第63話 社会現象
高校生の頃の話。舞は人気急上昇中の新人アイドル。
舞が主演をつとめるドラマが社会現象になるほどの大ヒットをしている。
舞が演じる主人公の女子高生探偵が、いろんな事件を解決していくドラマだ。
そんな連ドラを撮影中の舞とは、ほとんど会えてない。
うえ〜ん、寂しいよ〜。
まあでも、舞の仕事がうまくいっているのはめちゃくちゃ嬉しい。
寂しさをこらえて応援しよう。
「ふう、録画していたドラマをまた観るか」
録画していたドラマの、舞の出演シーンを繰り返し観る。
「は〜、俺の彼女綺麗すぎ〜、マジで綺麗すぎるって……ん? おおっ!」
舞から遊びに行くと連絡がきた!
やったー! 舞に久しぶりに会えるぞー!
舞が裏口からこっそりと遊びに来る。
俺は裏口に舞を迎えに行く。
俺の部屋。
「舞〜!」
俺は部屋に戻ってすぐに舞に甘える。
「あはっ、公介、久しぶり〜」
「舞、舞、舞〜!」
「うふふ、公介、落ち着いて、ほら、いい子だから、ね?」
「ふう、ふう……ごめん、久しぶりに会えたから、興奮しちゃって」
「ふふ、今夜はずっと一緒だから、たくさん甘えていいからね」
「それはいい情報だ」
「またお菓子を持ってきたわ。これはドラマの共演者の人の差し入れよ」
「おお、美味しそう〜」
お菓子を食べながら舞に甘える。
「ドラマ、なんかすごいことになってるな。もう社会現象になってるもんな」
「ええ、嬉しいわ。ドラマは今日が最後の撮影だったのよ。スタッフさんたちが花束をくれたわ」
「そうだったのか」
「明日からはまた別の映画の撮影が始まるんだけどね」
「大変だな〜。本当お疲れさまです!」
俺は舞をマッサージしてあげる。
「あん、ふふ……気持ちいいわ」
「ほら、舞、俺のベッドに寝て」
「は〜い」
「それじゃあ、それそれそれ〜」
「んっ、はあん、あ〜ん」
「お客さん。マッサージしてるだけなのに、ずいぶん色っぽい声を出しますね〜」
「や、やだ、恥ずかしい」
「大丈夫ですよ、私は気にしません。はい、それそれ〜!」
「んんっ、あっ……いい」
「お客さん、ここはどうですか? ここもすごい気持ちいいでしょう?」
「あん、ダメ、そこはマッサージしちゃダメ〜!」
舞とマッサージ屋さんごっこして遊んだ……。
「ん……公介のマッサージ、とってもよかったわ」
「舞、このまま一緒に寝よ寝よ〜」
「いいわよ、ほら、おいで〜」
「わ〜い」
舞が俺をギューっと抱きしめてくれる。
「ふふ、公介……早く一緒に暮らしたいわね」
「うん、俺もだよ、舞」
「うふふ、おやすみ、公介」
「おやすみ、舞」
翌朝。
「公介、起きて〜」
「う〜ん、舞……」
「おはよう、公介」
「おはよう、舞。ははっ、舞に起こしてもらうのも久しぶりだな」
「ふふ、そうね。私は仕事に行くけど、二度寝して学校に遅刻しちゃダメだからね」
「うん、わかってるよ。仕事、頑張って」
「じゃあ、行ってきます、チュッ」
「ん……行ってらっしゃい」
舞はキスをしてから仕事に向かった。
俺は朝ご飯を食べながら、テレビのニュース番組を観る。
「おっ!」
芸能ニュースのコーナーで、社会現象にもなっている大人気ドラマの特集をしていた。主演をつとめる舞のコメントも紹介される。
この主演女優とついさっきまでイチャイチャしていたと思うと、なんだか不思議な気分だな。




