第96話 愛妻弁当
高校生の頃の話。舞は人気急上昇中の新人アイドル。
夜。
俺の部屋。
舞が出演するテレビの歌番組を観る俺。
「ああ、舞、舞、舞〜! 俺の舞は本当に綺麗だな〜!」
歌番組が終わる。
「は〜っ、素晴らしいパフォーマンスだったな。そして綺麗だったな〜。舞〜、会いたいよ〜、抱きしめたいよ〜!」
翌朝。
舞が裏口からこっそり会いに来てくれた。
俺は舞を裏口に迎えに行く。
俺の部屋。
「ま、舞〜!」
部屋に戻ると、すぐに俺は舞に抱きつく。
「あん、ふふ、どうしたの公介、寝ぼけてるの?」
「ちゃんと起きてるよ、こんな朝からどうしたんだ?」
「アイドルになってから、あんまり公介のお世話をしてあげられてないからね。今日は時間があったから愛妻弁当を作ってきたわよ」
「あ、愛妻弁当!」
「ふふ、小さいお弁当箱にしておいたから、おばさんのお弁当と一緒に食べてね」
「ああ、わかった。ありがとうな、舞〜」
俺はまた舞に抱きついて甘える。
「あん、うふふ、公介、学校に遅刻しちゃうわよ」
「ちょっとだけだから、舞を感じさせてくれ」
「もう、しょうがないわね。じゃあ、いっぱい私を感じて」
朝から舞とイチャイチャした……。
「ああん……公介、これ以上は本当に遅刻しちゃうわよ」
「わかった。舞は今日は学校? 仕事?」
「仕事よ」
「そうか、頑張れよ」
「ええ、じゃあ行ってらっしゃいのキスをしましょう」
「おう、行ってらっしゃい、舞」
「公介も、行ってらっしゃい」
そしてキス。
人気急上昇中の新人アイドルに、愛妻弁当を作ってもらった……。




