第44話 悪夢
舞がアイドルになる前の日常。中学生の頃の話。
深夜。
「う〜ん……はっ!」
俺は謎の殺人鬼に襲われる悪夢にうなされて目を覚ました。
う〜眠い。でも寝たらまた悪夢を見るかもしれない。
ああ、舞と一緒に寝たいよ〜。
でも、もう寝てるだろうしな。連絡するのは悪いよな……。
いいや、寝よう。夢はしょせん夢だ。
結局、俺はまた悪夢にうなされてしまった……。
翌朝。
舞と一緒に学校に行く。
「公介、なんか眠そうね」
「いや、悪夢を見てさ……夜中に起きちゃったんだよ」
「どんな悪夢だったの?」
「謎の殺人鬼に追いかけ回されるんだよ」
「そう、怖かったわね。私を呼べばよかったのに」
「いや、だって夜中だったし。寝てただろ?」
「寝てたけど気にしなくていいのよ。隣なんだから、すぐに行ってあげたのに」
「わかった、今度からそうするよ」
「とりあえず今日は泊まりに行ってあげるから安心してね」
「ああ、お願いします」
夜。
俺の部屋。
遊びに来た舞とホラー映画を観る。
主人公が謎の殺人鬼に追いかけ回されている。
「ふふ、こういう映画を観るから悪夢を見るんじゃない?」
「でも、舞は悪夢を見ないんだろ?」
「そうね、なんでかしら?」
「俺のほうが臆病ってことか? そう言いたいのか?」
「私は何も言ってないでしょ」
「そうだな……まあ、どちらにせよ、今日は舞がいるから大丈夫だ」
「そうそう、ママが一緒に寝てあげますからね〜」
「バカにするんじゃねー!」
「じゃあ一人で寝るの?」
「……舞と一緒に寝る〜」
「はいはい」
というわけで、舞と就寝。
「公介、トイレは大丈夫?」
「うん」
「じゃあ、おいで。悪夢を見ないように、抱きしめて寝てあげる」
「お願いしまーす」
舞の腕の中で眠りにつく。なんという安心感だ……。
翌朝。
「ん〜、いい目覚めだ」
「悪夢は見なかった?」
「うん、朝までぐっすりだったよ」
「それはよかったわ。今度悪夢を見たら、夜中でも連絡するのよ」
「はーい」
美しすぎる幼馴染に、悪夢から守ってもらった……。




