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第242話 七夕2
朝。
俺は仕事に行く舞を見送る。
「公介、今日は七夕ね」
「ああ、そういえばそうだな」
「去年やった七夕ごっこ、覚えてる?」
「えっと……」
一年に一回しか会えない夫婦の設定で、イチャイチャするやつだな。
「覚えてる、あれまたやろうぜ!」
「じゃあ、私が帰ってきたら、七夕ごっこスタートね」
「ああ、わかった」
「じゃあ、行ってきまーす、チュッ」
「んっ、行ってらっしゃーい」
夜。
もうすぐ舞が帰ってくる。
帰ってきた瞬間から七夕ごっこスタートだったな。
なんか緊張してきたぜ。
お、舞が帰ってきた!
「公介〜!」
本当に帰ってきた瞬間から、七夕ごっこがスタートする。
「ま、舞〜!」
俺たちは強く抱き合う。
「ああ、会いたかったわ、公介……」
舞が泣く。
さすがは女優だぜ。
「お、俺も会いたかったよ、舞……」
舞の泣き顔を見て、俺も切なくなって、自然と涙が出てきた。
「ああ、公介……」
俺が泣くのを見て、舞がもっと泣く。
「舞〜」
そんな舞を見て、俺もさらに泣く。
「公介、お願い、愛して、一年分愛して!」
「わかった、舞、一年分の想いを注ぐよ!」




