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愛は消えてなくなりました  作者: もも


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7 結婚式は幸せに

 結婚式は抜けるような青空が広がっていた。

ウィスタリアは侍女たちに朝から磨きをかけられた。

美しいウエディングドレスを身に纏い、ダイヤモンドのネックレスとイヤリングを着け、べールの上にティアラを載せているウィステリアは、これ以上ない幸せな花嫁だった。

今まさに父のエスコートでデヴィットの待つ祭壇の前まで行こうとしていた。


 待っているのは愛しい人。白いシルクのタキシードが似合いすぎている。大人になった彼は顔が小さく脚が長いバランスの良い細マッチョな体型になった。

熱のこもった目がウィステリアを待っているのが分かった。


「病める時も健やかなる時も汝デヴィット・クロウはウィステリア・ランドルを愛し慈しむことを誓うか」


「誓います」


「病める時も健やかなる時も汝ウィステリア・ランドルはデヴィット・クロウを愛し慈しむことを誓うか」


「誓います」


「では誓いのキスとサインを此処に」



デヴィットと誓いのキスをしサインをした

二人は晴れて夫婦になった。





結婚披露パーティーはお互いの親族と外交部の職員で賑やかなものになった。



 二人はクロウ伯爵家の敷地に建てられた新しい屋敷で暮らすことになった。


侍女はサナとメアリー護衛としてスザンヌが専属となってくれた。

三人はランドル家から連れてきた。

後の使用人は昔からクロウ家にいた者だった。

信用のおける者をお義母様が選んでくれた。間違ってもデヴィットに横恋慕する者が紛れていてはいけないと既婚者ばかりだった。



 クロウ家は領地を持たない宮廷貴族でお義父様は外務大臣。時々夫婦で外国にも行かれる。お義母様が留守にされるときは私が女主人だ。頑張らなければ。



 今夜は初夜だ。早めにパーティーを抜け出した私は侍女たちにお風呂に入れられ磨かれた。


薄い夜着を着せられ夫婦の寝室にいる。部屋には花の香の蝋燭が何個も置いてあり炎がゆらゆらと揺れていた。軽食とワインが置かれていた。


母やスージーさんに聞いた初夜は最初は痛いものらしい。緊張するわ。

恋愛小説も読んでみたわ。男性次第で随分違うものみたい。一人で赤くなってしまった。


色々考えている間にデヴィットが扉を叩いた音がした。


「入っていい?」


ウィステリアの返事を待ちきれないように入って来たデヴィットはコロンのいい香りがした。


「凄く扇情的な夜着だね。我慢できそうにないよ」


「侍女たちが張り切って着せてくれたの」


「それは後で褒美を出さないといけないね。でも少し軽食を食べようか。ほとんど何も食べていないでしょう」


「そういえばお腹が空いていたような気がするわ」


「じゃあ食べさせてあげる。ほらこっちへおいで」


部屋のソファーに座るとデヴィットがウィステリアを呼んだ。


「えっ?一人で食べられるわ」


「ずっとやってみたかったんだ。味が違うらしいよ。食べさせ合うのって」


「そうなのかしら」

経験のないウィステリアにはよく分からなかったが旦那様の言うことだ。受け入れた。


「うん、だからあ~ん」


サンドイッチやローストビーフや果物を次々と口に入れられた。かなり恥ずかしい。餌付けされているような気がする。しているデヴィッドが嬉しいなら良いけど、今度は私の番ねと思ってサンドイッチを手に取ると手まで食べられそうになった。指先が熱を持って熱い。


ワインを口に含んだデヴィットが口移しで飲ませてきた。これってキスじゃないの。啄むようなキスを重ね濃厚なキスになった。意識がふわっとしてきた。私ってアルコールに弱かったのかしら。息が苦しい気がする。デヴィットが


「リアと呼んでいい?鼻で息をして」


今それを言うところ?と心の中で突っ込んだウィステリアは漸く楽に呼吸をしたのだが、デヴィットの男性らしくごわついた大きな手に全身を撫でられて、気持ちが良くなってしまった。

柔らかな唇を全身に這わせたデヴィットは幸せそうに

「リア、とても綺麗だよ。どこも甘いね」と囁いた。


中々のテクニックを持っていたデヴィットに美味しく食べられたウィステリアは幸せなまま意識を飛ばした。





朝の優しい陽射しで目覚めたウィステリアは綺麗な顔が間近にあるのに気が付き昨夜の出来事を思い出して真っ赤になった。

それにしても綺麗な顔だわ。出会ったときは可愛いと思ったけど精悍さが出てきた。肌は毛穴一つないくらいにすべすべなのよ。睫毛も長いわ。この唇があんなところやこんなところを舐めたなんて信じられない。



「そんなにこの顔が好き?」


「あわわ、起きてたの?寝た振りなんてずるいわ。好きよ大好き。顔だけじゃなく全て好き」


「僕も好きだよ、愛してる。漸くリアが素直になった。ずっと線を引いてたでしょう。年下だから?気が変わると思ってた?」


「そうね、ごめんなさい。自信がなかったの。私以外に好きな人が出来たっていつか言われると思ってた。デヴィット可愛かったんだもの。頭はいいし性格も良くて、その夜も上で・・・」


「その、夜の方はリアが初めてだよ。好きでもない人としたくないし本で勉強した。これからは実践できるし、ね? リアの初めてが僕で良かった」


「そんなの当たり前だわ。年上でも処女だもの」


「うん、可愛いからもう一回しよう、ね?」


もう一度?再度美味しく食べられたウィステリアだった。



読んでくださりありがとうございます!

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