〜3〜即興曲
「うわぁっ!?!??!」
「わあっ!?」
声を掛けた主であるリノも何故か驚いている。
「リノか…急に声かけないでよ…」
「ご、ごめん…でもこっちもびっくりしたよー、飛び上がって驚くんだもん」
笑いながらそんなことを言われる。が、知られてはいけないと決めた直後に後ろから声を掛けられればびっくりするというものだ。リノに日本語は読めないとはいえ心臓に悪い。
「で、その古代文字みたいなのなあに?」
「えぇっとぉ、、、自分だけの文字を考えてみようとおもってぇ、、、」
「え〜!おもしろそう!リノも考えよー!」
「う、うん…」
どうにか誤魔化せたが、厨二病のような事をさせるのは中々罪悪感が湧いてくる。
(友達に話さないでね…お願いだから)
と、ここでリノが何しに来たのか気になった。何も用はないけど来たのだろうか?いや別に嫌なわけではないが。打算なく構われるのは慣れていない。
「リノところで何しに来たの?」
するとリノはパッと笑顔を浮かべる。とても可愛らしい。
「そうだ!リノね、ラウとマオと街に遊びに行きたくてね、呼びに来たの!」
ラウはリノの兄で、とても賢い13歳の子だ。リノとラウはリノが一歳、ラウが五歳の時に森で倒れているのを保護され、親が見つからなかったため孤児院で暮らしている。
ちなみにリノは茶髪におさげの明るくて可愛らしい子であり、ラウは茶髪に眼鏡のとても賢い美形兄妹だ。ラウは周りから天才と言われている。
「いいよ、行こ」
そう言うとやったー!とリノははしゃぐ。その様子に思わずこちらも笑顔になってしまう。
(か、かわいい…癒し…)
特に子供好きと言うわけではなかった筈だがリノには人を笑顔にさせる才能があると思う。
微笑みながら出かける準備をする。
クローゼットから紺色のワンピースを取り出す。これは蝶の刺繍が施されておりお気に入りだ。周りからは地味だのなんだの言われるが派手なのはあまり似合う気がしないしこちらの方が落ち着く。
(人の好みなんかほっとけ)
腰までの髪はハーフアップにして猫の意匠が施されたバレッタで留める。二匹の猫が寄り添い、草花が周りにあるとても可愛らしくお気に入りのものだ。
お手伝いで稼いだお金でリノとラウが買ってくれたもので、更に大事なものになった。
準備が終わったのでリノと共にラウのもとへ行く。歩きながら鼻歌を歌っているリノにつられ2人で歌いながら行く。
「二人とも、何その歌?」
合流したラウから当然の疑問を抱かれる。人によってはスルーするだろうけどラウはスルーしないタイプだ。
「即興曲」
それだけ答えると笑いながら答えてくれる。
「すごい、作曲家じゃん」
「でしょ〜」
そんな兄妹の会話に癒される。尊い、あまりにも尊い。子供は純粋だから何も考えず接せる。悶えていた所ではっとする。
(今のわたし、きもい!?やだ〜…ショック…)
わたしは決してロリコンでもショタコンでもありませんと心の中で誰かに弁明しながら三人で街へ歩いていく。
(そういえば、なんか忘れてるような…?)
首を傾げながらもすぐに考えるのをやめ、リノとラウの会話に混ざった。




