後輩ってさー髪長いし、性格弱々しいし、声高いし、身長低いし、スリムだし、女子っぽいよな」と保健室で暇そうに本を読んでいる先輩が僕にそんなノンデリ発言をする。

「えぇ・・・・・・大体事実ですけど僕可愛くないですし、ちゃんと男としての心は持ってますよ?」と反論すると、「Do you have a girlfreind?」「No,I don't.But,I had a girlfreind.」

「え?マジ?後輩に?!彼女?!」「居ただけです。中学の三年間。」あんまり思い出したくない、一緒に出てくる記憶にいいものがないから。

恋愛は・・・・・・最近はドラマでしかみないな。気になる人もいないし、例え関係が進んでも再来年には死ぬんだし、はっきりいうと迷惑だろ、こんな男。

「確かに後輩が男なのは話せば割とすぐにわかる。心が男なのは分かりたくないけど分かった。見た目も一瞬だけど、ちゃんとと男を疑える。けど!パッと見が女なんだよ!」

そんなこと言われましてもなぁ・・・・・・僕はどうしようもないですよ。

「どうしたもんかねぇ。」と先輩も僕も悩んでいると、「まずは髪切ったらいいんじゃない?形から無いらないもんには始まらないでしょ。」といつの間にか帰ってきた蓮田先生がさも当たり前のように提案してくる。

「髪・・・・・・か」と僕は自分の髪に手を当てる。

長い。切る気が無いのと、あの旅が長かったのと、元からちょっと長かったのが相まって一番長い所なんか30センチ程にまで伸び切っている。

髪を乾かすときはあんまり気にしなかったけど、言われてみれば長いことに気づくって感じである。

「よし!散髪すっか!どーする?今ここでやるか?」と聞くが、有無を言わさずに先輩がノリノリでバックからハサミを取り出して、僕の髪に鋭い金属が当たっている。

「へー、そんなに保健室の掃除してくれるんだー。掃除に御影君は巻き込めないよねぇ?だって病弱だから来てるのだもの。風酔!掃除期待しているよ!」と今までにない、悪巧みをするような不的な笑みをしていた蓮田先生は止めてくれない。

しかし、「はい喜んで辞めさせていただきますすいませんでしたー!」と呆気なく先輩は退いた。

先輩の方を覗くと「掃除だけは嫌だ掃除だけは嫌だ掃除だけは嫌だ」と掃除をしたくないというオーラが全身を纏っていた。

あぁ、この人、掃除嫌いなんだな。


この後、ちゃんとした床屋で耳がちゃんと隠れるくらいの長さになるよう美容師さんに切ってもらいました。

僕的にはこれ以上短くするのは首元が寒くなるからそんなに好きじゃないけど、

先輩は「あー・・・・・・似合ってはいるんだけどな・・・・・・うん、まだ男の娘かな。どうしてこう、短く、男っぽい髪型にしないのかね」と納得いかなさげなコメントを残している。

親じゃないんだから、そんなに気にしなくてもいいと思うんだけどな。いや、親もそんなに気にしないか。


『暖かく、平和な時間』

暦上では冬が終わるはずなのに寒さがどんどん厳しくなってくる季節。外では美しくアネモネの花が咲いている。

今日、僕と永遠先輩は休日に買い物に行く事になっていた。

確か原因は・・・「後輩よ、今度の週末さー二人で買い物とか行かない?」永遠先輩がいつものように話しかけ、「えぇ・・・僕は病弱なんですよ?休日を丸一日使ってショッピングなんて・・・ぶっ倒れたら先輩のせいにしますよ?」そんな肩苦しい敬語を使わなくて良い関係になっていた。

考えたら凄いものだ、ろくに学校に来れない奴にここまで親しい友人ができるなんて。


「後輩ももう前を向けるのかな・・・」そんな独り言を誰にも聞えないぐらいの声量で言っている。


そんな不確かで曖昧な理由で僕は一月の休日、気温二度の中、朝十時に駅前集合していた。

「遅い、じゃぁないか!後輩!先輩を待たせるとはいい度胸しているじゃねぇか!」「先輩・・・今、集合時間の二十分前です」そう、僕も先輩を待たせまいと意気込んで早くきたのだ。

