表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/19

〜18〜普通

風がびゅーびゅーと吹き荒れる。星も月も見えない夜、一つの人影が孤児院の前に現れた。影がゆらりと揺れるとただ一つの灯りである街灯がふっと消え、影も消えた。



孤児院へ行く事が決まった次の日、四人は孤児院の前へ来ていた。


マオは髪の色を変え、眼鏡をかけ、帽子を目深に被った変装姿だ。


雲ひとつない青空の中、マオは扉を開ける。すると中から人がどばっと溢れ出してくる。


「うわっ!!なに!?」

「マオ!!どこ行ってたの!?それにその格好は…」


リノが飛びついてきて、困惑の声を上げる。


「突然いなくなってごめん…説明するから、この人達と一緒に入らせて」

「え…コンくん?なんでコンくんが…」

「突然ごめんね、失礼します」


スイとシロも失礼します、とマオたちと共に中へ入る。


皆が座ったところで、マオは口を開きことの次第を説明する。


「こんな事になっちゃって、ほんとにごめん」


マオは目を伏せ、頭を下げる。即座に孤児院の皆が否定する。


「マオが謝る事ないわよ!悪いのは攫おうとするやつらなんだから!」

「そうそう!!マオは被害者なんだから謝らなくていいの!」

「うん…」


(被害者…そう、だね。でも)


(わたしは、自分が被害者だとは思えない…)


自分が生きている事によって、色んな人たちに迷惑をかける。こちらから与えられるものは何も無いのに。


どうしても消えない罪の意識。それによって素直に慰めの言葉を受け取れない、その様子をコンは悲しそうな顔で見つめていた。


「じゃ、そろそろ帰ろっか」

「え〜、もう帰っちゃうの?」


コンがマオに言い、リノは悲しそうな声を出す。コンは眉を歪めながら、リノに言う。


「ごめんね。あんまり長居すると、危険だから」

「ごめんね、リノ…またね」


悲しそうな、寂しそうな顔をしながらリノの頭を撫で、マオは立ち上がり出口へと向かった。


「じゃーねー!!またねー!!」


皆に見送られながら、四人は帰路へとついた。


「みんな明るくて、いい子達だったね」

「うん、すっごく優しくて、人を笑顔にできて…すごい子たちなの」


マオは口元を緩ませながら、答える。が、すぐに顔を歪ませ三人を見る。


「ねえ…どうして、こんな目に遭わなきゃいけないの?どうして…どうして、"普通"の幸せも許されないの?」

「っ……それは……」


縋るように見つめたマオの問いには答えられず、目を逸らすコン。スイとシロも傷ましそうな顔をする。


「わたしは…わたしは、いつだって"普通"にはなれなかった!!みんなは当たり前の顔して、親と、友達と、笑ってるのに!!」

「マオちゃん…」


何かを思い出しながら声を張り上げるマオ。伸ばしたコンの手を払いのけ、更に言葉を発する。


「しあわせだって思うと、いつも壊れるの…無くなるの…ねぇ…なんで…っなんでなの…?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