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第54話 梅雨

 梅雨なので雨の日が続いている。


 まあ、家から出られない俺には関係ないことだ。


 雨といえば傘。傘といえば相合傘だな。




 小学生の頃。


 雨の中、傘をさして舞と学校に行く。


 俺は傘をくるくる回して歩く。


「冷たっ、公介、私に雨がかかってるわ」


「おお、ごめんごめん」


「ねえ、公介の傘に入れて」


「別にいいけど」


 舞が自分の傘を閉じて、俺の傘に入ってくる。


「これ、相合傘って言うのよ」


「ふーん、なんかいいなこれ」


「そうでしょ」




 中学生の頃。


「おはよう、公介」


「おはよ。あれ? 舞、傘持ってくのか?」


「天気予報では午後から雨よ」


「そっか、じゃあ傘取ってくるよ」


「私のがあればいいじゃない」


「それもそうだな。じゃあ学校行こう」


 そして放課後。


 舞と相合傘をして帰る。


「おお、すごい雨だな〜」


「公介の肩濡れてるわよ。もっとくっついて歩きましょう」




 高校生の頃。


 舞はアイドルになり学校も別々になったので、俺は一人で傘をさして帰る。


 途中、舞の記事が載っている音楽雑誌を買うために本屋に寄る。


「あれ……?」


 雑誌を買って帰ろうとしたら、傘立てに俺の傘がない。


「く、盗まれたか……」


 しょうがないので、濡れながら走って帰った。




 同棲している現在。


 舞が帰ってきた。


「ふう、今日も雨だったわ」


「ここんとこ毎日だな」


「そうだ、久しぶりに相合傘で歩かない?」


「ええっ、家の中で?」


「いいじゃない、楽しいかもよ」


「まあ、そうだな。やってみよう」


 舞と相合傘をして、部屋の中を歩く。


「ほら、舞、ちゃんとくっつかないと、肩が濡れるぞ」


「あははっ、そうね」


「たしかに、けっこう楽しいな」


「ふふ、そうでしょう」


 そのまま相合傘をして、おしゃべりしながら部屋の中を歩き続ける。


 国民的アイドルと、相合傘をした……。

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