なのに先輩は僕より早くについていた。早いも遅いもあったものか。

「・・・さて、後輩よ!君がぶっ倒れる前に行きたいところ周ってしまおう!」そう元気に僕の手を引いて歩いていった。この人誤魔化したな

そんなこんなで僕は大型ショッピングモールに来ていた。

「僕はこんな広いところ来たことありませんよ?」僕はこの街より田舎に住んでいたものだからこんな馬鹿広いショッピングモールなんてテレビでしか見たことがない。

それなのに先輩は「そうかーけど、俺も来たことないぞ?」そう平然と言ってくる。この人信頼できねぇ・・・そう思いながらも手を引かれるがままに僕達は移動した。

「ちなみに何か買うものはあるんですか?」僕は本当に計画しているのか心配になったので聞くと「あると言えばあるぞ、俺の妹の誕生日プレゼントだ。けどまだ何を買うかは決まってない。それを選ぶためにも後輩を連れてきたんだ」「先輩ってたまにお兄ちゃん属性発動しますよね」「何言ってるんだ?俺は常にお兄ちゃんだぞ?」どうやらこの人は普段、完全に無意識で行動しているらしい。頭大丈夫かな。

「あぁ・・・そうですね」これ以上このことを話すと面倒になりそうなのでとりあえず会話を断ち切って別の話題にすり替える。

「ところで先輩の妹ってどんな感じの人ですか?」少し雑だが、先輩に質問をする。

「えーっと?ざっくりでいいか?」その問いに僕は首を縦に振る「妹は後輩と同い年の十七歳、俺とは違って成績が超優秀で気配りもできるザ・優等生だ、だけど家だと意外とキャラが崩れてバカになる。そこも可愛いんだけどな。趣味で動画制作と株取引をやってるんだが、父親と同じぐらい・・・いや、それ以上の額を稼いでいるな。あいつの好みなものは・・・美味しいお菓子だな」僕はこの風酔兄妹が異常である事に今更気づいた。そりゃそうだ、兄がとんでもなく丈夫なのだから、妹がちょっと他の方向に才能があるとしてもおかしくない。

そう思いながら僕たちはショッピングモールの菓子屋へと向かうのであった。


『先輩と・・・・・・デート?!』

僕たちは妹のプレゼント探しを引き続き行なっている。「何店舗かハシゴして一番好きそうなものを買う」という作戦をしている。

なのに、「先輩、何で屋上に来たんですか」僕たちは今ショッピングモールの屋上にいる。「なぜかって?そりゃ気分転換だよ、後輩だって知らない妹のために品を考えるの嫌だろ?それに俺は高い所が好きなんだ。遠くまで見渡せて、ここなら遮るものは何もない」

空は雲一つない乾燥した冬空、空気が澄んでいて、遠くの山々まで綺麗に見える。

確かにここは僕らの通っている六階建ての学校からも数キロ距離が離れているから五階建てのここからでも景色を見渡すことができる。

「学校で授業サボる時もさ、暇潰しに保健室行くこともあるけど屋上に行くことも多いから。もし、俺を探す時があったらどっちかに行くんだな」そんなどうでもいい話を聞き流して、僕は各階に入っている店舗を見ていた。「ちょっとは聞こうぜ?」先輩の大きな声が屋上を響き渡る。


その後、「あ、このドーナツやバームクーヘンとかどうですかね?」「お!良さげだな!値段も絶望的に高い訳でもないし、二つとも買ってしまおう」一、二店舗目で学んだ妹の好みを参考に三店舗目でようやく発揮して見つけることができた。

「着いてきてくれたお礼だ、後輩も何か買うか?」「いいんですか?ならこのマカロンを!」そう言ったはずなのに、先輩はそれらを買い、まとめて包装してもらった。

「え・・・?僕のじゃないんですか・・・?」「え?後輩が俺の妹に渡すものじゃないのか?悪い悪い、勘違いしてた、ならもう一個買ってやるよ」とそう言い、マカロンをもう一つ買ってきてくれた「え?貰っていいんですか?僕の勘違いでもあるんですよ?」そう言ったが、「大丈夫」と言わんばかりの笑顔が帰ってきた。

