第65話 流れ星
小学生の頃。
舞と庭で夜空を眺めながらおしゃべりしていた。
「あ、流れ星よ、公介」
「本当だ! お願い事しなくちゃ、えーと、えーと……」
「もう消えたわよ」
「えーっ、流れ星に3回願い事するなんて絶対無理じゃーん」
「ふふ、そうね」
中学生の頃。
舞と夜のお散歩中。
「今日は星がよく見えるわね」
「綺麗だな〜……あっ、流れ星だ!」
「公介、公介、公介〜!」
「ん? どうした、舞?」
「ふう、間に合ったかしら」
「え、もしかして今の願い事だったの? 俺の名前呼んだだけじゃん」
「公介とずっと一緒にいられますようにとか、公介を幸せにできますようにとか、いろんな気持ちをちゃんと込めてるわ」
「そのやり方、ありなの?」
「さあ?」
「ま、まあ……お願い、叶うといいな」
「もちろん、お願いするだけじゃなくて、ちゃんと努力するけどね」
「お、俺も頑張ります!」
「うふふ、二人で頑張りましょうね」
高校生の頃。
舞はアイドルになり、学校も別々になった。
俺は学校の帰りに本屋に寄って、舞の記事が載っている雑誌を買った。
帰り道。なんとなく夜空を見上げる。
「お、流れ星! 舞、舞、舞〜!」
俺はいろんな想いを込めて、舞の名前を3回呼んだ……。
そして、同棲している現在。
俺はリビングのソファーで舞に可愛いがってもらっていた。
「それそれ〜」
「あ〜! ま、舞〜!」
「あ、そうだ、公介」
「はふう……ど、どうした、舞?」
「今日、外でロケしていた時に流れ星を見たの。それで私とっさに公介、公介、公介って言いそうになったのよ。これ覚えてる?」
「覚えてるとも。俺も高校生の時に舞の真似してやったよ。流れ星に向かって、舞、舞、舞〜って」
「うふふ、そうだったの。どんなお願いを込めたの?」
「う〜ん……舞がセクシーなコスプレをたくさんしてくれますようにって」
「あははっ、お願いちゃんと叶ってるわね」
「ははっ、他にもいろいろお願いしといたよ」
「ふふ、今からまたセクシーなコスプレしてあげましょうか?」
「ぜ、ぜひお願いします!」
「は〜い、ちょっと待っててね。何着てあげようかな〜」
「お待たせしました〜!」
「お、おおっ!」
今日もセクシーなコスプレをした国民的アイドルと、愛し合った……。




