第21話 ドラマ
舞がアイドルになる前の日常。中学生の頃の話。
明日は学校が休みだ。だから今日は徹夜で舞と遊べるぞ!
というわけで、昼休みに舞と一緒にお弁当を食べながら、何して遊ぼうか相談。
「俺、観たいドラマがあるんだよね。ほら、世界ですごい話題になってるやつ」
「じゃあ今日はそのドラマを観ましょう」
「よし、朝までに全話観ようぜ。舞、途中で寝るなよ〜」
「いつも先に寝ちゃうのは公介でしょ。ほら、ウィンナーあげる、はい、あーん」
「あーん、もぐもぐ」
そして放課後。
「公介、帰ろ〜」
「ああ、夜のためのお菓子買ってから帰ろうぜ」
「そうね」
コンビニに寄って、お菓子を買ってから帰宅。
「それじゃ、夜に公介の部屋に行くから」
「おう」
風呂に入って、夕飯を食べる。
そして、窓から舞の家の方を眺める。
「お、来た」
こっちに歩いてくる舞が、窓から見ている俺に気づいて手を振る。
俺は手を振り返してから、玄関に舞を迎えに行った。
俺の部屋。
「よし、それじゃ、さっそく観ますか」
「楽しみね」
テーブルにはお菓子とジュース。
ソファーで舞とくっついて座りながら、ドラマを観る。
4時間ほどたったところで、いったん休憩。
「舞、コーヒーでも飲もうぜ」
「ええ」
一緒にキッチンへ行ってコーヒーを淹れた。
親はもう寝室に戻っていたので、リビングでコーヒーを飲みながらドラマの話をする。
「舞は黒幕は誰だと思う?」
「う〜ん……怪しいのは、スティーブね」
「えー、めちゃくちゃいい人じゃん」
「気づいてない? あの人、言ってることが矛盾しているのよ」
「え、どこですか? さっぱりわからん……」
ドラマの考察で盛り上がった……。
そして部屋に戻ってドラマの続き。
今度はベッドで、一緒にゴロゴロしながら観る。
「舞、俺が寝ちゃったら起こしてくれよ」
「ええ、わかったわ」
ドラマは後半になり、どんどんおもしろくなってきたが……。
う〜、やばい、だんだん目が重たくなってきたぜ……。
「公介〜?」
「……はっ」
「寝てた?」
「いやいや、寝てないよ」
「ふふ、よだれ、垂れてますよー」
そう言って舞が、俺の口まわりを拭いてくれる。
「あう……一瞬寝てました」
「続きは明日でもいいじゃない、休みなんだから」
「そうなんだけどさ。こうやって、夜中に眠気と戦いながら一気に観るのがいいんじゃん」
「しょうがないわね。じゃあ眠気を覚ますためにストレッチしましょう」
舞と一緒にストレッチ。
そしてまたソファーで、舞とくっついて座りながらドラマを観る。
「……く〜」
「はい、寝てますよ〜、公介ちゃん」
「ああ、ごめんなさい」
「あと1話だから、頑張って!」
「おう!」
目をなんとか開きながら、ドラマの最終話を観た。
「ス、スティーブ……お前が黒幕だったのか!」
「ふふ、やっぱりそうだったのね」
「すごいぞ、舞。事件の真相はほとんど舞が言ってた通りじゃないか」
「うふふ、すごいでしょ。ふわ〜っ」
舞もあくびをして眠そうだ。外も、もう明るい。
「寝るぞ〜、舞。ドラマの感想は起きてからだ」
「そうね」
二人でベッドに上がり、ギューっと抱きしめ合う。もう目を閉じれば眠れそうだ。
「舞、おやすみ〜……」
「おやすみ、公介」
美しすぎる幼馴染と、お昼まで寝た……。