目的のものを買ったし、その場で解散だと思っていたが・・・「よし、買ったからこのまま遊ぼうじゃないか」そう、ショッピングモールで遊ぼうとしているのであった。

「ちょっ・・・・・・十二時ですし昼食を〜!」そんな言葉が届くわけもなく「まずは服から見ていくか〜三階ね」といい服から見にいくことになった。

「先輩〜今何時だと思ってます〜?」「・・・・・・午後・・・・・・六時です」あれから服屋、ゲームセンター、文房具屋など、一通りショッピングモールを周り、気がついたらこんな時間になっていた。

「昼ご飯、どうなりました〜?」「食べて・・・・・・ません」そう、昼ごはんも食べずに。「途中途中で休憩を挟んでくれるのはうれしかったんですけど、簡単なものでもいいんで昼ごはんは食べてもよかったんじゃないですか?」「ごめんなさい!!」そんな会話をしていた。もちろん先輩が全て連れ回している。「と、とりあえず・・・・・・帰りましょ?」そう先輩は僕のあってないような怒気に怯えながら言う、「そうですね、今日は不思議とまだ動けますし早めに帰りましょう」本当は今すぐに家に帰りたい。

「家まで送って行った方がいいか?」「いえ、一人で帰らしてください・・・・・・疲れました・・・・・・」本当に今すぐに家に帰りたい。「そ、そうか、分かった、じゃあ、デートはお開きってことで、またいつか!」そう言って先輩と駅前で別れた。

これ、デートだったんだ。 「さて、頑張って帰りますか」そう言い僕は重い足を引きずるように帰路を辿る。

しばらく歩いた。ような気がする。動きすぎたせいで視界がぼーっとするし、動けているのかもあいまいだ。

そんな中、「え?だ、大じょうぶ?」どこかでこえがする・・・だれだ?どこかできいたことのあるこえ、おもいだそうにもあたまがはたらかない・・・「ちょ・・・」そこで僕は倒れた。


『幻想②』

「なぁ、由紀、幻想の世界って存在すると思うか?」目が覚めた時に聞こえた声はあまりにも懐かしく、思わず涙が溢れた。

「存在っ。すると思うよ・・・雫!」そこには死んだはずの雫がいた。

あの重い体も、どこにも行けない孤独感も、どこにもない。ただ新しい体のように不自由ない体で僕は雫と話していた。

「おいおい、泣くなよー?そんなに俺と会えたのが嬉しいか?」「あぁ、そうだよ!僕の唯一の親友の雫に数ヶ月ぶりに会ったんだ!生きていた世界で独りなのが寂しかった。お前のいない世界に価値を感じれなかった!どうにかしてまた会いたいとずっと思ってたんだ。」僕はそう言い雫の元へ近づいていった。だが、「そうか・・・消えてくれ」雫は僕を蹴飛ばした「え?えへ?」僕は困惑しながら落下していくのであった。


「お_えは___む___き_んだ」落下しながら微かに雫が何かを言っていた気がした。


「・・・さん!由紀さん!」「ん・・・んん・・・」最悪の目覚めだ。

雫と一緒に入れるのならこんな命もいらないというのに、僕は命を持って現世ここに戻ってきてしまった。

「由紀さん!?由紀さん!?生きてます!?」ん?そういやここどこだ?ぶっ倒れたからベットの上で寝かされていたのだろうか・・・「由ー紀ーさーん!」ベシッという頭を軽く叩く音と刺激で彼女の存在に気がつく「え?どうして・・・あなたが?」そう、僕は今、星川葵がそばにいる状況であった。

「あの・・・私のこと・・・覚えてます?」そう葵さんは尋ねてくる。それに対し「僕を雫の所まで連れて行ってくれた・・・」「あ!はい、そうですそうです。確か自己紹介まだでしたよね、私は星川葵といいます。」話を遮ってくるあたり、失礼な所はあまり変わっていないらしい。

