第289話 口移し16
夜。
仕事から帰ってきた舞が、高級な栗を使って栗ご飯を作ってくれた。
「はい、お待たせしました〜」
「美味しそうだな〜、いただきまーす!」
俺は栗ご飯を食べる。
「美味い、美味いぞ、舞!」
「うふふ、よかったわ」
俺は栗ご飯を食べ終わる。
「ふう、美味しかった。ごちそうさま〜」
舞は栗ご飯ちょっと食べただけで、箸を置いていた。
「舞、もう食べないのか?」
「いいえ、食べるわよ……」
「じゃあ食べろよ」
「もう、公介、本当はわかってるんでしょ?」
「いや、わからん、まったくわからん」
「え〜」
「言え、舞、お願いがあるんなら、ちゃんと言うんだ」
「うう……公介、この栗ご飯を」
「栗ご飯を?」
「口移しで、食べさせてください!」
「いやでーす!」
「えー、なんでよ〜?」
「うそうそ、もちろんやってあげるよ」
「もう、意地悪なんだから」
「はは、それじゃあ、その茶碗をよこしなさい」
「はい、お願いします」
俺は栗ご飯を口に入れる。
そして咀嚼する。
舞にキスする。
口移しで、舞に栗ご飯を食べさせてあげる。
「もぐもぐ……お、美味しい〜!」
国民的アイドルに、栗ご飯を口移しで食べさせてあげた……。