第50話 ゲリラ豪雨
舞がアイドルになる前の日常。中学生の頃の話。
学校からの帰り道。
「まだ6月なのに暑いな〜」
「去年も言ってたわよ、それ」
「早く帰って、クーラーの効いた部屋でだらだらしようぜ」
「そうね……ん?」
「どうした?」
「今、鼻にポツンときたわ」
「雨か? そういえば雲行きも怪しいな……」
その後、すぐに強めの雨が降り始めた。
「うわーっ、ゲリラ豪雨だ!」
「そこのスーパーに避難しましょう」
「わかった」
スーパーに入る。
「ふー、けっこう濡れちゃったわね」
「そうだな」
「どうする? 傘買う?」
「いや、すぐ止むかもしれないし、ちょっと様子見ようぜ」
「わかったわ」
スーパーの中を舞とぶらぶらする。
食品コーナー。
「公介、今度の休みに手料理作ってあげるわ。何食べたい?」
「う〜ん……ハンバーグ!」
「オーケー。楽しておいてね」
「おう」
お菓子のコーナー。
「グミ買おうぜ、グミ」
「何味?」
「この季節限定のやつ美味しいかな?」
「季節限定に弱いわね」
「あ、こっちのお菓子も季節限定の味があるぞ」
カップ麺のコーナー。
「カップ麺のストックあったかな〜、思い出せん」
「いいじゃない、買っておけば。長持ちするんだし」
「そうだな。麺食べ終わった後にご飯入れると美味しいやつ買おう。味が濃いやつがいいな」
「私はそんなに食べないけど」
「じゃあ舞の麺食べ終わったカップ麺にも、俺がご飯入れて食う」
「ふふ、いいけど。そのかわり、ちゃんと運動もするのよ」
「はーい」
買い物が終わり雨も止んだようなので、外に出る。
「あ、公介見て、虹よ!」
「おお〜、実際に見ると、やっぱりテンション上がるな〜」
「そうよね。虹をバックにした公介の写真を撮らせて」
「わかった」
舞がスマホで俺と虹を撮る。
「舞も撮らせてよ」
「いいわよ」
「オーケー、撮れた」
「ふふ、じゃあ、また雨が降り出す前に早く帰りましょう」
「おう」
美しすぎる幼馴染と、ゲリラ豪雨に遭遇した……。