「僕は・・・御影由紀、道端でぶっ倒れていたところを助けてくれたんだよね、ありがとう」彼女は僕のことはあまり知らないはずだから病気のことや雫のことは隠しておこう、いいたくもないし。

それから僕が倒れていた時の状況やここへきた経緯などの重要なことから学校についての雑談などを話した。

先生が言っていたこととは違って、特に変な事はなく、普通、なんなら人に好かれるような話し方をしている。

話も妙に噛み合うし、僕の好きな話を多くしてくれる。それだけ、人付き合いが上手なんだろう。

とてもこの人が学校で孤立しているとは思えない。

さらに時間が経ち「もう十時ですがご飯、食べていきます?」と葵さんの方から言ってきた。

「接点がほとんどなかったのに、十分過ぎるほどにもてなしてくれるんだな・・・長居もしてしまっているし流石に帰るよ」流石に同級生の女子にここまでされるのは何だか違和感を感じるので全快はしていないが、帰ろうと準備しようとしたが「御影君はノリが悪いな〜学校で人気の女の子のご飯が食べれるんだよ?普通は食べていかない?」「あのなぁ・・・僕は知っている通り疲れているんだよ・・今すぐでも家に帰って寝たいんだよ・・・だから帰らしてくれ」まるで自分に自信満々な葵さんをできるだけ自信を崩さずに意見を曲げさせたい。

僕は人の意見を曲げるのは得意なのですぐに曲がると思っていたのだが・・・「じゃあ、ここで休んでこ?多分君はこんまま帰ろうとしても途中でまた倒れちゃうよ」と耳元まで近づき、小さな声で誘惑してくる。思わず僕は頬を赤らめ、ベットから音を立てて転げ落ちる。

距離感近すぎだろ!こちとら一応男だぞ!「・・・照れてやーんの」「・・・」この後に及んでバカにまでしてくる。

それから多少反論したが、最初の誘惑と挑発で頭に血が昇っているのか、ことごとく僕の心配している所をつかれ続けて結局ご飯を食べた後に家まで送ってもらうということになった。


「ねぇ、ご飯美味しい?」そううれしそうに聞いてくる「たとえ不味かったとしても言えないし、人から作ってもらった料理を残すのは論外でしょうが」実際バカみたいに美味しい。

自分で作った思い出補正が掛かったご飯よりも、永遠先輩が作ってくれた料理よりも断トツで美味しい。

心の中でしか言えないことに一瞬恥ずかしくなると「ほほう・・・つまり美味しくないと?」そうからかう気満載でバカにしてくる。「・・・美味しいよ・・・」仕方なく小声で言うと「え〜聞こえないな〜」またバカにしてくるので「ご馳走様」と遮る。

「無視かな?酷くない?まぁお粗末様、それじゃ家まで送るね〜」そう言われたの荷物を持ち、家を出ようとする「一応聞いておくけれど、夜の十一時に女子が一人で歩いてて大丈夫なの?」「逆に聞くけど、夜の十一時に夜道で倒れたらどうするの?」やはり葵さんは異様に口が強い。

