第73話 猫2
夜。
仕事から帰ってきた舞とイチャイチャする。
「舞〜」
「うふふ、公介〜」
俺は舞の肩に猫のように頭突きして甘える。
「あん、ふふ、公介、今日は猫ちゃんみたいね」
「そうかにゃ?」
「あははっ、そうだ! 今日は公介が猫のコスプレしてみる?」
「ええっ、なんで?」
「私が見たいから」
「まあ、別にいいけど。舞にはいつもコスプレしてもらってるし、猫にも何度かなってもらっているからな」
「やったー!」
というわけで猫のコスプレをする。
といっても、猫耳をつけただけなんだけど。
それでも舞はよろこんでくれた。
「ふふ、可愛いわ、公介〜!」
「ははっ、ありがと」
「それじゃあ公介、猫になって」
「わかった……にゃん」
「あーん、可愛い〜!」
舞が俺を抱きしめて、身体をわしゃわしゃ撫でてくれる。
「あ〜、舞、気持ちいいよ〜!」
「ちょっと公介。普通にしゃべってるわよ」
「ああ、ごめん、つい」
「ちゃんと猫になりきるのよ、公介」
「はい!」
「はい! じゃ、な〜い!」
「にゃん!」
ふう、猫になるのも難しいな。
「はい、猫ちゃん、まずは挨拶しましょう」
猫の挨拶……鼻をくっつけるんだったよな。
舞と鼻で挨拶する。
「ふふ、こんばんは。可愛い猫ちゃん」
「にゃう〜ん」
俺は舞の膝の上に乗り、身体を擦りつけて甘える。
「あはは、人懐っこい猫ちゃんね、それそれ〜」
舞が全身をなでなでしてくれる。
「にゃは〜ん」
あ〜、幸せ〜。
「公介、もっと猫になりきるのよ」
「にゃん?」
猫になりきるか……舞が猫になってくれた時を思い出そう。
そうだ、猫は気分屋なイメージだからな。可愛いがられてばかりではダメだ。
「にゃっ」
「あん、猫ちゃん、どうしたの?」
俺は急にそっけなくなって舞から離れる。
「ほら、怖くないわ。おいで、猫ちゃん」
舞が近づいて手を差し出してくる。
「はむっ」
「あっ!」
俺は舞の手を噛む。もちろん甘噛みだ。
「はむはむ」
「んっ……大丈夫よ。猫ちゃん、それそれ〜」
「うはっ!」
首をくすぐられて口を離してしまう。
舞はその隙に俺を抱っこすると、全身をなでなでしてくれる。
「うにゃ〜ん!」
「うふふ、気持ちいい?」
「き、気持ちいいです!」
「え」
「あ」
「もう、公介ったら、すぐに人間に戻っちゃう」
「いや、俺は俳優じゃないんで……ごめんにゃさい」
「あははっ、いいわ。ほら、寝室に行きましょう」
「にゃん!」
寝室。
「ほら、猫ちゃん、おいで」
俺はベッドに上がると、舞を抱きしめてキスをする。
「舞……」
「ふふ、また人間に戻ってるわよ」
「もう猫ちゃんは終わり。ほら」
俺は猫耳を舞の頭につける。
「やっぱり舞の方が似合ってるな」
「うふふ……じゃあ、可愛いがってにゃん」
「ああ、めちゃくちゃ可愛いがるよ、舞〜!」
「にゃーん!」




