第300話 ハロウィン2
今日はハロウィンだ。
舞と同棲を始めてから二回目だな。
「トリックアトリート、わんわん」
「お、おお!」
舞は犬のコスプレ、ではなく犬のゾンビのコスプレをしていた。
「すごいな、よくできてるぞ、舞」
女のゾンビの時もそうだったが、痛々しい傷跡はとてもリアルだ。
「がるる……」
犬のようによつんばいになった舞に威嚇される。
「ま、まさか、ゾンビになって飼い主の俺を忘れてしまったのか?」
「がうっ!」
「俺を思い出すんだ、舞、なでなで〜」
俺は舞の全身をなでなでする。
「がるる……あん、く〜ん」
お、大人しくなったぞ。
チャンスだ!
「舞、これはゾンビ化を治すワクチン、という設定のお菓子だ。さあ、食べなさい」
俺はお菓子を手のひらに乗せて、舞に差し出す。
「わう」
舞が犬のようにお菓子を食べる。
「ペロペロ」
そのまま手のひらを舐められる。
「あはは、くすぐったい」
ゾンビメイクはそのままだが、舞の顔が優しくなっている。
「舞、治ったのか?」
「ええ、もう治ったわん」
「よかった……いや、治っても犬なんだから、しゃべるのはおかしいだろ」
「あはは、そうだったわん。く〜ん」
舞が犬のように甘えてくる。
「よし、ゾンビ化が治ったお祝いに、いっぱい可愛いがってあげるからな!」
「わおーん」
ハロウィンに犬のゾンビになった国民的アイドルと、愛し合った……。




