第68話 別れてくれ
夜。
俺は仕事から帰ってきた舞とイチャイチャしていた。
「公介、ゲームやらない?」
「いいよ。何のゲームする?」
俺はゲーム機の準備をしようとする。
「違うわよ。私の考えたゲームをするの」
「ああ、そういうこと。で、どんなゲーム?」
「まず、公介が私に別れを告げるの」
「ええっ、なんだよそのゲーム……」
「そのまま別れることができたら公介の勝ちよ。どうする? やる?」
「う〜ん……気は進まないが、受けて立とう!」
ゲーム開始。
「舞……悪いけど、俺と別れてくれないか」
「え……な、何言ってるの?」
「だから、俺と別れてくれって言ってるんだ」
「そ、そんな……どうして?」
「どうして? え〜と……ほ、他に好きな人ができたんだよ」
「だ、誰なの、それは?」
「お前には関係ないだろ」
「関係ないって……なんで、どうしてそんなひどいこと言うの?」
舞が泣き出した。演技とわかっていても胸が痛い!
「ねえ、お願い、考え直して、別れるなんて言わないで!」
「だから……もう決めたことなんだって」
「お願い、お願いだから、私を捨てないで!」
舞がすがりついてくる。美しい顔はもう涙でぐちゃぐちゃだ。あ〜、今すぐ抱きしめてあげたい!
「いい加減にしてくれ、しつこい女は嫌いだ」
「お願い! お願いします! なんでもしますから、私を捨てないで、公介がいないと、私……ううっ」
く〜っ、やばい、もう心がつらすぎる。こんなの俺が耐えられない。
「もう無理! ギブアップ! 俺の負けだ!」
俺は舞を強く抱きしめる。
「あははっ、公介、負けるの早い〜」
「だって、もう胸が痛すぎて……こんなに涙も流してさ」
俺は舞の涙を拭いてあげる。
そのまま我慢できずにキスをする。
「ん……公介」
「舞……俺、我慢できない。舞を愛したい」
「いいわよ、公介……」
「舞〜っ!」
「公介〜っ!」
別れを告げた国民的アイドルと、愛し合った……。
愛し合った後、一緒にお風呂に入る。
「あ〜、楽しかったわ」
「俺はあんまり楽しくなかった。舞の演技がうますぎて、マジで胸が痛かった」
「ふふ、女優ですから」