こちらの気づいていないことまでも察知して的確に有利になる言葉を突いてくる。

夜一人で歩けない男か・・・それを言い返せえる人になりたかった・・・ そんな出来もしない幻想を僕は考える。

昔は僕も強くて優しいヒーローを夢見ていたのに、いつしかこんなに弱くて捻くれた人間になってしまったのだろう


『騒がしい週末の夜は終わりを告げる』

歩いて、歩いて、おそらく三十分ほど経っただろう。さっきまで静寂が包んだ住宅街を歩いていたのにどこからか怒号が聞こえる。

誰かが喧嘩をしているような、そんな声が遠くから聞こえる。ふと横を見ると葵さんが顔を青ざめ、微かに震えていた。

「どうした?寒いのか?」心配になった僕はそう尋ねるが明らかに大丈夫でない声で「うん、やっぱり夜は寒いねぇ・・・」葵さんはそんなそんな変なことを言う。

今日の夜は時期の割には暖かく、朝の気温が嘘のような感じがする。しかし、寒いと言うならと手袋を外し、手を握った。

「えっ?」「寒いんでしょ、ほら、手握るだけでもあったかいじゃん」友人でも恋人でもなんでもないが、僕の心がそうしろといっている。

「は_っ___の_は___る___」誰かの笑い声が頭の中を木霊する。頭痛くなるからやめていただきたい。


数分後、怒号は止んでいてまた静寂が住宅街を包んでいた。

考え事がなくなったので冷静に考えると今の状況って今日初めて互いの名前を知った人同士の関係ではない気がする。そんなこんなで特に喋らずに家まで着いていた。

いつ見ても家の前に咲いている山茶花の花が綺麗だと思う、椿と似ているが何か違うんだよ。

そんなどうでもいいようなことを考えていると「ねぇ、その手に持っている紙袋、中身ごともらっていい?」そんな理解に苦しむことをまた葵さんが言ってきた「ま、まぁいいけど・・・マカロンだぞ?」「え?マカロン?!甘いもの大好きなんだよ私!ねぇ、頂戴?」そんな欲しいものを目の前にした小学生のように葵さんは目をキラキラと輝かせ、はしゃぐ。

場所によってキャラが変わりすぎて対応がめんどくさい。

不自然だと思いつつもマカロンを渡して「じゃあ、また学校で会う機会があるといいな」と言って家の鍵を開けて入った。家に入る寸前まで葵さんは笑顔で手を振っていた。やっぱりキャラが変わっている。

「さて、そんなことより疲れた疲れた〜夜ご飯食べさせってもらちゃったからもうそのままベットで寝ようかな」明日も休日である。

だから今日はもうゆっくり休もうと思い、着替えてベットにダイブするのであった。「おやすみなさい」


俺は遠くから由紀をみていた。後輩と別れた後、一度帰ろうとしたがやっぱり心配になって由紀が家に着くまでこっそり尾行することに決めた。案の定、由紀は途中でぶっ倒れたため、抱えて由紀の家まで持って行こうとしたが、友人っぽい女子が倒れた由紀を何とか運んでいるため、やめた。

「俺がいなくても後輩とその友人だけでなんとかできるようにしないとな」

その後、由紀を運んでいる女子がおそらく自分の家につき、由紀を中に入れた。

おそらく看病しようとしているのだろう。いつ出てくるかわからないけど、由紀がとにかく心配だったためその家が見える範囲で適当に時間を潰すのであった。

夜の十一時ごろ、ようやく後輩たちが出てきた。仲良さそうに喋って、後輩の家の方向へ歩いて行っていた。後輩の年齢を知らなかったら完全に中学一、二年生のデートにしか見えない。夜も遅いが、もう大丈夫だろうと思って帰ろうとすると、行こうとしている方角のほうで酔っ払いとヤンキーっぽいのが数名で喧嘩していた。

「ったく、仕方ねぇな」後輩も、あの女子もこんな奴らに絡まれたらどうなるかわからないため、全員黙らせることにした。

俺からしたら酒に酔ってフラつく大人も、イキっているだけのヤンキーも大したことない。2分もかからず全員黙らせられた。

こんな状況を見られるのもアレなのでちょっと離れた路地裏に運んだ。酔っ払いとヤンキーをそれぞれ遠くに運び直してもう喧嘩が起きないようにした。

ちょっと力が強かったのか五分経っても全然目を覚ます気配がない。「まぁ、そこまで強い外傷は無いし、脈も問題なく動いてるから大丈夫っしょ」そう言いながら野郎どもを運び終えた。「いっけね、後輩たちから目を離しすぎてるわ」そう思い、再び遠くから尾行する。

既に家の前まで着いていて、女子の方は嬉しそうに後輩の持っていたマカロンをもらっていた。あげた側としてはやや複雑な気持ちだが、いいだろう。「・・・いつだっけな。俺が恋に落ちた時って。」後輩たちを見ているとふとそう思った。単純に羨ましい。学生のうちに恋愛をできること自体が。

「・・・・後輩もいい恋見つけたんだな・・・大事にしろよ?そんな経験、もう二度とできないだろうからな」そう言い。

俺、風酔永遠は自分の帰路をたどるのだった。

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