第53話 肉じゃが
「ただいま〜」
今日は舞が早めに帰ってきた。
「おかえり〜!」
俺は嬉しくて犬のように舞にじゃれつく。
「うふふ、落ち着いて公介、よーしよし」
「ふう、ふう……つい興奮しちゃったぜ」
「ふふ、今日は早く帰ってこれたからね。晩ご飯を作ろうと思って買い物してきたわ」
「やった〜! 二人で晩ご飯だ。何か手伝う?」
「大丈夫よ、座って待ってて」
俺はリビングのソファーでテレビを見ながら、キッチンでエプロンをつけた舞が料理しているのを眺める。
「公介、できましたよ〜」
「は〜い。おー、肉じゃがだ! いただきまーす!」
「どうぞ、召し上がれ〜」
国民的アイドルの作った晩ご飯を食べる。
「ん〜、美味しい〜! 美味しいぞ、舞!」
「ふふ、ありがと」
「ごちそうさまでした〜」
「はーい。ちょっと待ってね。食後のお茶いれるわ」
至れり尽くせりだぜ……。
「はい、どうぞ」
「サンキュー」
舞と一緒にお茶を飲みながらおしゃべりを楽しむ。
「そうだ、舞に観せたい映画があるんだよ」
俺は忙しい舞のために、おもしろい映画やドラマをリストアップしていた。
「いいわね。公介のおすすめなら間違いないもの」
「そう言われるとプレッシャーだな」
「私と公介の好みはだいたい同じでしょ。自信を持って紹介してよ」
「オーケー」
舞とソファーに座って映画を観る。
俺は途中から舞に膝枕してもらった。
「うん、すごくおもしろかったわよ。雰囲気がよかったわ」
「だろう。よかった〜」
「こういう映画も出てみたいわね」
「舞が言うと本当に実現しそうだな」
「ふふ、そうなるといいわね。それじゃあ、映画も観たし、お風呂に入りましょうか。お背中流しますよ、あなた」
「あ、ああ……お願いするよ」
国民的アイドルと、夜の時間をゆっくり過ごした……。




