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愛は消えてなくなりました  作者: もも


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6 ウィステリアの甘やかな日々

 驚いたことに学院を一年で飛び級で卒業したデヴィットは、大学も外国語専門の所を選び、二年で卒業してしまった。

どれだけ天才なの。私の補佐なんて必要ないのではないかしら。


デヴィットは外交部のキャリアになりお義父様の下の部署で働くことになった。

外交官まっしぐらだ。



☆☆☆



 外交部での勤務は楽しい。たまに仕事終わりにスージーさんと食べに行く食事は最高だ。女性だからレストランも安全な場所で、お洒落で味も美味しい。

スージーさんは恋バナが好きで、デヴィットと出会った時の話や、喧嘩した時の愚痴を聞いてもらったりしている。

スージーさんもこの間婚約をされたばかりだ。

男爵家の次男で学院の同級生だそうだ。紹介して貰ったが優しそうな人だった。

結婚してもお勤めは続けるそうで羨ましい。


私は辞めないといけないのだろうな、残念だけど。デヴィットと一緒にいられるならそれでも良いかもなんて思っている。

それに結婚して外交官になるデヴィットと一緒に外国に行ったり出来るのは妻である私だけだ。今迄の経験と勉強が無かったことになる訳では無いのだもの。

人を羨むのはやめなくては。


 喧嘩の原因はお互いのやきもちが多い。学院と大学を一年で卒業してしまった話題の青年だから、要らない噂を教えてくれる人が多い。

家柄、容姿、頭脳、優しい性格と言う事無しのスペックの高さ。

令嬢達に人気なので告白されていたのを見たとか、年上・・()にというやっかみ。

婚約した時からだけどまた?と思っているが増えてきたので面白くはない。

結婚式も近いのに割って入れると思っているのかしら。



デヴィットも王宮で私が声をかけられているのが面白くないようだ。ああいう人って本気で口説いているわけではないし、軽くなせているから気にしなくて良いのに。


でも私は時々拗ねた態度を取ってしまう。大人気ない。機嫌を取ってくれるのが嬉しくて気づかず顔に出してしまうのだ。可愛いと言ってくれるが反省しなくては、今に愛想を尽かされる。


☆☆☆



 結婚式まで後半年になった。ウエディングドレスは真っ白なタフタ生地でマーメイドラインでトレーンが長い。ウエストから裾にかけて小さな真珠が付けられることになっている。白いシルクの糸でウィスタリアの花の刺繍が入り見事だった。ベールはシフォン生地で端を見事なレースで飾られていた。


後は体型を維持するだけだ。

デヴィットの衣装も見せて貰った。真っ白なシルクに私の髪色の金糸でクロウ家の家紋の鷲が刺繍されていた。これを着たデヴィットを早く見たい。



 今日はクロウ家の庭園でお茶会だった。屋敷まで迎えに来てくれたデヴィットにエスコートされてガゼボに行くとお義母様がにこにこして座っておられた。

テーブルの上には焼き菓子やケーキが沢山並べられ、侍女が紅茶を淹れるとさっと離れた場所に下った。


「久しぶりね、ウィステリアさん。忙しいと言ってデヴィットが中々会わせてくれないから来てしまったわ」


「母上、二人の時間の邪魔です」


「何ということを言うのかしら、この子は。心が狭いと嫌われるわよ」


「デヴィット、お義母様のことは大好きですわ。クロウ家のことも色々教えていただいてますし。これからはお義母様と一緒にお茶会にも参加することが増えるので心強いのですよ」


 実家の母と一緒のお茶会は小さな頃から貴族夫人の嗜みとして、棘を持った他人のやり過ごし方を実践で見て覚えてきた。マウントを取ろうと狙ってくる女性は必ずいるので、扇を持って往なす様は、子供心にも格好良く思えて尊敬しか無かった。そこから家に有益な情報を掴んで帰るのだからウィステリアにとって母はヒーローだった。


お義母様様はどのように戦うのかとても興味があったのだ。仲良くしないわけがない。


「ほらご覧なさい。ウィステリアさんの方が分かってるわ。でも良いわ。結婚式の衣装が素敵ねと言いたかっただけだから。デヴィットがあれこれ注文を付けていたけど最高のドレスになっていたから褒めたかっただけよ。ではごゆっくりしていってね。馬に蹴られたくはないから失礼するわ」


「お義母様ごきげんよう。又お茶に誘ってくださいませ。デヴィット、ドレスに注文って?」

お義母様は頷くと優雅に去っていかれた。


「ああ、貴女は藤の花の様にしなやかだから刺繍を入れて欲しいとか、細いからラインが綺麗に出るものをとか少し要望を出した」


「まあそれであんなに素敵なドレスが出来たの?嬉しいわ」


「気に入ってもらえて良かったよ。一生に一度の私の花嫁のドレスだろう?素晴らしいものを着て欲しかったんだ」


「招待状を殆ど書いてくださったのね。退職願は出してあるので、もう少しで退職できると思うのだけど」


「父が外交部が忙しいからと貴女を仕事に縛り付けるから困ったものだ」


「仕事は好きなので構わないの。でも式の準備をお義母様やデヴィットに頼りっぱなしなのが心苦しくて」


「気にしなくていいよ。父上が悪い。それより今日も綺麗だね。このまま住んでくれたらいいのに、帰したくない」


デヴィットの目が熱を持ってウィステリアを見つめ、隣に座り直し髪を一房掬って弄び始めた。


あ~いつまでも可愛い私のデヴィット、愛してるわ、このままの幸せが続きますように。

裏切ったら許さない。


読んでくださりありがとうございます! 夕方もう1話投稿します。宜しくお願いします。

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