第77話 焼肉
小学生の頃。
たまに俺の家族と舞の家族、みんなで焼肉を食べに行った。
舞が俺の分の肉を焼いてくれる。
「舞、肉焼いてくれ〜」
「はいはい。これ、もういいわよ」
「美味しい〜」
「こっちのもどうぞ」
「こっちも美味しい!」
俺と舞のやりとりを、親たちが微笑ましく眺めている。
「舞、今日俺の部屋に泊まる?」
「ええ、お母さん、いいわよね?」
舞のお母さんも、いいわよと言ってくれた。
「やったぜ!」
中学生の頃。
俺の部屋で舞と昼間からイチャイチャしていた。
「あん、ふふ……公介、お昼ご飯は何がいい?」
「そうだな……あ、今日は夜、みんなで焼肉食いに行くから、お昼は軽く済ませようぜ」
「それなら、そうめんでも食べましょうか。うちにあるから持ってくるわ」
「お願いしま〜す」
そして夜。
みんなで焼肉を食べに行く。
「舞、お肉焼いて〜」
「はいはい。このお肉、もう食べれるわよ」
せっせと俺のお世話をしてくれる舞。
「美味い! 舞、どんどん焼いてくれ!」
「はい、かしこまりました〜」
焼肉を堪能した。
帰宅してから、俺の部屋で舞とのんびりする。
「ふう、もう食えない……」
「ふふ、いっぱい食べたもんね。お腹さわらせて」
舞が俺の膨らんだお腹をなでなでする。
「舞のせいでこんなお腹になっちゃったよ〜」
「公介がいっぱいお肉焼いてって言ったんでしょ。それそれ〜」
「うひゃっ! くすぐるなよ、舞、ははっ」
「うふふ、このお腹を枕にして寝たいな〜」
舞がお腹にチュッとキスしてくれた。
「あうっ! ま、舞、舞〜!」
興奮した俺は舞に抱きついて甘える。
「あはっ、よしよし、いい子ね、公介」
「ああ、舞〜!」
高校生の頃。
みんなで焼肉を食べに行ったが、アイドルになった舞は忙しくて来れなかった。
俺は母さんや、舞のお母さんが焼いてくれる肉をひたすら食べ続けた……。
深夜。
舞が裏口から遊びに来てくれた。
俺は裏口に舞を迎えに行く。
「舞! いらっしゃ〜い」
「お邪魔しま〜す」
舞を連れて俺の部屋に戻る。
「今日はみんなで焼肉食べに行ったのよね?」
「ああ、美味かったよ」
「ふふ、私も食べたかったわ」
「俺はまだ腹いっぱいだよ」
「うふふ、お腹さわらせて」
「はいよ」
「うわ〜、いっぱい食べたね〜」
「芸能人はすごい高級な店でいい肉食べてそうだよな」
「この前テレビの打ち上げで、そういうお店に行ったわよ」
「行ったのかよ、いいな〜」
「でも焼肉って、公介にお肉を焼いてあげるのが楽しいのよね」
「特殊な楽しみ方だな」
「ふふ、公介のお世話をすることに飢えてるのよ。そうだ、今から部屋を掃除してあげるわ」
「掃除なんて自分でやるから、甘えさせてくれ〜」
「そう? じゃあ、おいで」
「舞〜!」




