〜4〜ナンパ
街では人が歩いていたり、談笑していたり、喧嘩していたり、本を読んでいたり。人はどの世界でも変わらない、喧嘩してる人は中々いないけど。
(あの喧嘩してるおじさん達、誰も止めないけど止めた方が良いのかなぁ…でも面倒ごとには巻き込まれたくないしなぁ…)
考えた結果見て見ぬ振りする事に決めた。刃傷沙汰にはならない事を祈ろう。
が、良い子なリノとラウは止めるという結論に至ったらしい。
(まって、あそこに行くつもり!?)
二人で止めに行こうとするのを慌てて止める。
「待って、あの人達は身体がわたしたちより大きいでしょ?逆ギレされたら危ない」
「でも、あの二人どんどんヒートアップしてる。周りにも迷惑がかかるかもしれない」
「それはそうだけど…」
二人の意見はもっともで、うまい反論の言葉が浮かんでこない。だが二人に何かあっても自分に守る力は無い。二人を怖い目には遭わせたくないのだ。
それに。
(わたしはやっぱり、こわい。動けない)
昔からそうだった。漫画や小説のヒロインやヒーローは人を無条件に助ける。そんな人に憧れた。そうなりたかった。だがいつもいざというとき体が動かなくなった。
(二人は他人の為に動けるひと…わたしなんかよりよっぽど大人だな)
三人で揉めていると喧嘩している二人の元へ一人の男が近づく。男が何か話すと二人はバツが悪そうにし、やがて笑い合い三人で談笑し始めた。
(あんなに言い争ってたのに笑い合ってる!?何言った!?)
「すごい、あの人何言ったんだろ」
リノとラウはきゃっきゃとはしゃいでいる。が、マオは素直に喜べなかった。自分の恐怖心でリノとラウの成長の機会を止めてしまった。それによく考えればここは街中だ。向こうが何かしようとすれば周りが助けてくれただろう。
結局、生まれ変わっても自分はダメだと卑屈になってしまう。
「ごめん、止めて」
結局それしか言えなかった。二人は自分たちの事を思ってくれたんでしょ、逆にありがとう、と世のクズな大人達に見習ってほしいようなことを言う。
(すごいな、二人とも)
感心、感動すると同時に劣等感が苛まれる。
「ねえねえ!クレープ食べよ!」
「いいね、食べよ。ほらマオも早く!」
二人にそう言われ、気持ちを切り替える。そうだ、そんな事をうじうじ悩んでないで楽しもう、そう思いクレープを選ぶ。二人が楽しそうにしている様子を見て心が凪いできた。
(ん〜、いちご食べたいな〜)
マオはイチゴカスタード、リノはバナナチョコ、ラウはバナナホイップを選び、ベンチに座っておしゃべりしながら食べる。抹茶が良かったな、と思ったのは心にしまっておく。食べ終わったところで、年長者として動かなければと立ち上がる。
「わたしゴミ捨ててくるから、二人は座ってて」
リノとラウからクレープのゴミを受け取り、捨てにいくと見計らったかのように男達から話しかけられた。
(わ〜、初めてのナンパだ〜!)
「ねえねえ、君ひとり?めっちゃかわいいねー!こんなかわいい子初めて見た!」
などとおだててくる。まあ、典型的なナンパだ。こんなテンプレ通りな事を言ってくる様に笑いが込み上げる。
(何百回と見たセリフで草。まあ、当然付いて行きはしないんだけど)
「すみません、弟達と遊んでいる途中なので…失礼します」
断り立ち去ろうとするも、男達はへらへら笑いながら引き止めてくる。
「まあまあ、待ってよ!名前だけでも教えて?あ、後ででいいからお茶しようよ」
「いえ、結構です。失礼します」
(ここまで漫画再現しなくてもいいよ)
先程よりも強めの口調で断るもまだ引き止めようとしてくる。いい加減にしつこい。早くリノとラウの元へ戻りたくてたまらなく、イライラしてくる。
(もう、限界)
堪らず言い捨ててしまった。
「はあ…さっきからしつこい。てめぇらなんかに興味ないからさっさと消えて?」




