アドニスと福寿草
現代短歌なので、小難しいことは抜きにして。
感じたままを詠んでみました。
お気楽に味わってみてください。
凍て空を割って花咲く福寿草
春の日差しを思い起こさせ
別名、元日草。朔日草。
名前からしておめでたいこの花は、古くから日本人に愛されてきました。小さな黄色い花が集まるように咲き、見た目もかわいらしいことから、鉢植えや庭植えとしても人気がありますよね。最近では、お正月用の寄せ植えでお目にかかるお花です。
特に新年には南天と一緒に寄せ植えにした正月飾りがよく飾られていますよね。これは、南天の音が「難を転ずる」で、福寿草と合わさって「難を転じて福となす」という意味になるからだそうな。
他にも、万両や松竹梅とともに飾られたり。
想像しただけで、めでたい絵柄です。
でもね、本来の開花期は1~4月ですから、これからが見頃のお花ですよ。雪が解ける頃、黄色い花を咲かせるのです。
白い雪の下から覗く黄色い花、なにか健気な気がする!
いや、まだ雪降っているけど。前回に続いて春待ち黄色い花シリーズかい。(←セルフツッコミ……)
ところで。知っています?
この花にはもひとつ別名があるってこと。
その名もアドニス。
はい。由来はギリシャ神話のあの美少年、アドニス君です。ついでに学名もAdonis remosaとなっています。そのせいでしょうか。ギリシア神話でイノシシに殺された美少年であることから、西洋では「悲しい思い出」という花言葉で知られているのですって。
しかも福寿草の根に含まれるアドニトキシンには強心作用があり、古くから民間療法として利用されていたと――。
ここまではいいのですが、その致死量は0.7mg/kgと、体重55kgのひとが38gの摂取で死に至るほど少量でも効果が強い。少しでも用法・用量を間違えると死に至る危険があることから、毒草に指定されているの!
誤って食べてしまうと、嘔吐や呼吸困難、心臓麻痺などの症状が引き起こされ、新芽がフキノトウと似ていることから誤食しやすく、食べて死亡した例もいくつか報告されているので注意が必要ときたら!!
やっぱり美少年には毒があるのよ。毒あっての美少年。(※個人の、かなり偏見に偏った見解です)
――しかし。
洋の東西で、随分扱いが違うじゃん!!
てなわけで、ネット検索は続きます。
アドニス (古希: Ἄδωνις, ラテン文字表記:Adōnis)は、ギリシア神話に登場する、美と愛の女神アプロディーテに愛された美少年。フェニキアの王キニュラスとその王女であるミュラの息子。
彼の名は、美しい男性の代名詞としてしばしば用いられますね。特に年下の恋人。
ご存知かと思いますが、この女神が出てくるとトラブルにしかならない。出生からしてヤバいこの美少年、人生をアプロディーテに引っ搔き回されまくったとしか言いようがありません。誕生に至るエピソードにもアプロディーテが絡んでいますし、彼の死は女神の恋人アレスの嫉妬が引き起こしたものですし。
超残念な人生です、アドニスくん。
彼の流した血からアネモネの花が(もちろんここにもアプロディーテが絡んでいる)……というお話は有名ですが、アネモネには西風の神ゼピュロスとのお話もあり……。
(ちなみにアネモネの学名はAnemone coronariaで、アドニスの名はありません)
――ん。どっちだい、ギリシャ神話!?
すっきりしないままウィキを閉じた加純さんでした。
ご来訪、ありがとうございます。
和名の福寿草は「幸福」と「長寿」の単語の文字をとって名付けられ、その名のとおり新春を祝う縁起のいい花として、「幸福」や「幸せを招く」といった素敵な花言葉が付けられています。
わたしは日本人。福寿草で縁起の良い花で良しとしておこう!――で、納得しておくことにしました。
38gはおおよそティースプーン7杯分。そんなたくさん摂取らないよと思うでしょ。
でもね。山菜採りで摘んだフキノトウの新芽は、これからの季節に食してみたい旬のもの。
てんぷらにして。美味しくてパクパク。
――で。
くれぐれもご注意ください。