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〜8〜魔物

(幸せだな…この幸せがずっと続けば良いのに)


だが、それが叶わない事は自分が1番分かっている。


幸せを実感すると同時に、どうしようもない恐怖心に襲われた。前の人生では幸せなんて感じられなかった。だからこそ怖いのだ。いつ無くなるか分からない脆いもの、シアワセ。シアワセというある種の呪い。それにずっと囚われている。


(やめやめ。本読も)


無理やり切り替え、本の世界へ入る。どうしようもなくなるくらい、苦しくなった時は本の世界に逃げ込む。そうすれば読んでる間だけは、全部忘れられるから。


ふと、窓の外が光った気がしたが、気のせいだと頭から追いやる。


本の主人公は心優しい人間の女の子。ある日女の子は森で倒れていた猫を助ける。しかし、なんと猫は魔物だった。魔物は女の子を喰おうとするが、優しい心に触れるうちに惹かれていく。

『人を助けてなんになる。自分が傷つくだけだろう』

『違う。私は助けてるんじゃないの。ほんのちょっとだけ、人に手を貸すの。そしたらありがとうって、笑ってくれる。そしたら私も満たされる。生きてて良いんだって、思えるの』

二人は惹かれ合うが、魔物は人間に殺されそうになってしまう。女の子は覚悟をする。魔物を守ると。たとえ自分が誰からも求められなくなっても。魔物を襲う人間を次々と殺していく女の子はやがて、悪魔と化す。

『やっと、あなたと同じになれた。これであなたと生きていける』

『いいのか?もう、人にありがとうと微笑まれることは無くなるのだぞ』

『いいわ。あなたがいるなら。あなたが私を求めてくれるなら』

『勿論、オレは生涯君を愛そう』

二人は魔物の国へ逃げた。絶対にこの手を離さないと、手を繋ぎながら。

二人はその後、人間を───


ガタンッ ガシャンッ


「なに!?」


突如大きな物音が背後からする。後ろを振り向こうとすると、背後から腕が伸びてきて布を嗅がされる。マオは意識を手放した。


「確かにかなりの美人だな。主人も喜ぶだろう」


マオの部屋へ侵入してきた男はマオを横抱きにすると自らの主人の元へと歩き出した。


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