〜12〜大事
「はい、ここがこれから暮らす家だよ」
そう言ってコンに連れてこられた場所は知らない町の隅の隅、狭い路地を抜けた先にあった。豪華な屋敷のようだ。広く整備された美しい庭に噴水、街灯。鳥や鹿、馬などの動物のモニュメントもある。建物は白が基調とされており、金の装飾が映えており美しい。本当にここに住むのだろうか。分不相応すぎて心細い。
「家っていうか、屋敷じゃん」
そんな私に対してコンはあり得ない事を言ってくる。
「そう?ちっちゃいし家でいいんじゃない?」
「ちっちゃい!?お前金持ち!?」
「んーん、そんなことないよ〜」
これが、小さいだなんて、コンは相当なお金持ちなのだろうか。そんな事ないわけ無くないか。屋敷は一軒家二十個分くらいの大きさに見えるが。マオは自分がおかしいのか不安になってくる。マオはそこまで世間からズレた価値観はしていない筈だが。
「じゃ入ろ〜」
恐る恐るコンについて中に入っていく。中もそれはそれは豪華だった。前世も庶民だった為、このような豪華な場所はテレビでしか見た事がなくかなり緊張する。
「結構綺麗だね、部屋案内するからついてきて」
案内された部屋も広いわ豪華だわ高そうな物が置いてあるわでマオは怯えた。傷付けたとしても弁償できるお金は無い。こんな部屋では安心して寝れもしない。
「あの…他の部屋って…?もっと質素な部屋がいい….」
恐る恐る聞いてみるがやはり期待通りの答えは返ってこなかった。これより小さい部屋はトイレしか無いよ、だそうだ。
「そっか…そうか…」
気を取り直して食事など家事はどうするのか聞く。だが、なんと家事はメイドと執事がやるそうだ。コンに会ってから驚きの連続で疲れてきた。もうやる事は無いそうなので、寝る事にする。
「じゃーおやすみ〜!ご飯の時間になったら起こしにくるね〜」
「…うん、じゃね〜」
パタン、と扉が閉まりほっ、と息を吐く。やっと休めるようだ。ぼふっと音を立てながらベッドへ沈み込む。流石、とても柔らかい。
…まさか自分が攫われるとは思わなかった。それに、人の死を間近で見てしまった。人を殺して、普通にしていられるコンはおかしい。マオとしては正直、死んでくれて清々した。だが、一つの命が消えた事に変わりはない。その事を忘れてはいけない。
マオはそんな事を思いながら、深い眠りについた。
「コン、あんたが護衛だなんてどういう風の吹き回し?」
「あ〜それ俺も気になっとったんよ〜」
メイド服を着た白髪の女性と、執事服を着た茶髪の男性がコンの対面のソファに並んで座っている。どこか冷たい雰囲気を纏う女性と、おっとりした暖かい空気を纏う男性はミスマッチなようで、とても居心地の良い雰囲気になっている。
「俺はただ仕事をしてるだけだよ。まあ、面白い子だな〜とは思うけど」
女性と男性は揃って首を傾げる。はて、こいつはこんな事を言う男だっただろうか、と。
「ますます珍しいな〜コン人に興味無いのになぁ」
「そう?俺はみんなに興味あるよ?あと、まおちゃんは、俺の大事な子なの」
コンは思い出すように目を細めながら言う。男性は柔らかく微笑みながら、女性の方を見る。女性も男性の方を見て、二人は目を合わせる形となる。そして楽しそうに何かを話すと、男性は口を開いた。
「それは、会うのが楽しみやんなぁ」




