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79話 当然の結果

 16歳になったコラルドは、冒険者の面接を受ける為に、ギルド館へ来ていた。面接通知がきた時点で必要条件を満たしていると判断されているので、面接を受けさえすれば合格だ。なお、彼の審査を通したのはジャックスとレトー。普段から彼と一緒に特訓しており、誰よりも近くでその実力と気構え( 孤児院存続の為に働く )を見て来たので、彼への評価は高く、通したのは当然だった。


 面接が通った後は、試験官をつれて依頼を2つこなす必要がある。この試験官にはレトーが任命された。すると、当然の様にジャックスがセットでついてくる。

 コラルドの実力を考えれば、Cランク依頼くらいなら単独でも十分可能。そこにAランクのジャックスが補助として入るなら、余程の事をしでかさない限りは達成できる。

なので、レトーは「俺、行く必要ある?」としきりにアピールし、試験官はジャックスだけで十分である事をドーベンに伝える。しかし、「本人たっての希望だ」と返され、渋々受け入れる他なかった。

 そして、「試験官がトーさんなら心強いです。よろしくお願いします」とニヤニヤしながら頭を下げるコラルドに対し、「心にも無い事を言いやがって。帰ったら覚悟して置けよ」と思った事をそのまま発言して怒りを露わにする。そこをジャックスが「まぁまぁ」となだめながら、一行は依頼である灼熱草採取に向かった。


 採取はレトーの予想通り、何の問題もなく進んでいく。問題ないとはいっても中型魔物のべアール3匹に襲われ、それらをちゃっかり倒しているのだが。

 まずジャックスの銃撃能力が前より格段に上がっているので、こちらに近づいてくる前に脳を綺麗に狙い撃ちして2匹仕留める事に成功。コラルドはそれほどの銃撃能力はまだないものの、レトー直伝の糸切爆弾があるので、それを使って残った1匹をサイコロ状にしていた。中型魔物をものともしない実力は既にBランク並である。


 一行はべアールの死体を焼き終わるまで小休憩をとっていた。


「それにしても、この爆弾の威力はえげつないですね」

「だろ? だから、今まで通り他の奴らには広めようとするなよ? あくまで信頼できる人達の間だけで使っていくんだ」

「悪用防止ですね。分かっています。ただ、広まった所でこの爆弾は他の爆弾と違って爆破剤の調合がシビアだから中々量産できないと思いますけどね。作れるかも微妙ですし」


 爆弾には通常火薬が使われるのだが、レトー製爆弾には使われない。代わりに使われるのは膨張石を粉末状にしたものと灼熱薬・水を組み合わせた割れやすいカプセル状のお湯生成装置(灼熱成分の分量によって爆発時間を調整)。火薬粉末よりも膨張石粉末の方が膨張速度が速く、広がる範囲が大きいので、火薬では無理だった中型魔物の堅い外皮に傷をつけることができる。反面、仁力を加えた防具をも突き破るほどの威力を持つので、取り扱いは危険。これは、対人にも有効である事を意味するので、先程コラルドが言った通り、身内での使用に抑えて情報を広めない様に気を配っている。


「はぁ…」

「どうしたんです?」

「やっぱり2人で十分だったじゃん… もうこっそり帰っていい? 死ぬほど暇なんだけど」

「我慢しなよ、ギルド長命令なんだからさ。それに、君を希望したコラルドの気持ちも汲んであげなよ」

「ジャックスさんの言う通りですよ。もう少し我慢してください」ニヤニヤ

「…それの我慢はいいとしても、お前のその表情には我慢できん。つうか、俺を希望したのは暇つぶしにおちょくる為だろ?」

「そんなわけあるわけないじゃないですかぁ。俺はトーさんの事、尊敬しているんですよ?」

「だったらその表情止めろ…どうせ尊敬しているのは俺じゃなくてジャックスだろ? 分かっているんだよ。んな簡単なオチはよぉ」

「そんな事ないですよー」


 舌打ちするレトーとそれをニヤニヤしながらなだめるコラルド。そんな2人を見てジャックスは『仲がいいね』と微笑むのだった。


 この後、灼熱草の回収があまりにも早く終わったので、そのままもう一つの依頼もついでにこなす事にした。

こちらも何の問題もなく終了し、コラルドはあっけなく冒険者となった。

 

 その足で薬屋に報告に向かう。そこでジュリからは「あっそ」、ジュリの祖母からは「頑張りなよ」という言葉をもらった。一応冒険者になった後も定期的にここで働くらしい。


 時はさらに流れて2年後、コラルドは冒険者での経験を順調に積み、Bランク冒険者になっていた。そんな彼が次に目指したのはAランク冒険者ではなく、ギルド職員になることだった。これを聞いたレトーは「あんまり稼げないからやめとけ。お金を稼ぎたいんだったら、Aランク冒険者になってそっち向けの依頼をこなしていった方がいいぞ」と提案するも、「尊敬する人と一緒に働きたいので」と返される。これに対しレトーは『ああ、ジャックスの事ね。毎日一緒に特訓しているもんなぁ』と推測して納得。すぐに納得したのは、彼もそれだけジャックスの事を尊敬し、信頼しているからだ。


 薬剤師、中型魔物討伐士などの必要資格はすでに持っていたのと、筆記試験も得意だったので無事職員になる事が出来た。実力による採用だが、ドーベンはコラルドの事をジャックスやレトーから偶に聞かされていたので、実はコネの方も十分だった。そんな彼が職員になれたのは当然の事だったのかもしれない。

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